関西電力は、青森県六ケ所村で完工間近の再処理工場の事業費に加え、まだ具体的な計画がない別の再処理工場の費用(約12兆円? 未定)も、電気料金へ転嫁し始めたことが分かりました。
九州電力も近く転嫁を始め、他の大手電力も追随する見込みです。
これによって再処理工場分として消費者が負担する額は、関電は337億円→596億円、九電は182億円→512億円に増額します。
関電と九電は電気料金に転嫁する根拠を「16年の制度改正で、現時点で具体的な再処理計画を有さない使用済み燃料も含めて全ての費用を料金原価に含めることができるようになった」と説明しています。
近く完成する再処理工場は原発で使った核燃料からプルトニウムなどを取り出すものですが、もともと日本はプルトニウムを既に47トンも所有しており、その用途を世界が疑問視しています。それをさらに取り出すことは事態を紛糾させるし、操作の過程で周囲や近海を汚染します。
また未計画の別の再処理工場はプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を再処理する工場とされています。いずれにしてもMOX燃料を従来の原発に使用して安全なのか疑念があるうえに、経済的メリットは何もありません。「19兆円の請求書を倍増させる」ものです
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未計画核燃事業を料金転嫁 関電、第2再処理工場分
東京新聞 2019年3月26日
原発の使用済み核燃料を再利用する再処理費用を巡り、関西電力が、青森県六ケ所村に建設中の再処理工場の事業費に加え、具体的な計画がないプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を扱う別の再処理工場の費用も、電気料金へ転嫁し始めたことが分かった。九州電力も近く転嫁を始め、他の大手電力も追随する見込みだ。関電と九電は転嫁する際、こうした事実や負担額を消費者に説明していない。
未計画分の総事業費は過去の試算で十二兆円近くに上り、六ケ所分の計約十六兆円と併せて各電力の消費者が負担する形になる。
関電と九電は「二〇一六年の制度改正で、現時点で具体的な再処理計画を有さない使用済み燃料も含めて全ての費用を料金原価に含めることができるようになっている」とコメントした。
未計画分は六ケ所村の工場の処理量を上回る使用済み燃料や、同工場では扱えない使用済みMOX燃料を再処理する想定で「第二再処理工場」と呼ばれる。〇〇年代に構想が浮上し、〇七年に事業費の試算を十一兆七千億円と公表したが、計画は白紙のままだ。
共同通信の取材に対し、関電は六ケ所分と第二工場分の費用について年約五百九十六億円、九電は約五百十二億円を料金算定の基礎になる原価に織り込んだと回答した。六ケ所分だけだった過去三年の平均は関電が約三百三十七億円、九電が約百八十二億円で、一概に比較はできないが、額は多くなっている。
消費者の負担は月額にすると少ないが、極めて長期間支払いが続くことになる。
関電は一七、一八年の料金値下げの際に費用を盛り込んだ。九電も四月の値下げで転嫁する。他の電力会社も料金改定のタイミングで実施する構え。
再処理工場は原発で使った核燃料からプルトニウムなどを取り出す。