鳥取県の大山が噴火した場合、福井県内にある高浜、大飯、美浜の3つの原発について、関西電力は、当初敷地内で最大およそ10cmの火山灰が積もると想定していました。
しかし、大山からの距離がほぼ同じである京都府内の地層でおよそ25cmの火山灰の層が見つかったことから、火山灰の量を評価し直した結果、最終的に高浜原発で21cm余り、大飯原発で19cm余り、美浜原発で13cm余りとする報告書をまとめました。
驚くべき数値ですが、関西電力はこの新しい想定でも「問題ない」としているということです。
電力や規制委は、先ずは非常用のディーゼル発電機が目詰まりしないように、エアーフィルターの性能に注目しているのですが、本当に大丈夫なのでしょうか。
自動車のエンジンにも専用のエアーフィルターがついていますが、セントヘレンズ火山での実績では、降灰が僅か0.6~1.3cmに達しただけでエンジン故障を起こしています。フィルターの規模や構造は勿論両者で異なりますが、単位面積当たりの空気量は殆ど差異はない筈です。
火山灰はガラス粉や鉱物の結晶片のように硬いのでエンジン内に入った場合の支障は、単なるホコリなどとは全く異なります。
また柱上のトランスは火山灰が0.1cm積もるだけでもショートを起こし、1.3cmになると更にその確率が増し、柱が燃える事故も起こしています。
軌道を走る鋼製車輪のフランジ=脱線止めの出っ張りは2.7~3cmなので、それを超える降灰が起きれば電車は走れなくなります。
要するに僅か数センチの降灰で発電所に勤務する人たちの出勤が困難になるので、そんなに簡単に13cm~21cmの降灰があっても「問題ない」といってしまうことは出来ない筈です。しっかり検討して欲しいものです。
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福井の関電3原発 火山灰の評価見直し 改めて審査へ
NHK NEWS WEB 2019年3月29日
鳥取県の大山が噴火した場合、関西電力が福井県内にある3つの原発に積もる火山灰について、評価し直した結果、これまでよりも多く積もるとする報告書をまとめ、29日、原子力規制委員会に提出しました。審査に合格した原発の自然災害の影響の評価が見直されるのは初めてで、今後、改めて審査が行われます。
福井県内にある高浜、大飯、美浜の3つの原発について、関西電力は、鳥取県の大山が噴火した場合、敷地内で最大およそ10センチの火山灰が積もると想定していました。
しかし、大山からの距離がほぼ同じの京都府内の地層では、およそ25センチの火山灰の層が見つかったことから規制委員会が関西電力に見直すよう指示していました。
その結果、関西電力は火山灰の量を評価し直し、高浜原発で21センチ余り、大飯原発で19センチ余り、美浜原発で13センチ余りとする報告書をまとめ、29日、規制委員会に提出しました。
大量の火山灰が原発の敷地に積もると、非常用のディーゼル発電機が目詰まりするなどのおそれがありますが、関西電力は新しい想定でも問題ないとしています。
規制委員会は報告書の提出を受け、来月、審査を行うことにしています。審査に合格した原発の自然災害の影響の評価を見直すのは初めてです。
火山灰で冷却不能か、川内など5原発 非常用発電機に目詰まり恐れ
福井新聞 2017年9月19日
原子力規制委員会の審査に合格した九州電力川内1、2号機(鹿児島県)など5原発8基で周辺の火山が大規模噴火して原発の外部電源が失われた場合、非常用ディーゼル発電機が使えなくなる可能性があることが18日、規制委などへの取材で分かった。最悪のケースでは原子炉が冷却できなくなる恐れがある。噴火時に想定される火山灰濃度が従来に比べ最大100倍程度高くなることが審査後に判明。電気事業連合会によると、5原発では、発電機の吸気フィルターが目詰まりせずに機能を維持できるとされる濃度の上限を超えている。
東京電力福島第1原発事故では非常用発電機が作動した6号機は、5号機とともに冷温停止。一方、津波で電源が失われた1〜4号機では炉心溶融や水素爆発が起きた。
5原発8基は他に関西電力美浜3号機(福井県美浜町)、大飯3、4号機(福井県おおい町)、四国電力伊方3号機(愛媛県)、九電玄海3、4号機(佐賀県)。
規制委は、原発に影響する火山灰濃度の基準を現行より最大100倍程度高く見直すことを決めており、電力各社は、高性能フィルターへの交換など対応を求められそうだ。
この見直し基準を基に、電事連は噴火時の火山灰について、フィルターを交換するなど現状で対応可能な濃度と、大気中1立方メートル当たりの実際の濃度を試算。二つの濃度の差が大きく、より目詰まりの可能性が高いのは、伊方3号機(対応可能濃度約0・7グラム、実際の濃度約3・1グラム)や玄海3、4号機(同約0・9グラム、同約3・8グラム)で、差が小さかったのは大飯3、4号機(同約1・1グラム、同約1・5グラム)などだった。
原発の火山灰濃度基準 原子力規制委員会は審査で、原発から160キロ以内の活火山を対象に火山灰や火砕流などによる影響を評価している。再稼働した九州電力川内原発(鹿児島県)はこの圏内に桜島などがある。審査では当初、火山灰濃度の基準として2010年にアイスランドで起きた噴火の観測値(1立方メートル当たり0・0032グラム)を用いた。その後、1980年の米セントヘレンズ山噴火(同0・033グラム)を考慮することとし基準の濃度が約10倍高くなったが、規制委は、審査に合格した原発の非常用発電機の吸気フィルターが対応できることを確認。だが、1707年に起きた富士山の宝永噴火などを基に検討した結果、さらに基準の濃度が100倍程度高くなることが判明した。