柏崎刈羽原発6、7号機共用の施設で、隣り合うコントロール建屋と廃棄物処理建屋を隔てた壁を通る配管周りで、耐火材を巻いて壁の隙間をふさぐ防火工事が行われていなかったことが判明しました。貫通箇所23カ所中4カ所が未施工でした。
未完了工事の確認は4件目です。
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柏崎原発 未完工事4例目 7号機中枢建屋の火災防護対策
新潟日報 2021/03/04
東京電力柏崎刈羽原発7号機の安全対策工事で未完了工事が相次いで見つかっている問題で、東電は3日、同原発6、7号機を運転する「中央制御室」のあるコントロール建屋へ通じる配管の壁貫通部4カ所で火災防護工事が行われていなかったと発表した。未完了工事の確認は4例目。1月に見つかった空調ダクトに続き、またも原発中枢部にかかわる防火対策の不完全が明らかになり、東電の危機管理態勢に対する批判はさらに高まりそうだ。
東電によると、今回未完了が見つかったのは、6、7号機共用の施設。隣り合うコントロール建屋と廃棄物処理建屋を隔てた壁を通る配管周りで、耐火材を巻いて壁の隙間をふさぐ工事が行われていなかった。どちらか一方の建屋で火災が起きた場合に、配管周りの隙間を通じて他方の建屋に延焼させないための措置で、新規制基準でも対策が求められている。
未完了工事が見つかったコントロール建屋地下2階には空調設備がある。同じ建屋の地上階には中央制御室がある。工事が必要な壁貫通部は23カ所あり、このうち4カ所が未完了だった。水の侵入を防ぐ止水工事はいずれの箇所も行われていた。
東電広報部は「設計部門が工事部門へ火災防護工事の実施を依頼したが、実際に行われたかどうかを確認していなかった」と説明。火災時の影響については、「仮にコントロール建屋地下2階で火災があっても、中央制御室の区画は別に防火対策がしてあり、機能に影響はない」とした。
東電は今回の対象を「廃棄物処理建屋の工事」と公表した。より重要なコントロール建屋の工事として公表しなかった理由について、「工事管理上の仕分けの問題。過小にみせる意図はない」とした。
東電が再稼働を目指す柏崎刈羽原発7号機では、東電福島第1原発事故を踏まえて見直された新規制基準に基づく安全対策工事を実施。東電は1月13日に全ての工事が完了したと発表したが、同27日に未完了工事があったと発表した。その後の総点検で、安全上重要な施設を含め、未完了工事が次々と判明している。東電は継続中の総点検について「終了時期は見通せない」としている。
未完工事続出「信用できない」 柏崎原発・地域の会 厳しい声相次ぐ
新潟日報 2021/03/04
東京電力柏崎刈羽原発の安全性について地元住民が議論する「原発の透明性を確保する地域の会」の定例会が3日、新潟県柏崎市で開かれた。東電は開会直前、7号機の安全対策工事における4件目の未完了を公表。委員からは「どうして何度も起こるのか。東電はとても信用できない」などと厳しい指摘が相次いだ。
同原発の石井武生所長は「未完了が何件も出て不安を与え、誠に申し訳ない」と陳謝。「火災防護、止水工事は非常に箇所数が多く、設計側の変更通知を工事側がしっかりと受け止めていなかった」と釈明した。
今後も未完了が判明した際は、再発防止策ができた段階でまとめて報告する方針も示された。
委員からは「完了報告の際に社員が現場に立ち会っていないのが原因ではないか」など、管理体制を問う声が上がった。「原子力規制庁が甘いから連携不足が起こるのではないか」と規制当局への苦言も出た。
原子力規制庁柏崎刈羽原子力規制事務所の渡邉健一所長は「われわれは使用前検査に合格したことを工事完了と定義している」と述べ、東電との立場の違いを強調した。