2022年8月31日水曜日

福島・双葉町 避難指示の一部解除 原発事故から11年5か月

 福島県・双葉町で8月30日、一部のエリアの避難指示が11年5ヶ月ぶりに解除されました。今回解除された区域は町全体の15%ですが、全町民の約7割が住民登録をしているエリアで所謂中心地です。

 町は「安心して戻って欲しい」と願っていますが、さまざまな理由で実際はそうはなっていません。TBSがその問題を深堀りするニュースを伝えました。
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福島・双葉町 避難指示の一部解除 原発事故から11年5か月 「安心して戻っていただきたい」 一方で「戻る人が少ない」
                       TBS NEWSJNN) 2022/8/30
福島県内の市町村で唯一、全住民の避難が続いていた福島県・双葉町で、8月30日、一部のエリアの避難指示が11年5ヶ月ぶりに解除されました。今回解除された区域は、町全体の15%ですが、全町民の約7割が住民登録をされているエリアです。双葉町は住民帰還に向けて準備を進めています。一方、隣町の大熊町では、一足先に避難指示が解除されました。しかし、大熊町の住民は、過半数が戻らない状況です。住民帰還への険しい道のりをスタジオで見ていきます。

■原発事故から11年5か月 福島・双葉町 避難指示の一部解除
ホラン千秋キャスター東日本大震災が発生し、福島第1原発事故から時間が経ちましたが、まだまだ皆さんかつての生活を取り戻すというところまでたどり着いていない場所もあります。
ただ、一歩前進しました。
福島県内の市町村で唯一、全住民の避難が続いていた福島県・双葉町で、30日、一部のエリアの避難指示が11年5ヶ月ぶりに解除されました。
では、今回解除されたエリア一体どのあたりなのか地図で見ていきます。
双葉町は、黒い線で囲まれたこのエリアです。今回、解除されたのはJR常磐線の双葉駅もある、赤色の地域(特定復興再生拠点区域)です。
赤いエリアは、常磐自動車道まで続いていませんが自動車で運転して、解除された地域に入るということは可能だということです。
このエリアは、町全体の面積でいうと15%に当たりますが、住民登録数(7月末時点)は3347人・1373世帯と7割の町民が集中しているということなんですね。
解除された赤色以外の場所は、まだ住むことが許されていないエリアになります。ですので、ほとんどのところには訪れることはできても住むことはできない。この緑色の地域は避難指示が解除されていますが、住めないエリアです。
そして、汚染された土などが保管されている中間貯蔵施設、その先に福島第1原発がありまして、まだまだ全体で見ると、復興というのは、時間がかかるということがわかると思います。

■町長「安心して戻っていただきたい」 一方で“戻る人が少ない”
ただ、住民に戻ってきてほしいということで、双葉町は、様々な社会インフラを整備してきました。
▼公営住宅86戸を整備 
2022年10月から25戸の入居開始を予定
▼閉鎖していた駐在所を再開
30日から町内のパトロールも実施
▼役場の新庁舎を建設
9月5日から業務始を開始
などを行っています。
準備を進めてきた双葉町の伊澤史朗町長
「やっと双葉町に戻れる状況になりました。安心して戻っていただきたい」と話しています。
ただ、多くの方が戻ってくるような状況ではないようなんです。30日、町に帰還した谷津田陽一さんにお話を伺いました。
「戻る人のあまりの少なさにがっかりしている。赤ちゃんからお年寄りまでいるような自然の形になって初めて復興かなと思います」
と話されていました。
井上貴博キャスター:放射線量は全く問題ないレベルまで落ちたわけですけど、インフラもちろんのこと、コミュニティどう考えていくのか、あとは医療福祉、そういったところもゼロからのスタートになるわけですけど、福島ご出身の星さんはどう感じてますか。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん二つ考えることがありまして、一つは原発に代わる新しい産業をどうやって生み出していくかということが必要だと思うんですよね。もう一つは、これだけひどい苦労をしたわけですから、この教訓を日本の将来や政策に生かしてもらいたいというのは福島の人たちの共通の思いだと思うんですね。その教訓を生かすということは何かというと、日本の脱原発政策に結実させてもらいたい。こういう苦労を重ねてきたわけですから。そこを政府側にもきちんと汲み取ってもらいたいと思いますね。
井上キャスター故郷に帰りたいご高齢の方はもちろん帰れるようにする、あとは若い力が絶対的に必要になりますよね。
星さん回戻れるようになりましたけど、若い人・子どもがなかなか戻ってくれませんよね。それは、もちろん原発に対するいろいろ不安もあると思いますが、やっぱり産業がないと戻れませんよね。そこの部分が非常に大事な点になってくると思いますね。

■双葉町の隣・大熊町 過半数“戻らない” 理由は…?
ホランキャスタ双葉町のお隣に、大熊町があるんですけれども、こちらは双葉町よりも一足先に、2022年の6月に避難指示が解除されました。
そして帰還に向けて、大熊町も電気・水道・インターネットなどインフラの復旧に努めたり、飲食店や美容室が入った商業施設をオープンしたんです。
元々住んでいた住民の方々に戻って来ていただくだけではなく、新しい人たちにも来てもらおうということで、町内で新たにビジネスを始める人向けの起業・事業を支援するインキュベーション施設をオープンするなど新たな住民の方々が来てもらえる工夫をしているということなんです。
なぜこういった取り組みを行ったのでしょうか?
大熊町に住民登録している方に行った“大熊町の住民の帰還意向について”
のアンケート調査(2022年2月公表)によると
▼既に大熊町で生活している 2.5%
▼戻りたいと考えている(将来的な希望の含む)13.1%
既に大川町で生活している・戻りたいと考えているという方々は15%ほど。
▼戻らないと決めている 57.7%
もう戻らないと決めている方は60%近かったんです。
戻らないと決めている理由で、最も多かったのは、
▼すでに生活基盤ができている 60.7%
そのほか
▼避難先の方が生活利便性が高い    42.0%
▼医療環境に不安がある        37.7%
▼生活に必要な商業施設などが不足   32.9%
▼家が汚損・劣化し住める状況ではない 25.0%
(※帰還の意向で「戻らないと決めている」と回答した方のみ)
こういった理由からもう戻らないと決めている方が多い。なので、新しい方々に来ていただこうという工夫を大熊町では行っているということです。
井上キャスターコロナ禍で、リモートワークがこれだけ普及しましたので例えば政府が主導して思い切っても経済特区とかにする、税金を大幅に免除するとか、子育て世代大幅に優遇しますとか、何か思い切った政策はぜひお願いしたいと思いますね。
星さん一部はやっているようです。大企業も誘致したりしてそれに乗っている企業もあると思いますけども実際には、昔住んでいた人が戻らないのに新しい人がいきなり行けるかというと、そこはなかなか難しいとこですので、政府がいろんな誘導策をやっていくことと、企業側もそこは自主的にね決断してもらいたい部分は多いと思いますね。