東北電力女川原発2号機の再稼働の是非を問う住民投票条例案が15日に宮城県議会で否決されことに対し、請求した関係者や原発周辺の住民は不満をあらわにしました。
そうした不満の声を河北新報が報じました。
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<女川再稼働>住民投票条例案否決 「県民無視」嘆く請求側
河北新報 2019年3月16日
署名した11万人の思いはくみ取られなかった。15日に宮城県議会で否決された住民投票条例案。東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働の是非を問う機会を求めた関係者や原発周辺の住民は、議会の判断に不満をあらわにした。
午後4時45分ごろ、条例案が否決されると、ほぼ満席の約150人が見守る本会議場の傍聴席は重苦しい雰囲気に包まれた。「無視された」「県民の声を聞く気がない」。ため息が漏れ、涙する人もいた。
条例案を請求した「県民投票を実現する会」の多々良哲代表(60)は閉会後の集会で「否決ありきで反対のための反対を繰り返した」と批判。「原発再稼働の判断に知事や県議が責任を果たせるのか。運動を続けよう」と訴えた。
県議が反対理由に挙げた「国策」「経費」に異論を唱える人もいる。傍聴に訪れた岩沼市の主婦鈴木真奈美さん(44)は東京電力福島第1原発事故後、乳幼児と北海道に自主避難した。「過酷な原発事故が起きて国策に翻弄(ほんろう)されたのに、見て見ぬふりをしている。お金と命の問題を比べて、いいはずがない」と嘆いた。
立地自治体でも不満の声があった。宮城県女川町の無職高野和子さん(71)は「賛否を口にしづらい雰囲気がある。無記名投票で意思表明したかった」と憤る。石巻市の会社員森邦子さん(63)も「党の方針に左右される県議ではなく、自分たちが投票で決めたかった」と残念がった。
「女川原発UPZ住民の会」(事務局宮城県美里町)の勝又治子代表(71)は「署名活動を通じ、福島の事故の影響を受けた県民が女川原発を真剣に考えていることが分かった」と手応えを語った。
東北電力は原子力規制委員会の再稼働審査を7月中に終える方針。その後、知事や立地首長らへの「地元同意」の手続きに入る。同社は「条例案への言及は控える。引き続き理解活動に努めたい」と説明した。