2022年1月3日月曜日

10年前の河北新報記事ー宮城南部、阿武隈川流域で高線量確認

 河北新報が「10年前の河北新報から」のタイトルで、11年12月31日の記事を再掲しました。同年12月、放射能調査などを手掛ける会社「DMA」の津田和俊社長が数回にわたって亘理町・角田市・丸森町などを調査した結果、除染である程度下がった空間線量がまた上がっていることが分かりました

 除染しても台風などで川の水があふれると汚染が繰り返される可能性が高く、関係者は頭を抱えている、と書いています。
 因みに正常の空間線量は0・05マイクロシーベルト/時です。
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<10年前の河北新報から>
宮城南部、阿武隈川流域で高線量確認 台風の影響か
                        河北新報 2021年12月31日
    2011年12月31日掲載(肩書き、年齢などは当時のまま)
 宮城県南部を流れる阿武隈川堤防外側(河川敷)の運動場などに、空間放射線量の高い箇所があることが民間調査機関の測定で分かった。9月21日に台風15号が東北地方を縦断した際、主に阿武隈川の福島県側流域から放射性物質が川に流れ込み、泥水とともに河川敷にあふれた影響とみられる。除染しても台風などで川の水があふれると汚染が繰り返される可能性が高く、関係者は頭を抱えている
 放射能調査などを手掛ける会社「DMA」(仙台市)の津田和俊社長(44)が今月、数回にわたって調査した。
 津田社長によると、1時間当たりの空間線量(高さ1メートル)は、亘理町の堤防外側にある「あぶくま公園運動場」ソフトボール場中央部分で0.23マイクロシーベルト、外野の芝生上は0.35マイクロシーベルト、台風15号の際に堆積した泥の上では0.73マイクロシーベルトだった。
 亘理町が6月から実施している測定(高さ50センチ)によると、グラウンド中央部で当初0.30マイクロシーベルト程度だった線量は9月20日には0.17マイクロシーベルトに低下した。津田社長は「雨で放射性物質が洗い流されたため」とみている。
 ところが、翌日の台風15号で川の泥水があふれ、グラウンド上に泥が堆積。泥は除去したものの、空間線量は0.22マイクロシーベルト前後を観測し続けている。堤防内側の空き地では0.15マイクロシーベルトなので、外側は全体的に高い線量を示している。
 角田市の阿武隈川堤防外側の「あぶくまパークゴルフ場」の空間線量は0.45マイクロシーベルト、近くの河川敷で0.89マイクロシーベルトを示したのに対し、堤防内側の空き地では0.20マイクロシーベルトだった。丸森町の河川敷にある水田では0.87マイクロシーベルトで、周辺の0.23マイクロシーベルトより高かった。

 角田市と丸森町は国の「汚染状況重点調査地域」に指定されたため、市と町が策定した除染実施計画に基づき国の負担で除染が進められる。ただ阿武隈川は大雨時、河川敷への氾濫を繰り返しており、環境省は「起こり得ることを予想しながら対処するしかない」(水・大気環境局)と話す。
 亘理町は調査地域に指定されていない。町総務課の担当者は「河川敷の農地も汚染されているかもしれない。広範囲の除染は国や県に対処してもらいたい」と語っている。