2021年3月28日日曜日

官邸前抗議 400回 反原連 「原発ゼロ」訴え続ける

 福島第一原発事故後12329から約9年半にわたり、脱原発を訴えて毎週金曜夜に開催されてきた首相官邸前デモは、26日で休止することになりました
 デモは実に400回にわたって行われました。
 主催してきた「首都圏反原発連合」は25日付で、活動休止にあたっての声明を発表しました。
 しんぶん赤旗と東京新聞の記事(「声明全文」を含む)を紹介します。
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官邸前抗議 400 反原連 「原発ゼロ」訴え続ける
                       しんぶん赤旗 2021年3月27日
 首都圏反原発連合(反原連)は26日、休止前最後の首相官邸前抗議を行いました。2012年3月29日に始まった抗議はこの日で400回目。ひときわ大きなドラムの音、参加者の「原発やめろ」「再稼働反対」「すべての原発、今すぐ廃炉」のコールが首相官邸と国会を包みました。

 スピーチした、福島県浪江町から避難している女性は「自宅に戻れず夫は7年前に亡くなった。何が復興五輪か」と訴え。茨城県東海第2原発再稼働に反対する女性は「反原連は休止しますが、一人ひとりの異議申し立ては続けていきます」と語りました。
 2年ぶりに参加したという千葉県浦安市の女性(72)は「ここに来れば一緒に声をあげる人がいました。原発のこと、福島のことを忘れず声をあげていきます」と述べました。

 反原連は同日、活動休止にあたりステートメント(声明)を発表し、「エネルギー政策が原発ゼロに転換するまで解散はしない」と表明。「脱原発の圧倒的な国民世論は変わっていない」「待たれるのは原発ゼロの政治決断だけ」と強調し、「脱原発」を求める人々とともに「原発ゼロ、再エネ100%の実現に向け、尽くしていく」と述べています

 日本共産党の笠井亮、藤野保史の両衆院議員、吉良よし子参院議員が抗議に参加。笠井氏は、9年間、400回の抗議が国と電力会社を追い詰めていると強調。原発ゼロへ「市民と野党で政権を代えるときです。ともに力を合わせましょう」と訴えました。


(写真)「すべての原発今すぐ止めろ」「再稼働反対」とコールする人たち=26日、首相官邸前







「原発なくせ」金曜夜最後の官邸前デモ、400回目の訴え 事故処理や廃炉「まったく解決していない」
                          東京新聞 2021年3月26日
 10年前の東京電力福島第一原発事故をきっかけに東京都千代田区の首相官邸前などで脱原発を訴え、今月末で活動を休止する「首都圏反原発連合」が26日夜、400回目となる最後の集会を開いた。官邸前には数百人が駆けつけ、「原発なくせ」と声を上げた。

 参加者は脱原発を訴えるプラカードや、のぼり旗を掲げ、官邸に向けて太鼓を鳴らしながら「老朽原発もう動かすな」「原発再稼働反対」などとシュプレヒコールを上げた。
 当初から参加してきた埼玉県新座市の無職松田裕行さん(80)は「福島の事故はまだ終わっていない。原発をなくさない限り、人間社会の未来はないのではないか」と訴えた。
 渋谷区の無職女性(72)も「ふるさとに帰れない福島の人も多い。廃炉も大変で、全く解決していない」と強調した。
 団体は今後、会員制交流サイト(SNS)などで脱原発を訴えるという。(天田優里)










金曜の官邸前デモ、9年半を経て活動休止 
     首都圏反原発連合がステートメント【全文】
                         東京新聞 2021年3月26日
 福島第一原発事故後、約9年半にわたり、脱原発を訴えて毎週金曜夜に開催されてきた首相官邸前デモは、26日で休止する。主催する「首都圏反原発連合」は25日付で、活動休止にあたってのステートメントを発表した。全文は以下の通り。最後の抗議活動は、26日午後6時30分ー午後8時に行われる。ライブ配信もある。

◆首都圏反原発連合・活動休止にあたり
 首都圏反原発連合(反原連)は、2021年3月末をもって活動を休止いたします。活動休止時期については数年前から検討してきましたが、2019年秋に活動休止の日時とその半年前にアナウンスすることを内部決定いたしました。会議での議決に従い計画的に進めたところ、コロナ災害下での活動休止アナウンスとなったため、いくつかの報道で「コロナで活動休止に追い込まれた」などの記載がありましたが、それらは誤報であり、コロナ災害と活動休止の因果関係はまったくないことを、まずはお断りさせていただきます。むしろ、予想だにしなかった状況下で、最後の1年間を思うように活動できなかったことが悔やまれます。
 「解散」ではなく「活動休止」であることも、改めてお伝えいたします。休止する活動は、主軸として取り組んできた『再稼働反対!首相官邸前抗議』(以下、金曜官邸前抗議)や、年に数回開催してきた週末の国会前集会、リーフレットや『NO NUKES PRESS』の発行などです。今後は運営用のグループウェアは温存し、TwitterなどSNSなどでの発信、昨年秋から始めた『MCAN podcast』などは継続し、これまでの活動や運営などの記録集の編纂を始める予定です。原発問題で大きな動きがある場合、何らかの呼びかけをする可能性も視野に入れ、エネルギー政策が原発ゼロに転換するまで解散はしない所存です。

 2011年の3.11東日本大震災により引き起こされた東京電力・福島第一原発事故を契機に結成した反原連は、約9年半ものあいだたゆまずに活動を続けてまいりました。金曜官邸前抗議は9年間ほぼ毎週開催し、その回数は400回となりました。その間、行先の決まらない核のゴミをこれ以上増やさないため、原発事故の再発をさせないために即時ゼロを訴え続けました。廃炉には30年以上もの年月が必要であることからも、一刻も早く作業を開始しなければ、原発の電力の恩恵を受けていない次世代に後始末をさせることになります。原発をなくすことは私たち大人の責任範囲であることを胸に、メンバー一同活動してまいりました。
 国のエネルギー政策の転換を待たずに活動を休止することは悔いが残るいっぽうで、最近の世論調査でも76%の人々が原発ゼロを望んでいるという結果がでたことでもわかるように、原発事故から10年経っても、脱原発の圧倒的な国民世論は変わっていないことを心強く思います。事故を経て、それまで原発に関心をもたなかった多くの人々がその危険性に気づくという、意識のパラダイムシフトを果たしたにも関わらず、第二次安倍政権以降、原発推進に転じたことは、社会の変化の速度に比べ政治の歩みが遅いということが可視化された事象と言えます。あるいは、間接民主制が正常に機能していないとも言えます。

 3.11福島原発事故の後、海外では脱原発への舵をきる国もあり、再生可能エネルギーが主流になってきています。また、原発産業は経済的にも立ち行かないことも周知されています。そのような中でもはや原発を維持する理由はなく、待たれるのは原発ゼロの政治決断だけという状況です。政府は一刻も早く全ての原発を禁止し、廃炉について早急に取り組まなければいけません。また、カーボンニュートラルのためにCO2をださない原発を重用しようという論調もありますが、原発ゼロを最優先にし、しばらくは火力で代替えしながら、急ピッチで再エネ100%を実現するべく努力をすることが、現実的ではないでしょうか。

 最後に、活動休止にあたり、賛同し参加くださった皆さま、ドネーション⇒寄贈にご協力くださった皆さま、全国で連帯して金曜行動を実施されてきた皆さま、言論の場などでサポートくださった有識者の皆さま、ともに歩んでくださった国会議員の皆さま、応援し手伝ってくださった皆さま、関わってくださった全ての皆さまに、加えて、官邸前・国会前の現場で対応いただいた歴代の麹町署警備課長や署員の皆さまに、心よりの感謝の意を表します。これからも脱原発を希求する全国、そして世界中の人々と志を同じくし、21世紀にふさわしいエネルギー政策である原発ゼロ、再エネ100%の実現に向け、尽くしていく所存です。

               2021年3月25日
      首都圏反原発連合 Metropolitan Coalition Against Nukes