2022年12月19日月曜日

日本はまた「原発安全神話」に戻るのか

 西村康稔経産相は18日のNHKの番組で、原発の運転期間延長について「世界で最も厳しい原子力規制委員会の安全審査を満たすものだけが可能になる」、「60年超運転が認められれば電力会社の経営基盤が安定し、次なる原子炉への投資につなげていける」と強調しました。
 政府は常に日本の原子力規制基準が世界で最も厳しいという言い方をしますが、日本の原発には海外で義務付けられているコアキャッチャーがないし、避難の実効性等に関する規制基準もありません(行政に一任)。
 「安全に避難出来る」ことこそは重大事故時に住民の健康を守るための最後の「防護」(深層防護 第5層 IAEA)手段なのに、それに全くタッチしないのは責任放棄です。
 また60年超運転」を保証する根拠が明らかでないのに、経済的理由から原子炉等の運転期間を延長するというのは犯罪に等しいと言えます。
 2009年4月6日にイタリア中部ラクイラ市などでマグニチュード63の地震が発生し309名が犠牲となった事故で、地震の6日前に当地で開かれていた「大災害の予測と防止のための国家委員会」が大地震の可能性を否定していたことで、遺族らから、招集されていた科学者5名と行政関係者2名が「集団過失致死罪」で告訴され、禁錮6年公職から永久追放判決が全員に出されました。
 そのことの是否については異論もあるかも知れませんが、まずは「根拠のない60年超運転を安易に主張する」ことの犯罪性について自覚すべきです。
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運転延長「規制委の審査前提」 既存原発の最大限活用で 西村経産相
                           時事通信 2022/12/18
 西村康稔経済産業相は18日のNHKの番組で、原発の運転期間延長について「世界で最も厳しい原子力規制委員会の安全審査を満たすものだけが可能になる」と強調した。
 政府はエネルギー安定供給と脱炭素化の推進に向け、既存原発を最大限活用する方針だが、安全性確保が前提になると説明した。
 経産省は「原則40年、最長60年」とする運転期間の現行ルールを見直し、安全審査などによる停止期間を算入せずに事実上「60年超」運転を可能とするなど、新たな原発政策をまとめた。西村氏は、60年超運転が認められれば「電力会社の経営基盤が安定し、次なる原子炉への投資につなげていける」と指摘。廃止決定した原発の次世代型原発への建て替えも推進する考えを示した。ただ、原発の新増設は「現時点で考えていない」と語った。