東海第2原発を巡り、周辺6市村の首長でつくる懇談会の会合が28日、水戸市役所で開かれ、原電の村松衛社長が同原発の再稼働を目指す意向を改めて伝えました。
首長側は「現時点で判断できない。最終的な判断は私たちがする。その結果いかんでは原電が想定しない結果もあり得るが、それも含めて受け止めてほしい」と伝えました。村松社長は「納得いただくまでとことん協議する」とだけ話し、事前了解の中身についてはあいまいな態度を示しました。
首長側からは「工事の時期は」といった質問が出たほか、原電との間で、自治体や住民との信頼関係の欠如を指摘する声も上がったということです。
懇談会に初めて出席したひたちなか市の大谷明市長は「実効性のある避難計画が出来ない限り再稼働は認められない」と話しました。
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茨城新聞 2019年3月1日
日本原子力発電(原電)東海第2原発(東海村白方)を巡り、周辺6市村の首長でつくる原子力所在地域首長懇談会の会合が28日、水戸市役所で開かれ、原電の村松衛社長が同原発の再稼働を目指す意向を改めて伝えた。首長側は「現時点で判断できない」との態度で一致。会合後、懇談会座長の山田修東海村長は「原電がいくら(安全対策の)工事を進めようと最終的な判断は私たちがする。その結果いかんでは原電が想定しない結果もあり得るが、それも含めて受け止めてほしいと伝えた」と厳しい表情で語った。
会合の冒頭、村松社長は東海第2原発の新安全協定締結や運転延長認可などを説明した上で、再稼働を目指す意向を伝えた。
会合は一部非公開。山田村長によると、懇談会は新安全協定に基づき原電の安全対策工事に関する協議などを進めることを確認、6市村と原電が事務レベルで協議する連絡会議の設置を決めた。山田村長は「今日が新安全協定のスタート」とし、「1市村でも同意できない、反対の場合にはその先に進まないということを改めて確認した」と説明した。
原電は同日の会合に先立つ22日、大井川和彦知事と山田村長、高橋靖水戸市長に再稼働を目指す意向を表明していた。
意向表明後、初めて開かれた会合では、改選により、ひたちなか市長と那珂市長が交代。首長側からは「なぜ今表明なのか」「工事の時期は」といった質問が出たほか、原電との間で、自治体や住民との信頼関係の欠如を指摘する声も上がったという。
村松社長は安全対策工事について「なるべく早く、来週以降に詳細の中身を示したい」と述べたほか、来年度に住民説明会を開く意向を示した。再稼働の地元同意取り付け時期については「まだ本格的な工事もできていない。一定のめどがつかないと先に進めない」と明言を避けた。
懇談会に初めて出席したひたちなか市の大谷明市長は「広域避難計画に苦労している中で、実効性のあるもの(避難計画)にならない限り再稼働は認められない」と話した。(三次豪、斉藤明成)
東海第2原発の再稼働意向 地元自治体、原電との連絡会議設置へ
毎日新聞 2019年2月28日
日本原子力発電が東海第2原発(茨城県東海村)の再稼働を目指す意向を同県や同村、水戸市に表明したことを受け、原発周辺6市村で作る「原子力所在地域首長懇談会」が28日開かれ、6市村は再稼働の事前了解に関する協議に向け、原電と事務レベルの連絡会議を設けることを決めた。原電は新年度早々に住民説明会を開くことを明らかにした。
昨年3月、6市村と原電は、再稼働について「事前協議により実質的に事前了解を得る」とする新安全協定を結んだが、会議の冒頭、再稼働の意向を改めて説明する原電の村松衛社長に対し、座長の山田修村長が「信頼関係が構築できていない」と苦言を呈する場面もあった。
終了後、取材に応じた山田村長によると、原電と各自治体の職員による連絡組織を設けることや、2021年3月完了を目指す安全対策工事の詳細についても、可能な限り早く開示することを確認したという。
そのほか、6市村同士は、一つの自治体でも同意しない場合は再稼働を進めないことを改めて確認。一方、村松社長は「納得いただくまでとことん協議する」とだけ話し、事前了解の中身についてはあいまいな態度を示した。また、突然の意向表明への不満や、安全対策工事の準備が再稼働に関する住民説明に先行していることを危惧する声も上がったという。【吉田卓矢、加藤栄、太田圭介】