映画「家路」テーマにトークイベント 福島県双葉町の原子力災害伝承館
福島民報 2022/01/23
福島県双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館は22日、震災と東京電力福島第一原発事故後の福島県を舞台にした映画「家路」をテーマにトークイベントを開いた。映画の久保田直監督らが撮影時を振り返り、福島の未来について語り合った。
イベントのテーマは「映画『家路』でみる あのとき これから」。久保田監督の他、伝承館の高村昇館長、映画で農業の演技指導に当たった福島県川内村の秋元美誉さんが意見を交わした。
久保田監督は昨年9月、映画の舞台となった川内村や福島県富岡町を訪問しており、「震災と原発事故を風化させてはいけない」と強調した。高村館長は「復興が進む地域と進んでいない地域がある。その差をどう埋めていくかが課題だ」と述べた。
秋元さんは出演者への演技指導の経験を踏まえ、「若い人が集まり、県内の農業が活性化してほしい」と願った。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、参加者はオンラインで視聴した。
映画は2014(平成26)年に公開された。警戒区域となった古里に20年ぶりに帰ってきた青年と、葛藤を抱える家族が絆を再生させていく物語となっている。
復興の「過去と今」を語り合う 伝承館で映画「家路」イベント
福島民友 2022年01月23日
東日本大震災・原子力災害伝承館(双葉町)は22日、震災と原発事故後の本県が舞台の映画「家路」をテーマにしたトークイベントを開いた。久保田直監督、映画で農業指導に当たった川内村の秋元美誉(よしたか)さん、高村昇同館長の3人が鼎談(ていだん)し、撮影当時の「あのとき」と本県の「これから」について語り合った。
映画「家路」は原発事故で警戒区域となった故郷に20年ぶりに帰ってきた青年と、葛藤を抱える家族が絆を再生させていく物語。出演は松山ケンイチさん、田中裕子さんら。撮影は2013年に川内村や富岡町、いわき市などで行われ、14年に公開された。
久保田監督は本県での撮影を通じて「当初の自分の考えにずれがあった」と明かし「(原発事故で)住めない土地ができ、行政が別の土地を用意すればいいと思っていたが、それは違った。住民は『先祖代々から頂いた土地を守りたい』という強い思いがあることを知った」と話した。
これに対して秋元さんは「長男は家を守り、墓を守るんだと昔から言われていた」と述べた。最後に復興とは何かを問われた秋元さんは「復興に答えはなく、それぞれが頑張ることに尽きる」と話した。高村館長は、震災から10年が過ぎて住民が置かれたさまざまな状況について説明した。
コメ作り記録追加展示
伝承館で31日まで開かれている映画「家路」のパネル展では、秋元さんが国の方針に反して村でコメ作りを続けた記録や、映画撮影時の写真集などが新たに追加展示された。