2022年3月3日木曜日

03- 東村高江で炎上した米軍ヘリから放射性物質 自然の5千倍 17年に不時着

 沖縄タイムスが米情報公開法で海兵隊の報告書を入手したところ、沖縄県東村高江で17年に不時着炎上した米軍ヘリの部品から放射能が確認された問題で、政府は当時「健康被害を引き起こす量ではない」と説明していましたが、実際には自然環境の5千倍となる強い放射線が検出されていたことが分かりました。また日本政府が使用を否定した泡消火剤由来とみられる有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)も土壌中で規制値の倍近い濃度であったことが確認されました。政府のゴマカシが明らかになりました。

(原発とは関係ありませんが、放射能関連なので紹介します)
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炎上した米軍ヘリから放射性物質 自然の5千倍 沖縄・高江で17年に不時着 土壌からPFASも
                            沖縄タイムス 2022/3/3
【ジョン・ミッチェル特約通信員】沖縄県東村高江で2017年に不時着炎上した米軍ヘリの部品から、自然環境の5千倍となる強い放射線が検出されていたことが2日までに分かった。日本政府が使用を否定した泡消火剤由来とみられる有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)も土壌中で確認された。本紙が米情報公開法で海兵隊の報告書を入手した

■「健康被害がないとは言い切れない」と専門家
 汚染の具体的な数値が判明したのは初めて。米軍は事故機が放射性物質を積んでいたことは認めつつ、「健康被害を引き起こす量ではない」とだけ説明していた。専門家は判明した数値を「非常に高い値で、健康被害がないとは言い切れない」と指摘した。
 事故を起こしたCH53E大型輸送ヘリは、ローターのひび割れを検知する装置「IBIS」に放射性物質ストロンチウム90を使っている。米軍がIBISを検査すると、自然環境(28cpm=cpmは1分当たりの放射線測定値)の5143倍に当たる14万4千cpmが確認された。凍結防止装置は121倍の3400cpmだった
 米軍が持ち去った土壌の二つのサンプルは1キロ当たり195ベクレル、40ベクレルだった。報告書によると、米軍の基準を上回っていたため、低レベル放射性廃棄物として処理された。

 また、土壌サンプルの一つはPFOS(ピーホス)の濃度が1キロ当たり700ナノグラム(ナノは10億分の1)だった。これは米環境保護局が定めた基準378ナノグラムを上回る。検出を受け、米軍は土壌を有害廃棄物として処分した。
 本紙は18年、米軍が現場で泡消火剤を使ったことを示す別の報告書を入手し、報道した。沖縄防衛局は当時、「米軍は消火剤を使用していないと承知している」と回答していたが、今回PFOSが検出されていたことも分かり、泡消火剤の使用がほぼ裏付けられた
 事故後、米軍が土壌を持ち去ってから沖縄防衛局や県が実施した空間や土壌の調査では、放射線量や有害物質の値に異常はないとされていた。

地下水を調査すべきだ
 原子力資料情報室の伴英幸共同代表の話 米軍報告書が示す放射線の数値は非常に高い。ストロンチウム90はカルシウムと似た性質があり、体内に入り骨に蓄積されると骨髄腫など骨のがんを引き起こす危険がある。健康に影響がない量とはとても言い切れない
 米軍が事故機直下の土壌を地主の了解なく持ち去り、その土壌の汚染状況を調査しながら結果を公表しなかったのは問題だ。隠蔽(いんぺい)体質を指摘されても仕方がないだろう。
 ストロンチウム90は水に溶けやすいので周辺の地下水も念のため調査すべきだ。一方、沖縄防衛局が説明する通り土壌を完全に入れ替えたのなら、農作物には影響はないと考えられる。

PFOSの原因特定を
 原田浩二京都大学准教授(環境衛生学)の話 米環境保護局は土壌中のPFOS(ピーホス)含有量について、詳細調査が必要かどうかを判定するスクリーニング基準を1キロ当たり378ナノグラムと定めている。これを上回る700ナノグラムという数値は、何らかの汚染がなければ検出されない。
 沖縄防衛局は泡消火剤の使用を否定しているようだが、そうするとPFOSは事故機からか、過去に泡消火剤を使っていた消火機材からか。原因を特定しなければ、将来も意図しない汚染が広がってしまう
 一方、現場の畑に関しては土壌サンプルのうちの一つがこの値で、その土壌も入れ替えたのならこれ以上の影響はないと考える。