福島第一原発1号機格納容器の内部調査用水中ロボットの不具合について、福島民報と福島民友が記事を出しました。詳報として紹介します。
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(1月13日)福島原発1号機・探査ロボット 放射線量計などの異常で探査開始できず
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東京電力福島第一原発1号機格納容器の内部調査中断 ロボット不具合
原因不明
福島民報 2022/01/13
東京電力は12日、開始を予定していた福島第一原発1号機格納容器の内部調査の準備作業で、調査に用いる水中ロボットの放射線量が正しく表示されないなどの不具合が生じたため作業を中断した。トラブルの原因は分かっておらず、調査の開始時期は未定となっている。
12日正午から準備作業を行い、格納容器外でロボットのケーブルを巻き込む「ケーブルドラム」の電源を入れたところ、ロボットに内蔵されている線量計のデータが正確に表示されなかった。ロボットに搭載された6台のカメラのうち1台で表示された時刻が点滅し、止まった。東電は同日午後2時15分ごろ、ロボットが受ける放射線量を正確に計測できない可能性があると判断し、準備作業を中断した。
東電によると、最終的に機器の動作確認をした昨年12月17日に不具合はなかったという。ロボットやケーブルドラムを置いていた箇所の空間放射線量は毎時約0・7ミリシーベルト。東電は不具合の原因を詳しい調べ、対策を講じてから改めて内部調査を始める方針。
1号機格納容器の内部調査は容器底部の水中に広がっているとみられる溶融核燃料(デブリ)の状況を把握する目的。当初は12日から、ロボットの通り道となる「ガイドリング」と呼ばれる輪を壁面4カ所に取り付け、ロボットのケーブルが構造物に引っかかるのを防ぐ計画だった。
格納容器の内部調査延期 福島第1原発1号機、機材トラブルで
福島民友 2022年01月13日
東京電力は12日、福島第1原発1号機で同日の開始を予定していた、水中ロボットを使った原子炉格納容器の内部調査を、機材トラブルのため延期したと発表した。トラブルの原因は不明で、東電は再開時期について「見通しは立っていない」としている。
東電によると、容器内に投入するロボットの一部の装置に電源を入れた際、遠隔操作用のモニターにロボット周辺の放射線量が正しく表示されなかったり、一部カメラの撮影画面の時刻表示が停止したりした。ロボットにつながるケーブルを巻き取る装置の電源を入れると、不具合が発生するという。
東電は、線量が正しく表示されないとロボットが浴びる線量の正確な評価ができず、さらなるトラブルにつながる可能性があるとして、12日午後に作業中断を決定した。東電はこの日、ロボットを容器内に挿入し、後続のロボットの進行を補助する「ガイドリング」と呼ばれる輪を設置する予定だった。格納容器のそばまでロボットを運び込んでいたが、トラブルのため挿入は見送った。東電によると昨年12月17日に実施したロボットの最終動作確認では不具合は確認されなかった。東電は今後、不具合について原因の特定を進める。
調査は、溶融核燃料(デブリ)を含んでいるとみられる堆積物の性質などを調べ、デブリの取り出し方法などを検討するのが目的で、重要な工程となっている。東電は「対策を講じ次第、安全を最優先に調査を再開する」としている。