福島民報社は福島テレビと共同で県民世論調査(第39回)を実施しました。東日本大震災の復興特別所得税の徴収期限を延長し、一部を防衛費増額の財源に充てる政府方針の受け止めを尋ねたところ、「全く納得できない」と「あまり納得できない」が合わせて61・5%に上りました。政府は23年度から5年間の防衛費を現在の1・5倍の約43兆円に増額する方針で、その財源として、東日本大震災の復興特別所得税の税率を現在の2・1%から1%分引き下げ、それを防衛向けの財源に充てます。復興特別所得税は37年までの課税期間を最長で13年間延長し、復興財源の総額を維持するとしています。
福島民報が、その他の分野についても詳細に伝えました。
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復興税の一部防衛費転用 「納得できない」6割超 福島県民世論調査
福島民報 2022/12/19
福島民報社は福島テレビと共同で県民世論調査(第39回)を実施した。東日本大震災の復興特別所得税の徴収期限を延長し、一部を防衛費増額の財源に充てる政府方針の受け止めを尋ねたところ、「全く納得できない」と「あまり納得できない」が合わせて61・5%に上った。被災者をはじめ国民不在と指摘される中で進んだ議論の在り方などに、多くの県民がふに落ちていない実態が浮き彫りとなった。
防衛費増額の受け止めに関する回答結果は【グラフ ↓ https://www.minpo.jp/common/img/news/20221219103378_0.jpg 】の通り。「全く納得できない」が32・5%で最も多く、「あまり納得できない」が29・0%で続き、合わせて約6割を占めた。「ある程度納得できる」は26・1%、「納得できる」は8・8%で計34・9%にとどまった。「わからない」は3・5%だった。
岸田内閣を「支持する」とした回答者のうち、防衛費増額に「納得できる」のは20・6%、「ある程度納得できる」は44・4%だった。一方、内閣を支持する層でも24・2%は「あまり納得できない」、8・9%は「全く納得できない」とした。内閣不支持層のうち「全く納得できない」は54・7%に上り、「あまり納得できない」は27・9%だった。「ある程度納得できる」は13・4%、「納得できる」は3・5%だった。
年代別で最も多い回答は、20代と30代、50代、60代が「全く納得できない」、18~19歳と70代は「あまり納得できない」だった。一方、40代と80歳以上は「ある程度納得できる」となった。18~19歳、20代、30代で「納得できる」との回答は無かった。
政府は2023(令和5)年度から5年間の防衛費を現在の1・5倍の約43兆円に増額する方針だ。防衛費増額の財源確保策として、東日本大震災の復興特別所得税の税率を現在の2・1%から1%分引き下げ、防衛向けの財源に充てる。復興特別所得税は2037年までの課税期間を最長で13年間延長し、復興財源の総額を維持するとしている。
■県民世論調査 衆院選挙区定数減 県内影響「懸念」70・5%
福島民報社が福島テレビと共同で実施した県民世論調査(第39回)で、衆院小選挙区定数を10増10減する改正公選法に伴い県内小選挙区の定数が1減の4となったことについて、福島県を含め地方の声が届きにくくなるかどうかを尋ねたところ、「非常に懸念している」「ある程度懸念している」との回答が合わせて70・5%に上った。地域の実情が国政に反映されるか懐疑的な県民が多い状況が鮮明となった。
衆院小選挙区定数の見直しに関する回答は【グラフ①】の通り。「非常に懸念している」が44・5%で最も多く、「ある程度懸念している」が26・0%で続いた。「あまり懸念していない」が18・1%、「全く懸念していない」が6・4%で計24・5%と4分の1以下だった。「わからない」は4・9%だった。
「非常に懸念している」とした回答者の割合を年代別にみると、30代の66・7%が最も高く、40代が63・2%、70代が45・1%だった。男女別では「非常に懸念している」と答えた割合が男性は45・1%、女性は44・0%だった。幅広い年代や性別が不安を抱いている実態が明らかになった。
■原発の運転延長、次世代型開発 「評価しない」半数超
政府が既存原発の運転期間を延長し、次世代型原発の開発と建設を進める方針についての回答結果は【グラフ②】の通り。「評価しない」と「どちかといえば評価しない」との回答が合わせて52・7%と過半数を占め、「評価する」「どちらかといえば評価する」は計38・8%にとどまった。「わからない」は8・5%だった。
最も多かった回答は「評価しない」で42・2%だった。全回答について岸田政権の支持動向で分析すると、岸田政権を「支持する」とした回答者は「評価する」が25・0%、「どちらかといえば評価する」が36・7%で計61・7%だったのに対し、岸田政権を「支持しない」とした回答者は「評価しない」が58・1%、「どちらかといえば評価しない」が12・2%で計70・3%だった。
経済産業省の有識者会議では、次世代型への建て替えは廃炉が決まった原発を対象とし、開発や建設で国の支援を検討することを了承。既存原発の運転期間は、再稼働のための審査の対応で停止した期間を計算から除外し、60年を超える運転を可能にした。
■処理水「理解広がらず」49・3%
東京電力福島第1原発の放射性物質トリチウムを含んだ処理水を海洋放出する政府方針について、国内外での理解が広がっているか尋ねたところ、「全く広がっていない」「あまり広がっていない」との回答が合わせて49・3%とほぼ半数を占めた。東電の放出に向けた作業が進む中、政府や東電の説明を不十分と感じる県民が依然として多い状況が示された。
処理水に関する回答結果は【グラフ③】の通り。9月の前回調査と比べ、「全く広がっていない」は9・5%で1・2ポイント減、「あまり広がっていない」は39・8%で1・6ポイント減となった。
「かなり理解が広がっている」は9・7%で0・6ポイント減、「少しは理解が広がっている」は32・1%で4・4ポイント増えた。「わからない」は8・9%で1・0ポイント減った。
政府方針を巡っては、処理水への正しい理解が広がっていないとして県内のあらゆる産業、市町村議会などから新たな風評発生への懸念や慎重な対応を求める声が根強い。
■内堀知事「支持」7割回復
内堀雅雄知事に対する県民の支持動向も調べた。「支持する」と回答した割合は76・0%で、9月の前回調査より6・1ポイント上昇し、再び7割台に回復した。結果は【グラフ④】の通り。「支持しない」は14・6%で、前回から0・7ポイント微増した。「わからない」は9・5%で、前回から6・7ポイント減となった。
内堀知事を「支持する」とした回答者に理由や政策を尋ねたところ、「復興・地方創生」が21・3%で最も割合が高かった。次いで「福島第1原発の廃炉・処理水対策」15・4%、「国内外への情報発信」12・6%、「風評・風化対策」11・8%などだった。
一方で、「支持しない」とした回答者の理由で最も割合が高かったのは「福島第1原発の廃炉・処理水対策」の34・2%で、前回より6・8ポイント減少したものの高い傾向が続いている。不支持の理由に「リーダーシップ」を挙げた割合は18・9%で、前回より7・9ポイント悪化した。
男女別にみると、男性は「支持する」72・7%、「支持しない」17・3%、「わからない」10・1%となった。女性は「支持する」79・4%、「支持しない」11・8%、「わからない」8・8だった。
■内閣「支持」32・6% 前回比1・5ポイント下落
岸田文雄首相の岸田内閣に対する県民の支持動向も調査した。結果は【グラフ⑤】の通り。「支持する」が32・6%で9月の前回調査から1・5ポイント下落した。「支持しない」は45・2%で前回より0・5ポイント減少したものの、前回調査に引き続き「支持しない」が「支持する」を上回った。「わからない」は22・2%で前回比2・0ポイント増となった。
岸田政権に望む復興政策については「福島第1原発の廃炉・処理水対策」が36・7%で最も割合が高く、「景気経済対策」12・1%、「帰還困難区域全域の除染と避難指示解除」11・0%、「風評・風化対策」9・2%などが続いた。
【調査結果(かっこ内は9月の前回調査)】
長文のため以下省略 興味をお持ちの方は下記から原文にアクセスしてください↓。
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