東海第二原発を巡る茨城大の住民調査で、30キロ圏自治体に義務付けられる避難計画の策定について聞いたところ、59・4%が「かなり難しい」との見方を示しました。「十分に可能」は20・9%でした。
30キロ圏には全国の原発立地地域で最多の約96万人が生活していて、避難の困難さを「机上の空論」「夢物語」などと表現した人たちもいます。
また、再稼働の可否を住民に確認する方法では、「住民投票」「住民アンケート」「県民投票」という直接的な意思表明を選んだ人が、4市村の平均で計73・7%に上りました。
ただ関係する6市村で、住民意思の反映のために住民投票やアンケートを取る考えを示す首長はおらず、住民の思いとはずれが生じています。
調査結果は、茨城大人文社会科学部市民共創教育研究センターのホームページで公開しています。
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東海第二住民調査 避難計画「難しい」6割 「夢物語」など厳しい言葉も
東京新聞 2019年2月28日
東海村の日本原子力発電(原電)東海第二原発を巡る茨城大の住民調査で、三十キロ圏自治体に義務付けられる避難計画の策定について聞いたところ、59・4%が「かなり難しい」との見方を示し、「十分に可能」の20・9%を大幅に上回った。調査は、避難計画や、再稼働是非を判断する際に住民意思の反映をどうするかなど多くの問題点をあらためてあぶり出した。(越田普之)
調査対象は村と隣接する三十キロ圏の那珂、日立、ひたちなか市の計四市村の四千人で、有効回答者は九百八十五人だった。昨年十二月の県議選後に調査票を郵送した。それによると、避難計画に関して自由に記述してもらったところ、人口の多さを理由に「机上の空論」「夢物語」などと厳しい言葉が並んだ。
三十キロ圏十四自治体には、全国の原発立地地域で最多の約九十六万人が生活。各自治体は実効性ある避難計画づくりに苦労しており、実際に住民説明会などでも複合災害の対応などを不安視する声が出ていた。
また、住民意思の確認方法についての設問で、「住民投票」「住民アンケート」「県民投票」という直接的な意思表明を選んだ人が、四市村の平均で計73・7%に上った。
自治体別で見ると、ひたちなかが77・5%、那珂が77・2%、日立が75・1%。村は68・2%と唯一、七割に達しなかったが、それでも三人に二人以上は住民投票などを希望している。
事前同意を盛り込んだ協定を原電と結んでいる六市村で、住民意思の反映のために、住民投票やアンケートを取る考えを示す首長はおらず、住民の思いとはずれが生じている可能性がある。
調査を企画した渋谷敦司教授(社会学)は「住民の思いをある程度、可視化できた。県内の原子力政策を考える基礎資料として活用してほしい」とした。調査結果は、茨城大人文社会科学部市民共創教育研究センターのホームページで公開している。