2021年3月19日金曜日

県民をばかにしている 東電へ憤り 柏崎刈羽原発 核防護不備

 共産党の井上哲士議員は17日の参院予算委で、柏崎刈羽原発で不正な侵入を防ぐ装置が昨年3月以降、故障し続けていた問題を取り上げ、東電に対し「原発を運転する資格そのものが問われている」と厳しく批判しました。

 そして規制委の更田委員長に、昨年9月に規制委が東電保安規定の基本姿勢を了承したことに対して「その前にID不正や今回の問題が起きていた。適格性を認めた判断の前提が崩れているのではないか」とただしたのに対して、更田氏は、「核セキュリティー文化がずたずたにもかかわらず、安全文化がしっかりしているというのは考えにくい」と述べ、保安規定違反の有無についても今後確認していく必要があると答弁しました。
 市民や首長からも、東電への怒りや不信の声が上がっています。
 しんぶん赤旗と新潟日報の記事を紹介します。
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原発運転 資格あるのか 参院予算委 井上氏が東電批判
                       しんぶん赤旗 2021年3月18日
 日本共産党の井上哲士議員は17日の参院予算委員会で、東京電力柏崎刈羽原発でテロ目的などの不正な侵入を防ぐ装置が昨年3月以降、故障し続けていた問題を取り上げ、東電に対し「原発を運転する資格そのものが問われている」と厳しく批判しました。
 井上氏は、住民から大きな怒りと不安の声が上がっているとして、東電の小早川智明社長に「今回の問題はなぜ発生したと考えているのか」と追及。小早川社長は、故障した装置の代替措置をとっており、「十分だとしていたこと自体が大きな問題だった」と述べつつ、現場任せにしないと答弁しました。井上氏は「現場任せが問題だったのか」と批判し、原子力規制委員会が組織的問題を指摘していると述べました。
 井上氏は、規制委が同原発の再稼働に向けた審査で、昨年9月に東電に原発を動かす「適格性」を認め、保安規定の基本姿勢を了承したことに言及。「その前にID不正や今回の問題が起きていた。適格性を認めた判断の前提が崩れているのではないか」とただしました。
 規制委の更田豊志委員長は「核セキュリティー文化がずたずたにもかかわらず、安全文化がしっかりしているというのは考えにくい」と述べ、保安規定違反の有無についても今後確認していく必要があると答弁。井上氏は「しっかり再検証してもらいたい」と迫りました。
 梶山弘志経済産業相が「このままでは再稼働できる段階にない」と述べたのに対し、井上氏は「原発を運転する会社としての資格そのものが問われている」と強調しました。


県民をばかにしている 東電へ憤り 柏崎刈羽原発 核防護不備
                            新潟日報 2021/03/18
 東京電力柏崎刈羽原発の核物質防護設備の機能が一部失われ、原子力規制委員会が事態の重要度を最悪レベルの「赤」と暫定評価してから一夜明けた17日、新潟県民からは「この状況で原発の再稼働に賛成はできない」などの声が上がり、東電への憤りが渦巻いた。
 同原発が立地する柏崎市では、他人のIDを使って不正に中央制御室に侵入した問題が発覚するなど、東電の度重なる失態に怒りの声が聞かれた。
 買い物をしていた同市久米の無職女性(85)は「何か問題があっても発表や報告の遅い東電には不信感しかない。再稼働はしてほしくない」と憤った。同市西本町3の男性は「問題が次々に発生し、東電への信用はなくなった。100年たっても体質は変わらないだろう。住民がどれだけ不安か分かってほしい」と注文した。
 新潟市中央区の新潟日報メディアシップで新聞を読んでいた同市西蒲区の会社員男性(60)は「驚いた。もしテロが起きたらどうするのか。東電は安全意識が欠如している」と訴えた。
 新潟市中央区の主婦(55)は「東電は何回も不手際があり、その都度反省しているというが、全く反省していない。県民がばかにされていると感じる今は再稼働とか全くそんな状態ではない」と憤慨。同区の60代女性は「福島の原発事故から10年たってこの状態。何度も問題が繰り返されると、隠していることがまだあるのではないかと思う」といぶかった。
 これまで再稼働に理解を示してきた県民も今回の事案を問題視する。原発に賛成する柏崎市の会社役員男性(86)は「エネルギーの安定供給などの面で再稼働に期待していたが、大きなミスで残念」と東電に自覚を促す。
 同市桜木町の自営業男性(77)も「社員が安全に対していい加減だと思った。厳しいことも言いたくなる」と落胆。
 地域経済の活性化のために再稼働を望むという上越市柿崎区の民宿オーナー男性(46)は「再稼働は安全性が100パーセント保証されているのが大前提。相次ぐ不誠実な対応を改め、原発のセキュリティーをしっかり構築してほしい」と求めた。

◎長岡市長「運転適格性ない」 上越市長「企業統治に疑念」
 東京電力柏崎刈羽原発の核物質防護設備の侵入検知機能が喪失していた問題を受け、県内の首長も東電への批判や不信感を示した。
 長岡市の磯田達伸市長は17日、市議会総務委員会で質問に答え「東電に原発を運転する適格性はない。再稼働はすべきでない」と批判した。市によると、東電からは16日午後、市に対し電話とファクスでこの問題についての報告があった。
 磯田市長は自身が代表幹事を務める県内30市町村の研究会を通じ、東電による説明と、原子力規制委員会による適格性の評価を求めるとした。再稼働を巡り、県から市の意見を求められる際は「規制委の判断、県の検証結果を踏まえて判断する」と述べた。
 同原発から半径5~30キロ圏の避難準備区域(UPZ)を抱える上越市の村山秀幸市長は17日の市議会3月定例会の一般質問で「企業統治や法令順守がどのように機能していたのか、大きな疑念を抱かざるを得ない」と強い不信感を示した。
 村山市長は、東電の管理能力に繰り返し疑問を呈し、「こんなことを繰り返せば、昔の学校だったら先生にはたかれる。へきえきとする」と述べた。