岸田首相は24日のGX実行会議で「新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設などについて、年末に具体的な結論を出せるよう検討を加速してほしい」と述べました。これは新設、増設、建て替えは想定していないとしてきた政府の方針を転換するもので、立民党の吉田はるみ衆議院議員は「再稼働も新増設もするべきではないと思う」「再生可能エネルギーしかない」と主張しました。ABEMA TIMESが報じました。
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政府、次世代革新炉の開発・建設の検討へ…立憲民主党・吉田議員「再稼働も新増設もするべきではないと思う」「再生可能エネルギーしかない」
ABEMA TIMES 2022/8/26
24日に開かれたGX実行会議で「新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設など今後の政治判断を必要とする項目が示された。年末に具体的な結論を出せるよう与党や専門家の意見も踏まえ、早速検討を加速してほしい」と述べた岸田総理。
福島第一原発事故の発生以降、新設、増設、建て替えは想定していないとしてきた政府の方針を転換、次世代原発開発への道筋をつける方向に舵を切ったことになる(開発・建設は2030年代以降の見通し)。
■「再稼働も新増設もするべきではないと思う」
こうした状況に、「あり得ない」とTweetしたのが、立憲民主党の吉田はるみ衆議院議員だ。「再稼働も新増設もするべきではないと思う」「再生可能エネルギーしかない」と主張する。
日本の電源構成↓
https://news.yahoo.co.jp/articles/3678260caef4e627c81388f19e5ae5e9eeee233c/images/002
「原発のない社会を実現していくという大きな方針からの大転換だ。国民生活を守るのが政治家の最も大事な仕事だし、政治判断には今のことだけでなく、将来を見据えなければならない。持続可能な社会、SDGsがいわれているように、環境・社会の持続のためのビジネスも動いているときにこういう大転換することには反対だ。廃炉に持っていけるくらいまで年数が経ってきたところに、また新しい原発のカレンダーが始まってしまうことには不安がある。ウクライナのザポリージャ原発のように、戦闘状態になったときには真っ先に狙われる場所になっているし、事故は絶対にないと思いたいが、起きた時には人の命に関わっている。
需給の見通しは
また、原発は安いエネルギー源だといわれるが、私はそうは思わない。長期的に見れば廃炉に持っていくまでに時間がかかるし、核のゴミをどうするのかという問題もある。一方で、再生可能エネルギーも時間とお金がかかるし、現実的ではないという意見があるが、本当に試算したのかと。材料をきちんと示した上で国民の皆さんが判断できるようにしていくのが政治の責任だと思う。電力ひっ迫についても、本当にそういう状況であることを検証できているのか。再稼働しなくても節電しながら乗り切れたし、国民に負担させるのではなく、政府が補助金を出せばいい。
私はベンチャーキャピタルで投資する側にいたこともあるが、自然エネルギーや再生可能エネルギーを開発するベンチャーが資金不足で頓挫する例をたくさん見てきた。また、本来であれば技術開発やデバイス(⇒設備)づくりも日本で全てやりたいところだが、全て海外から来てしまっている。これから世界が脱炭素で持続可能な社会になろうとしている流れの中、次世代の産業で攻めていくべき日本がこういう状況なのが悔しい」。
■「ベースロードの重要性は再認識すべきだ」
一方、エネルギー経済社会研究所代表の松尾豪氏は「突然こういう話が出てきたように思われている方もいると思うが、業界内では炉だけでなく部品のメーカーさんが事業をやめるという動きも出てきていたので、新設に向けた議論をしていかなければ原子力のサプライチェーンが細っていってしまうという問題意識があった。そこで今年の春から経済産業省の審議会に革新炉ワーキンググループができ、議論されてきた。ウクライナへの軍事侵攻に伴う資源価格の上昇は国民生活に直結するし、発電所が足りず、3月と6月には需給ひっ迫が起きている。こうした問題も背景にある」と説明する。
「もちろん、COP26に先駆けて“2050年カーボンニュートラル”という目標を設定した以上、供給力の大半を担っている火力を無くしていかなくてはいけない。欧州の場合、再エネの導入量は非常に多く、風が吹いていれば発電しつづけられる風力がかなりのポジションを占めている。洋上発電も含め、再生可能エネルギーの導入は努力がまだまだ必要だ。
ただし、欧州は他国と送電線で繋がっていて、電気が足りない時には買ってくることができるし、パイプラインでもつながっているので、ガス火力による出力調整もできるという、バックアップの仕組みがあった。一方、日本は燃料を輸入に頼っている国だ。これからカーボンニュートラルを目指していくに当たって、ベースロードの重要性は再認識すべきだし、まずは再稼働、その上で新増設に取り組んでいく必要があると感じている。
そして、今回の新増設の話は決定されたものではなく、あくまでも開発の検討をしていくという話で、検討することまで否定しまうことには疑問だ。当然カーボンニュートラルのために達成しなくてはいけない技術的な課題は山ほどあるし、考えられるようなリスクを洗い出して二重、三重、四重、五重の防護をするのが次世代型炉では基本だが、革新的で安価な技術が出てくれば原子力は後退していく可能性もある」。(『ABEMA Prime』より)