福島県は20日、東北地方の太平洋沖と房総沖を震源とする最大クラスの津波が襲来した場合の、浸水想定を公表しました。
それによると、1cm以上の浸水の可能性があるのは、約143平方キロメートルで、東日本大震災時の浸水面積の1・2倍以上に当たります。
最大クラスの津波は、過去に県沿岸に襲来した津波と、今後想定される津波の中で、最も高いものを設定し、震災時より1m以上高い満潮時の平均水位を基準としたうえで、防潮堤などの構造物による減衰はないと仮定したためで、想定浸水面積が特に広いのは、南相馬市46・7平方キロメートル、いわき市35・8平方キロメートル、相馬市28・0平方キロメートルでした。
最大遡上高は、相馬海岸南部(相馬市)23・5m、鹿島海岸(相馬市、南相馬市)22・8メートル、富岡海岸(富岡町、楢葉町)19・6m、磐城海岸南部17・0mなどでした。
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震災時より広域で浸水 福島第1の5、6号機も 福島県の最大級津波想定
毎日新聞 2019年3月21日
福島県は20日、東北地方の太平洋沖と房総沖を震源とする最大クラスの津波が襲来した場合の、浸水想定を公表した。1センチ以上の浸水の可能性があるのは、沿岸部3市7町の約143平方キロメートル。東日本大震災時の浸水面積約112平方キロメートルの1・2倍以上に当たる。沿岸部の市町は今回の想定を避難計画作成など防災対策に生かす。【高橋隆輔】
最大クラスの津波は、過去に県沿岸に襲来した津波と、今後想定される津波の中で、最も高いものを設定。県内のほとんどの沿岸では震災時の津波を用い、いわき市南部では震源に房総沖を想定した津波を用いた。
シミュレーションでは、防潮堤などの構造物による減衰はないと仮定。震災時より1メートル以上高い、満潮時の平均水位を基準としたため、ほとんどの市町で震災時より浸水面積が広くなっている。
想定浸水面積が特に広いのは、南相馬市46・7平方キロメートル▽いわき市35・8平方キロメートル▽相馬市28・0平方キロメートル。いわき市は、震災時の2倍以上の広さとなった。
また、河川沿いや平地の広い場所などは浸水想定域が広くなった。南相馬市小高区、浪江町、いわき市四倉、いわき市小名浜、いわき市勿来などでは、震災時の浸水域を大きく越え、市街地に達するところもあると想定されている。
各地で想定される最も高い津波の高さ(最大遡上(そじょう)高)は、相馬海岸南部(相馬市)23・5メートル▽鹿島海岸(相馬市、南相馬市)22・8メートル▽富岡海岸(富岡町、楢葉町)19・6メートル▽磐城海岸南部17・0メートル――など。
東京電力福島第1原発沖を含む大熊海岸(双葉町、大熊町)の最大遡上高は23・2メートル。県は、震災では浸水しなかった第1原発5号機、6号機周辺にも、2~5メートル程度の浸水を想定している。5、6号機の使用済み燃料プールは継続的な冷却が必要だが、東電によると、電源車や消防車などは24・9メートルの津波を想定し、高台に配備している。東電の担当者は「想定に新しい知見があれば取り入れたい」としている。