岸田文雄首相が原発の新増設を凍結してきた政府方針を転換する指示を出したことに、福島県の被災者らからは、「被災者にとって事故は過去の話ではない」、「国の言う『高い安全性』なんて信用できない」、「事故原因の究明も、汚染廃棄物をどうするかといった後始末も済んでいない」、「いまではない。福島を軽視している」などの声が上がりました。
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「原発事故、まだ終わってない」 新増設方針に怒る声も 福島
時事通信 2022/8/26
岸田文雄首相が、東京電力福島第1原発事故以降、原発の新増設を凍結してきた政府方針を転換する指示を出した。
これに対し、原発事故を経験した福島県の被災者らからは、電力需給逼迫(ひっぱく)などの状況に理解を示しながらも「福島の事故はまだ終わっていない」などと怒りをあらわにする声が聞かれた。
三春町の復興住宅に住む大沢さゆりさん(68)は、「被災者にとって事故は過去の話ではない。福島の現状をよく見てほしい」と訴えた。「絶対に安全なものなどない。国の言う『高い安全性』なんて信用できない」と批判した。
楢葉町からいわき市に避難している金井直子さん(56)は「事故原因の究明も、汚染廃棄物をどうするかといった後始末も済んでいない」と指摘。その上で「(新増設に)絶対反対だとは言わないが、いまではない。福島を軽視している」と憤った。
紙芝居で大熊町の歴史や東日本大震災について子どもたちに伝えている橘秀人さん(73)=会津若松市=は「エネルギー資源には限りがあり、原発を利用するのは分かる」と一定の理解を示した。しかし、「本当に大変な事故だった。増設するのであれば立地面の議論を慎重に行うべきだ」とくぎを刺した。