2022年12月1日木曜日

北陸電力 一般家庭向け電気料金46パーセントの値上げ申請

 北陸電力は30日、多くの一般家庭も利用する電気料金の値上げを経産省に申請しました。

 4月1日から電気料金は平均45.84パーセントの値上げとなります。家庭向けの電気料金の本格的な値上げはオイルショック直後の1980年4月以来、43年ぶりです。
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北陸電力45.84パーセントの値上げ申請 一般家庭向け電気料金で大きな家計負担へ 富山
                       チューリップテレビ 2022/11/30
北陸電力は30日、多くの一般家庭も利用する電気料金の値上げを経済産業省に申請しました。1か月の電気料金は平均45.84パーセントの値上げとなります。
  【写真を見る】↓ 北陸電力45.84パーセントの値上げ申請 一般家庭向け電気料
         ↓ 金で大きな家計負担へ 富山
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北陸電力 松田光司 社長「このままでは、燃料の安定調達や電力設備の保全、電力の安定供給に万全を期すことに影響を及ぼす恐れがあります。大変心苦しい限りではありますが、電気料金の値上げを実施することとし、本日、来年4月1日からの値上げにつきまして、経済産業大臣に規制料金の認可申請を行いました」
北陸電力は30日、一般家庭や小規模な工場など顧客およそ115万件のうちの半数が契約する電気料金について2023年4月からの値上げを経済産業省に申請しました。
値上げ幅は平均で45.84パーセント。一般家庭のモデル世帯で1か月あたり230キロアワー使用した場合、支払い額がこれまでより2,696円多い、9,098円となります。
家庭向けの電気料金の本格的な値上げはオイルショック直後の1980年4月以来、43年ぶりです。

■火力発電の燃料、石炭価格はおよそ4倍に…
背景にはロシアのウクライナ侵攻よる燃料価格の急騰があります。火力発電の資源となる石炭の価格はここ1年半の間でおよそ4倍にまで膨れ上がっています
それに加え円安が急速に進んだことで、電力調達コストが大幅に増加しています。
こうした背景から、北陸電力は今年度の連結経常利益について過去最大となる1000億円の赤字を見込んでいます。
また、来年度からの3年間で従業員の賃金の見直しや燃料調達コストのさらなる低減など132億円もの経費削減が必要な状況です。

■経営効率化でまかなえない大きな費用増…
北陸電力 松田光司 社長我々の経営の効率化だけではコスト増要因がまかなえない。企業努力だけではいかんともしがたいはるかに大きな費用増が発生している。値上げという形でお客様にご負担を今回、お願いする苦渋の決断といいますかさせていただきながら、お客様にお願いさせていただきたい」
政府は負担軽減策として2023年1月から8月分までの家庭向け電気料金について1キロワットアワーあたり7円を補助することにしていますが、家計への影響は避けられない状況です。北陸電力は今後、顧客対象に説明会を開くなど、料金改定に至った経緯などを説明し、理解を得ていきたいとしています。

■北陸電力の発表を受け新田知事は…
富山県 新田知事「いま、ウクライナのこと、あるいは円安の急激な進行で北陸電力さんも厳しい状況のなかでの苦渋の決断だと理解している。少なからず県民の生活に、また県内企業の事業活動に影響が出るものと心配はします。電気代、ガス代のことについては国が直接支援するので、県としてはもう少しきめ細やかな、産業別とかそのような支援をいま補正予算でみているところです」


北陸電力 大幅値上げ申請の背景は…
                           北日本放送 2022/11/30
 なぜ、北陸電力が、大幅な値上げを申請しなければならなかったのか、その背景の解説は数家さんです。
 まずは、北陸電力の電源構成を確認しておきましょう。
 北陸電力によりますと、2008年に改定した現在の料金には、志賀原子力発電所の稼働分を19%織り込んでいました。
 しかし、東日本大震災以降、志賀原発は停止しています。
 今回は3%になっていますが、まだ再稼働していませんよね。
 志賀原発2号機の再稼働時期を、現在行われている審査が最大限効率的に進むことを前提に2026年1月として原価を算定しました。減った原発分は火力電力でカバーしていて、このうち最も燃料単価が安い石炭の比率を14ポイント増やし、全体の64%を占めています。
 値上げの最も大きな理由は、世界的な資源価格の高騰ですね。
 石炭価格は去年4月から6月と、ことし8月から10月の平均と比べると3.8倍にも急騰しています。
 さらに、円安も加速しています。去年4月から9月の平均1ドル110円と比べると、先月末は1.35倍になりました。
 燃料費の増加分は、電気料金に反映することができますよね。
 燃料費調整制度に基づき、燃料価格の変動を毎月自動的に電気料金に反映する仕組みとなっています。しかし、規制料金は、その調整に上限が設定されていて、すでにことし2月から上限に達しています。
 つまり、現状ではこの赤い部分、燃料価格の急騰に伴う供給コスト分を電気料金で回収できす、電気が使われれば使われるほど赤字が膨らむ状況です。
 今年度の連結経常損益は1000億円の損失と、1970年代のオイルショックや、震災直後の収支悪化をはるかに上回る過去最大の赤字となる見込みです。
 今回の値上げ申請は、全国10電力中6社が行いますが、同じ条件で電気料金を比較するとどうなりますか。
 まずは現在の料金で、一般家庭を想定した1か月のモデル料金は、北陸電力が7211円と最も安く、北陸電力もこれをアピールしていました。
 今回、値上げを申請した東北、中国、四国、沖縄、北陸電力の5社は、全て1万円を超えました。
 北陸電力は、まだ申請していない東京電力を除き、高い方から4番目となります。
 こうした状況を受けて、国は、来年2月分から料金を値引きする負担軽減策を導入する予定ですね。
 先ほどのモデル家庭で見ると、月額で1820円の値引きになり、実際の支払額は8473円です。しかし、10月分からは、値引き額が半額となる予定で、いつまで継続するかなどその先は未定です。
 値上げ申請後の今後の国の動きはどうなりますか。
 まず、専門の委員会が値上げの妥当性を審査します。広く一般から意見を聴く公聴会も行った上で認可を行います。申請から認可までおおむね4か月かかるとされています。
 値上げの申請通り、認可されるのでしょうか。
 過去の事例を見てみると、例えば東北電力は2013年に東日本大震災の復旧コストなどで財務状況が悪化し、値上げを申請した際、平均11・41%の申請に対し、実際に認可されたのは、平均8・94%でした。
 北陸電力の値上げ申請に対して、今後、国の審査がどのように判断するかがポイントです。
 一方、この電気料金の値上げとは別に送配電設備の利用料金に相当する託送料金も来年4月から値上げされる見込みで、およそ5%のアップに相当します。
 今回発表分に単純にプラスすると50%あまりと、電気料金は実に1.5倍に跳ね上がることになります。
 今回の値上げの幅は、第1次、第2次オイルショックに次いで3番目の大きさです。北陸電力は、来月から各市町村に出向き、利用者への説明会を開いて、丁寧に説明するとしています。