2022年1月22日土曜日

「やっとこの日が来た」 双葉町で11年ぶり自宅で宿泊可能に

 全住民の避難が唯一続く福島県双葉町で20日、寝泊まりしながら帰還の準備を進める準備宿泊が始まりました。19日時点の申込件数は11世帯15で、初日の20日は4世帯5人が訪れました。
 南相馬市小高区から妻と週5回通い、イノシシに荒らされた室内の手入れを続けてきた谷津田陽一さんは、初日は朝から冷蔵庫や電子レンジを運び込んだり、水道の開通手続きに追われましたが、「やっとこの日が来た。帰宅に向けたスタート地点に立てた。きょうはよく寝ることができそうだ」と笑顔を見せた谷津田さん。「がっかりも、怒りも、これからへの希望もある」と語りました。
 伊沢史朗町長は「避難指示解除に向けて住民が戻ってきて良かったと思えるような環境整備に取り組む」と述べました。
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「やっとこの日が来た」 福島・双葉、11年ぶり自宅で宿泊可能に
                        河北新報 2022年01月21日
 東京電力福島第1原発事故に伴い全住民の避難が唯一続く福島県双葉町で20日、寝泊まりしながら帰還の準備を進める準備宿泊が始まった。原発事故以来約11年ぶりに自宅での宿泊が可能になった。町は今年6月ごろの特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示解除を目指す。
 準備宿泊の対象地域は、2020年3月に避難指示が先行解除された町北東部などの地域や復興拠点のJR常磐線双葉駅周辺の計約770ヘクタール。昨年12月現在で1380世帯3397人が住民登録をしているが、19日時点の申込件数は11世帯15人にとどまる。初日の20日は4世帯5人が訪れた。
 長塚地区の自宅に戻った元競輪選手谷津田陽一さん(70)は、南相馬市小高区から妻と週5回通い、窓を突き破ったイノシシに荒らされた室内の手入れを続けてきた。初日は朝から冷蔵庫や電子レンジを運び込んだり、水道の開通手続きに追われたりした。
 「やっとこの日が来た。帰宅に向けたスタート地点に立てた。きょうはよく寝ることができそうだ」と笑顔を見せた谷津田さん。「がっかりも、怒りも、これからへの希望もある」と語った
 伊沢史朗町長は「今年は原発事故から11年が経過する。少ない人数だったが町への思いを強くして戻ってきてもらえた。復興の一歩だ」と話した。避難指示解除に向けて「住民が戻ってきて良かったと思えるような環境整備に取り組む」と述べた。
 町は、自宅を解体した住民ら向けに町内のビジネスホテルを一時宿泊所として活用。町が費用の一部を補助する。
 復興拠点がある福島県内の6町村で準備宿泊が実施されるのは、葛尾村、大熊町に続いて3例目