東電が、東通原発の建設を進めている青森県東通村に、企業版ふるさと納税制度を利用し最大4億円の寄付を検討していることが分かりました。
原発事故の賠償などで国費が投入されている東電が、新たな原発建設に関連して寄付することに対し、龍谷大の大島堅一教授(環境経済学)は「東電は福島への責任を果たすべきで、寄付をする前にやるべきことはたくさんある」と批判しました。
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原発立地にふるさと納税 東電が最大4億円、東通村に寄付検討
東京新聞 2019年3月29日
東京電力ホールディングスが、東通(ひがしどおり)原発の建設を進めている青森県東通村に、企業版ふるさと納税制度を利用し最大四億円の寄付を検討していることが分かった。福島第一原発事故の賠償などのため国費が投入されて延命した東電が、新たな原発建設に関連して寄付することに対し、専門家から批判が出ている。
企業版ふるさと納税制度は自治体の地域活性化策に寄付すると、寄付額の約六割が税金から差し引かれる仕組み。東電は二十八日、東通村を訪れ、村の移住促進策などを盛り込んだ総事業費約八億円の地域再生計画に対し、寄付を検討すると伝えた。
東通村内に停止中の原発を抱える東北電力は既に約四億円を寄付することを表明した。東電は残りの四億円以内の額を寄付するとみられる。東電の広報担当者は「寄付を決定した事実はない」と話した。
東電の東通原発は二〇一一年一月に1号機を着工し、福島第一原発事故後に工事を中断。建設作業は再開しているものの、道路整備や地質調査にとどまり、完成時期の見通しは立っていない。固定資産税の収入が見込めなくなった村が、東電に支援を要請していた。
東電は福島第一原発事故以降、経営危機に陥り、福島県を除き寄付行為をしてこなかった。一方、福島県の被災者らが申し立てた裁判外紛争解決手続き(ADR)では一八年以降、和解案を東電が拒否し、手続きが打ち切りになる例が目立っている。
龍谷大の大島堅一教授(環境経済学)は「東電に存在意義があるとすれば、福島への責任を果たすことで、新たに原発をつくることではない。寄付をする前にやるべきことはたくさんある」とくぎを刺した。(伊藤弘喜)