東電は18日、福島原発の汚染水を多核種除去設備「ALPS」で処理した水の保管量が100万トンを超えたと発表しました。
このトリチウム汚染水の処分方法を決める政府の小委員会が、一昨年末を最後に開かれていないため処分方法の絞り込みが大幅に遅れています。
政府側は、処分方法として最終的に「海洋放出」を決め、昨年富岡町などの3カ所で公聴会を行いましたが、圧倒的に反対が多くて支持されませんでした。
その後政府の小委員会が開かれなくなりました。
トリチウム汚染水は日量170トン発生するので徐々に増えつつあり、いずれは設置可能なタンク容量の上限とされる137万トンに達します。しかしタンクを設置するエリアとしては、7号機・8号機用の広大なエリアも使えるので貯蔵限界の心配は要りません。
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<福島第1> ALPS処理水100万トン超え タンク容量の上限迫る
河北新報 2019年3月19日
東京電力は18日、福島第1原発の汚染水を多核種除去設備「ALPS」(アルプス)で処理した水の保管量が100万トンを超えたと発表した。設置可能なタンク容量の上限とされる137万トンにじわじわと迫っている。処分方法は決まっておらず、政府の小委員会の検討を見守る状況が続く。
ALPSは汚染水中の放射性物質のうち、トリチウム以外を除去できる。処理水の保管量は14日現在で100万914トン。2017年8月に80万トン、18年7月に90万トンを超え、直近の3カ月の平均では週に約1200トンずつ増えている。
処理水を保管するタンクは現在、第1原発の敷地内に約940基あり、容量は約118万トン。東電によると、敷地の制約から設置できるタンクの容量は計137万トン分が上限という。
東電は18日、「汚染水の処理は順調に進んでいる。タンクの設置とともに今後も計画的に進める」と説明した。
敷地内には別の装置で一部の放射性物質を先行して除去した「ストロンチウム処理水」も約12万トンある。将来的には大部分をALPSで処理して同様に保管する。
汚染水は1~4号機の原子炉建屋やタービン建屋に4万トン超がたまっている。さらに雨水や地下水の建屋浸入、溶融核燃料(デブリ)を冷やす注水などで1日当たり約170トンが発生する。東電は建屋の屋根の補修などで20年内に同150トンに抑える計画だ。
処理水の処分方法について、政府の小委員会は海洋放出や地下埋設といった選択肢から、風評被害対策も踏まえて検討中。
東電の小早川智明社長は「小委で大きな方向性が出たら、主体的かつ丁寧なプロセスを踏んで(処分を)進める」と語っている。