2022年1月19日水曜日

核ごみ処分、火山に留意と規制委

 原子力規制委19日、核のごみを地中に埋設する最終処分場の選定過程で考慮するべき要件について、施設を損傷する恐れがある火山現象に特に留意して検討する必要があるとの考えを示しました。

 余りにも当然のことで「何を今更¡」という感じしかありません。直近のトンガ近くの海底火山の大爆発で急遽気になったということであればお粗末過ぎます。
 核のゴミの地層処分とは、地面から300m以上深い場所にガラス固化された高濃度廃棄物を更に鋼製の容器に収めて埋設するものです。
 日本学術会議2010年から2年に渡り、そうした適地があるかについて調査した結果、2012年9月に、地震や火山活動が活発な日本列島で万年単位で安定した地層を見つけるのは難しいとの結論に達し、地中深くに埋める国の最終処分計画は安全とは言えないとし、処分に関する政策の白紙見直しを求める提言を原子力委員会に提出した経過があります(下掲の東京新聞記事参照)。
 それを安倍政権時代に、日本の「至る所に適地の可能性がある」として、国が「核のゴミ処分場の調査対象地図」を公表したのでした。もしも原子力規制委がそれを認めていたのであればそれ自体が大問題です。
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核ごみ処分、火山に留意と規制委 最終処分場の選定要件検討
                           共同通信 2022/01/19
 原子力規制委員会は19日、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)を地下深くに埋設する最終処分場の選定過程で考慮するべき要件について、施設を損傷する恐れがある火山現象に特に留意して検討する必要があるとの考えを示した。火山の発生メカニズムなどについて、専門家から意見を聞く。
 規制委は昨年、廃炉で出る低レベル放射性廃棄物の一部について、活断層や火山を避けて地下70mより深くに埋めるとの処分基準を策定。高レベル廃棄物は300mより深くに埋める。このため、規制委は特に火山現象について、新たな火山の発生可能性を含め、詳細に検討する必要があるとした。


核のごみ 地中廃棄「白紙に」 学術会議 原子力委へ提言
                         東京新聞 2012年9月11日
 地中深くで最終処分するとしながら、原発で使った核燃料から出る高レベル放射性廃棄物の行き先は一向に決まらない。打開策を検討していた日本学術会議(会長・大西隆東大大学院教授)は11日、地中深くに埋める国の最終処分計画は安全とは言えないとし、処分に関する政策の白紙見直しを求める提言をまとめ、原子力委員会に提出した。
 使用済み核燃料を再処理した後に出る高レベル放射性廃棄物は、毎時1500シーベルト(150万ミリシーベルト)と人がわずか20秒で死に至る放射線を放つ。国は2000年、廃棄物をガラスで固め、地下300メートル以上の地層に埋める「地層処分」とするよう関連法で決めたが、処分地は白紙のままだ。
 今回の提言は、原子力委から打開の糸口を見つけてほしいと要請された学術会議が、原子力工学や地質学、歴史、社会、経済など各分野の研究者で検討委をつくり、二年がかりで検討してきた。
 提言は、地震や火山活動が活発な日本列島で、万年単位で安定した地層を見つけるのは難しいと指摘
 処分場が決まらない理由は、どれくらいの量の核のごみなら受容できるか社会的な合意がないまま、一部の関係者で原発の稼働、そこから出る核のごみの処分といった方針を決定してきたことにあると批判。交付金などのお金で処分地を決めようとする方針は、「かえって問題を深刻化させる」と根源的な問題があると指摘した。その上で、「政策をいったん白紙に戻す覚悟で見直すべきだ」と結論付けた。
 安全な処分方法が見つかるまでの数十~数百年の間は、地中深くではなく、いつでも移送できる形で暫定的に保管するよう提言。保管を担う地域には交付金などで無理やり納得させるのではなく、保管地に政府機能の一部を移転して安全性への信頼を得るべきだと訴えた。
 ただ、提言内容の通り、将来に安全な処分方法が確実に見つかる保証はない上、暫定的に保管といっても、事実上の最終処分になってしまわないか、地域の懸念をなくすのは難しい。提言の実効性には疑問があり、核のごみの根源的な問題点を見せつけた。 (榊原智康)