原子力損害賠償紛争審査会(原賠審)による福島原発事故についての国の賠償基準「中間指針」の見直し作業が大詰めを迎える中、東電は自主的避難等対象区域から外れている福島県県南地方と宮城県丸森町の妊婦・子ども以外の住民に対する独自の追加賠償を検討しているということです。それ自体は結構なことです。
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福島県県南地方に追加賠償検討 東電、自主避難区域の半額軸
福島民報 2022/12/18
文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会(原賠審)による東京電力福島第1原発事故に伴う国の賠償基準「中間指針」の見直し作業が大詰めを迎える中、東京電力は自主的避難等対象区域から外れている福島県県南地方と宮城県丸森町の妊婦・子ども以外の住民に対する独自の追加賠償を検討している。複数の関係者が17日、明らかにした。20日にも決定する中間指針第5次追補で示される、自主的避難等対象区域の住民への追加賠償額の半額程度を支払う案が軸になるもようだ。
原賠審のこれまでの議論で、第5次追補で県北地方などの23市町村が対象の自主的避難等対象区域の子ども・妊婦以外の住民の精神的損害の賠償対象期間を拡大する方向となっている。ただ、対象区域は拡大せず、白河、西郷、泉崎、中島、矢吹、棚倉、矢祭、塙、鮫川の9市町村が含まれる県南地方や宮城県丸森町は今回も外れることが濃厚となっている。中間指針見直し後に格差が生じる懸念が出ている。
ただ、東電は過去にも放射線量の大幅な上昇などを考慮し、中間指針第1次追補で対象区域外となった県南地方と丸森町の子ども・妊婦には2012(平成24)年に自主的避難等対象区域の半額となる1人当たり20万円を賠償した。その後の第2次追補を踏まえ、追加的費用として子ども・妊婦にかかわらず1人当たり4万円を賠償した。こうした経緯も踏まえ、今回も独自の追加賠償が必要と判断して検討に入ったもようだ。
流動的な面も残るが、東電は今後、政府や与党との調整を踏まえ、最終判断するとみられる。