元京都大原子炉実験所の小出裕章さんが25日、茨城県土浦市で講演し、発生から12年を迎える福島第1原発事故に関し、国などが「収束まで30〜40年」としているのを批判して「溶け落ちた炉心が今、どこにあるかも分からず、今、生きている人たちが死んだ後も収束できない」と述べました。また子どもたちが甲状腺がんにかかる事例が増えていることついては、「日本人である限り、大人には何らかの責任がある」と指摘しました。
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福島第一原発事故「終わっていない」 元京大助教・小出裕章さん、土浦で講演
東京新聞 2022年11月26日
原発の危険性を訴え続けてきた元京都大原子炉実験所助教の小出裕章さんが二十五日、茨城県土浦市の県南生涯学習センターで講演した。小出さんは、日本原子力発電が再稼働を目指す東海第二原発(東海村)について、「岸田政権は原子力の旗を振り始めて、原電に再稼働をせっついている」と懸念を示した。
小出さんは、発生から十二年を迎えようとしている東京電力福島第一原発事故に関し、国と東電が「収束まで三十〜四十年」としている工程表のシナリオを批判。「溶け落ちた炉心が今、どこにあるかも分からず、今、生きている人たちが死んだ後も収束できない」と指摘し「事故はまだ終わっていない」と警鐘を鳴らした。
被ばくに敏感な子どもたちが甲状腺がんにかかる事例が、福島県内で増えている現状も訴え「日本人である限り、大人には原発事故に何らかの責任はある。子どもたちを守るのは大人の責任だ」と呼びかけた。
講演会は福島応援プロジェクト茨城が主催し、東京新聞水戸支局などが後援。約百人が参加した。(林容史)