原子力規制委は、おととし再開した福島第一原発の事故調査の報告書をまとめました。
それによると2号機と3号機の原子炉建屋上部にあるシールドプラグと呼ばれるコンクリートのふたに、メルトダウンを起こした3基の原子炉にあった放射性物質のおよそ1割(7京ベクレル)という膨大な量が付着していることが分かりました。人が近寄って作業することができないので、今後の廃炉作業の方法について検討し直す必要があります。
また格納容器の圧力を逃がすために「ベント」操作を行った1号機と3号機では、気体の一部が配管を通じて建屋に逆流し、建屋内を汚染させたことも分かりました。
現状を正確に把握することが廃炉を合理的に進める上で必須の要件ですが、今ようやくその段階に入ったということです。
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“建屋上部で激しい汚染見つかる” 福島第一原発 調査報告書
NHK NEWS WEB 2021年3月10日
原子力規制委員会は、おととし再開した東京電力福島第一原子力発電所の事故調査の報告書をまとめ、原子炉建屋の上部で激しい汚染が見つかるなどしたことから、今後の廃炉作業について東京電力と検討を進めるとしています。
原子力規制委員会は放射線量が下がった場所を中心に、2年前から事故調査を再開し、その結果を10日に報告書にまとめました。
それによりますと、核燃料が溶け落ちるメルトダウンを起こした1号機から3号機の3基の原子炉にあった放射性物質のおよそ1割にあたる、合わせて7京ベクレルが2号機と3号機の建屋上部にあるシールドプラグと呼ばれるコンクリートのふたに付着している可能性があることが、新たにわかったということです。
規制委員会は汚染が予想以上に激しく、仮に廃炉に向けてふたを取り外す場合、人が近寄って安全に作業することが極めて困難になるとして、被ばく対策を含めて今後の廃炉作業の方法について、東京電力と検討を進めるとしています。
このほか、原子炉がある格納容器を守るため、中の気体を外に放出する「ベント」という操作を試みた1号機と3号機では、気体の一部が配管を通じて建屋に逆流していたこともわかり、これにより建屋内の汚染を広げた可能性があると指摘しています。
また、逆流した気体には水素も含まれていて、水素爆発につながったおそれもあるとして、今後、設備の検証などを進める必要があるとしています。
水素爆発については映像を分析するなど、初めて詳細な検証が行われ、3号機では最初の爆発に続き、水素とは別の可燃性ガスも混ざった爆発的な燃焼が連続して起きていた可能性が高いとしました。
規制委員会は、今後も調査を継続するとしています。