2022年8月5日金曜日

原発に残り続けるもう一つの「危険物」はアスベスト(石綿)

 東電福島原発事故で廃炉になった同原発1~6号機で、中皮腫や肺がんを引き起こす発がん性物質アスベスト(石綿)が大量に使われていますが、ほとんど除去できていないということです(現在は使用禁止)放射能区間で使用されたものは放射性物質汚染も加わるのでその分除去が困難になります。
 アスベストは廉価で耐食性・耐熱性に優れているのでジョイントシートにも多く用いられています。それが粒子化したり浮遊することはまずありませんが、吹付施行されたものはその逆で解体時に粒子化し浮遊しやすいので注意を要します。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
福島第1原発に残り続けるもう一つの「危険物」とは
                             毎日新聞 2022/8/4
 東京電力福島第1原発事故で廃炉になった同原発1~6号機で、大量に使われたアスベスト(石綿)がほとんど除去できていない。原子炉建屋が放射性物質で汚染されているため、通常でも慎重な作業を要する石綿の除去を一層難しくしている。
 石綿は中皮腫や肺がんを引き起こす発がん性物質だ。かつては建材などに大量に使われたが、現在は原則として使用が禁止されている。
 東電によると、1~6号機では防音材に使った吹き付け石綿が約900平方メートルある。配管の継ぎ目など約1万5000カ所には、石綿製のジョイントシートやシール材を使っている。2021年3月時点で、どちらも全く除去できていないという。
 配管に巻くなどした石綿製の保温材も約1700立方メートルあるが、除去済みは90立方メートル(約5%)にとどまっている。
 東電の担当者は「廃炉作業の進み具合に応じて必要な石綿の除去を行っている。飛散性がある吹き付け石綿の場所は常時は人が立ち入らず、注意喚起の表示をしている」と説明する。

◇事故の水素爆発で石綿飛散か
 福島事故では、建屋などに使われていた石綿が、水素爆発で飛散した可能性が指摘されている。東電は16年5月、敷地内18カ所で空気中の石綿濃度を測定し「検出されなかった」と発表した。
 事故から5年以上たって測定したことについて東電は「構内での作業時はマスクを着用していたことから、石綿による健康被害が発生する状況になかった。事故の収束に向けた活動に全力を注いでいたため」と説明する。
 中地重晴・熊本学園大教授(環境管理論)は「05年に石綿の深刻な健康被害が判明したとき、吹き付け石綿などを除去すべきだった。原発事故の影響で除去や調査が困難になったとみられる。他の原発も可能な限り、石綿の除去を進めるべきだ。事故に伴う石綿の露出状況などを調査することは今後、原発解体を進める上でも不可欠になってくるはずだ」と指摘する。

◇他の原発でも除去は限定的
 廃炉になった他の原発でも、石綿の除去は限定的だ。
 関西電力の廃炉作業中の原発は、いずれも福井県にある美浜原発1、2号機、大飯原発1、2号機の計4基ある。関電によると、4基全体で使われた石綿含有の保温材は計1335立方メートルあり、うち990立方メートルが残る。
 21年3月時点で、先に廃炉になった美浜1、2号機を中心に、放射線管理区域ではないタービン建屋などの一部を除去した。しかし、原子炉周辺など管理区域内の作業は未着手だ。配管の継ぎ目やポンプ軸の密封などに使うジョイントシート4962個、シール材2973組もそのまま残っている。
 中部電力によると、廃炉作業中の浜岡原発1、2号機(静岡県)は22年3月までに、機器や配管類の保温材850平方メートルのうち約6割を除去した。1、2号機共用の排気筒に使われていた建材石綿2000平方メートルもすべて除去した。一方、シール材・ジョイントシート類5万4000個については約3割の除去にとどまる。【大島秀利】