NPO法人「原子力資料情報室」の情報提供で明らかになった、原子力規制庁と経産省の原発の運転期間の延長を巡る事前調整に関して、規制庁が27日に記者会見し、事務局の規制庁が経産省と事前に7回に渡り会合を行っていたことや、電話での連絡も約30回行ったことを明らかにしました。
規制委は福島原発事故の反省から作られた組織で、規制と推進を厳格に分離することを約束してきただけにガバナンスが厳しく問われることになります。
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原子力規制庁、資源エネ庁と7回面談 原発運転期間延長検討前に
毎日新聞 12022/12/27
原子力規制委員会事務局の原子力規制庁は27日、原発の運転期間を延長する制度改正を巡り、規制委の正式な検討開始前の7~9月に、経済産業省資源エネルギー庁と計7回面談していたと発表した。記録は残っていないという。電話での連絡も約30回に上り、頻繁な接触が明らかになった。
NPO法人・原子力資料情報室が21日に、規制庁と経産省の制度改正に関する事前調整を示す「内部文書」を入手したとして公表し「規制と推進を分離する福島第1原発事故後の原則に反する」と指摘。これを受け規制庁が内部調査した。
調査結果によると、最初の面談は政府の「第1回グリーントランスフォーメーション(GX)実行会議」の開催翌日の7月28日で、エネ庁側が規制庁を訪問。会議での岸田文雄首相の指示を踏まえて、運転期間について規制委の所管する法律を含む制度改正の検討を始めたと伝えた。その後2回の面談を経て、規制庁で長官を含めた打ち合わせが8月23日にあり、規制庁内の検討が始まったという。
◇規制庁「独立性に問題なかった」
8月24日には第2回GX実行会議で岸田首相が運転期間延長検討を経産省へ指示。これを受け規制庁は、更田豊志(ふけた・とよし)委員長(当時)に規制委での対応が必要だと報告。9月19日には現委員長の山中伸介氏にも伝えたが、面談実施や検討状況の説明はなかった。面談では、エネ庁側の資料に規制委の所管事項に触れた内容が含まれ、規制庁側から規制委が検討すべき事項だと指摘したこともあったという。山中委員長の規制庁への検討指示は10月5日だった。
規制庁の黒川陽一郎総務課長は「面談はエネ庁からの伝達の場で、協議やすり合わせはしておらず、独立性の点で問題はなかった」と述べた。
また規制庁は、情報室が公表したのは規制庁総務課法令審査室が8月29日に作成した資料だと説明した。第2回GX実行会議後に、規制庁を外局とする環境省からの依頼で作り、経産省側の検討状況も記していた。規制委は独立性の高い「3条委員会」のため、黒川課長は「想像で書いたような部分も混ざり、身内ではない環境省に出すべきではない情報だった」と認めた。
面談について、福島原発事故後の規制委発足時の委員長だった田中俊一氏は毎日新聞の取材に「ごく当たり前のことだと思う。省庁と普段からよくあるやり取りで(規制委の指示前から)情報収集することは何も問題ない」と述べた。一方、情報室の松久保肇(まつくぼはじめ)事務局長は「エネ庁が示した改正案の一部に規制庁が問題点を指摘しており、事前調整そのものだ」と批判した。【土谷純一、吉田卓矢】
規制庁が経産省と7回“事前会合”
テレビ朝日系(ANN) 2022/12/27
規制庁が経産省と7回“事前会合”
原発の運転期間の延長を巡り、原子力規制委員会が新しい規制制度の検討を指示する前に事務局の原子力規制庁が経済産業省と7回に渡り会合を行っていたことが分かりました。
NPO法人「原子力資料情報室」の情報提供で問題が発覚し、規制庁が27日に記者会見し明らかにしました。
規制委は福島第一原発事故の反省から作られた組織で、規制と推進を厳格に分離することを約束してきただけにガバナンスが厳しく問われることになります。
規制庁によりますと、会合は第1回GX実行会議の翌日の7月28日から始まり、山中伸介委員長が原発の運転延長が行われた場合の規制について検討するよう指示した10月5日までの3カ月間に少なくとも7回行われました。
会合では経産省側から運転期間改正のイメージや改正を議論している経産省有識者会合の資料を事前に提供されたりしました。
新規制制度では運転30年から10年ごとに原発の施設管理計画について認可を受けることで決着しましたが、規制庁は8月末には制度を先取りするかのような資料を作っていました。
また、9月1日には制度改正を見据えて職員3人に担当部署への人事を発令しましたが、委員長には報告されていませんでした。
規制庁側は「面談であり、協議やすり合わせはしていない」などと説明しています。