別掲の記事の通り、柏崎刈羽原発7号機の『特重施設』(特定重大事故等対処施設)は工事の人手不足等によって大幅に遅れ、完成するのは「29年半ば」になる見通しなので、再稼働が可能になるのはそれ以降になります。
県庁内では早い段階から工事の大幅遅延の情報は共有されていて、花角知事も「完成は数年先」と認識していました。当然その前提で知事は〝出口戦略″(県民の再稼働賛否の確認)を練っていた筈で、「県民に信を問うのは来年の任期満了に伴う知事選」と考えている可能性は大きいと思われます。
いずれにしても、肝心の6本の避難道路の増設は未施工であり、複合災害時の5~30キロ圏内の「屋内退避に関する検討委員会」の結論(豪雪対策を含む)も得られていないわけなので、再稼働の論議に入れるのはかなり先の話になるのは間違いありません。
ペーパーの「新潟日報」を入手したので関連記事(文字起こし版)を紹介します。
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「6号機にシフト」説明は 柏崎7号機停止長期化か
新潟日報 2025年2月27日
東京電力柏崎刈羽原発7号機で工事が進められている「特定重大事故等対処施設」(特重施設)の完成が大幅に遅れ、設置期限である今年10月の完成には間に合わない見通しとなった。それまでに花角英世知事が再稼働の是非に関する判断を下すのは難しいとの見方もあり、持重施設の設置期限に余裕がある6号機の再稼働が本命視される可能性が高い。県や県議会内では特重施設の完成遅れは既定路線とみる向きがあるが、再稼働論議は常に7号機が先行してきており、「簡単に6号機にシフトできるのか」との声もある。
再稼働判断に影響必至
特重施設はテロ対策の要として、原子力規制委員会の新規制基準で設置が義務付けられている。ただ、例外として原発本体の工事計画認可を得てから5年間は特重施設が完成していなくても再稼働が認められる措置がある。
7号機は柏崎刈羽原発の中でも規制委の審査が最も早く進み、2020年10月14日に工事計画の認可を得ていた。これに伴い、持重施設の設置期限は今年10月13日に迫っていた。
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県庁内では早い段階から設置期限を越える可能性が高いことは共有されており、それを前提に花角知事の〝出口戦略″が組み立てられていた。先行して再稼働した他原発でも特重施設が間に合わず、稼働停止に追い込まれた事例が多く、花角知事も「完成は数年先」と認識していたという。
関係者によると、東電は持重施設の新たな完成目標時期について、4年後に当たる29年度の半ばとする方針だ。このため、特重施設の設置期限である今年10月13日を過ぎれば、7号機は長期にわたって運転できなくなる。
政府や東電はあくまで7号機の早期の再稼働を目指して地元への働きかけを続ける方針だ。ただ、自民県議の1人はこうした状況を踏まえ、「政治リスクを冒してまで10月までに判断することはない。県民に信を問うのは来年の任期満了に伴う知事選だ」と解説する。
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一方、6号機は規制委による工事計画の認可が7号機より遅かったため、特重施設の設置期限は29年9月となっている。猶予期間がまだ4年以上あるため、東電は6号機の再稼働にも注力していくとみられる。
その見立てを裏付けるように、今年6月に6号機でも核燃料の装填を始める予定。夏ごろには再稼働に向けた技術的な準備が整う見通しだ。
ただ、これまで東電はまずは目指すと強調してきた。笠鳥公一副知事は「国からの再稼働同意要請の対象は6、7号機で、そもそも議論の土俵には上がっていた」と冷静に受け止める。
一方、ある自民県連幹部は「7号機がだめだから、6号機というのでは批判を受ける。そんな簡単にシフトできるのか」と疑義を示す。東電と距離を置くある自民県議は「避難道路整備のスケジュールや廃炉の話など具体的に示されていない。われわれは(7号機の特重施設の新たな完成目標となる)4年後でも構わない。慎重にやればいい」と突き放した。
柏崎刈羽原発再稼働の是非を問う県民投票条例制定に向けた署名活動に携わった新潟市西区の会社員、田中忍さん(66)は東電が6号機の再稼働を進めれば、これまでの説明と異なり「県民の信用を得られなくなるのでは」と指摘した。
2025年2月27日木曜日
柏崎刈羽原発6・7号機の再稼働問題は 相当先送りの可能性
「なぜ私は東京都と争わなければならないのか」~疑問だらけの避難住宅追い出し訴訟
福島原発事故以降、国(規制委)は年間の被曝量20ミリシーベルト(mSv)以下であれば(妊婦や乳幼児を含めて)そこに居住できるとして、その区域内から他所に転出した居住者たちを「自主避難者」と呼んで事ごとに差別して来ました(田中俊一初代規制委員長は「勝手に逃げ出した人たちなので保護する必要はない」と明言)。
一方で、国は3ヶ月で1・3mSv(年間5・2mSv)を超えるおそれがある区域を「放射線管理区域」に指定し、そこに一般人が入ることを禁じているので、その4倍ほどの被爆量を「安全」と称する矛盾は明瞭です。
国がいまだに「原子力緊急事態宣言」を撤回しないのは、そうすれば「自主避難者」の放置が許されなくなるからだと推測されます(年間被曝量20mSvを安全とする国は日本以外にはありません)。国は自主避難者に対する住居手当を早々に打ち切っただけでなく、国家公務員住宅からの追い出しについても全く躊躇しません。
「レイバーネット日本」が、昨年がんに罹患し10回の入退院をくり返した鴨下さんに対する国家公務員住宅からの追い出し訴訟(東京高裁控訴審)を報じました。その訴訟は不思議なことに、国家公務員住宅の所有者である国が原告ではなく、無関係の都が原告になっているということです。
鴨下さんは10分の予定だった被告人最終陳述を5分に削られた中で、避難を続けなければならず明け渡しに応じることが出来なかった理由を刻銘に語り、陳述が終わると傍聴席から大きな拍手が起きました。
その後、原告側(関東財務局、都の担当者ら)の主張を聞きたいという要求について、裁判長は「却下」の一言を告げ、判決日だけを言い渡し閉廷しました。
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「なぜ私は東京都と争わなければならないのか」~疑問だらけの避難住宅追い出し訴訟
レイバーネット日本 2025-02-23
堀切さとみ
2月20日、東京高裁で「避難住宅追い出し訴訟」の控訴審が行われた。
福島第一原発事故は、原発周辺だけでなく、膨大な量の放射能をまき散らした。14年経った今も、放射線管理区域の基準を大きく超えたままの区域は多い。避難指示が出されず自力で避難した人たちに、唯一保障されていた住宅の無償提供。それさえも2017年3月に打ち切られた。
いわき市から東京都の国家公務員住宅に身を寄せていた鴨下裕也さん。実家の放射線量は依然として4万ベクレル/㎡で、帰ることなどできない。「避難住宅から追い出さないでほしい」と訴えてきたが、2022年2月東京都は鴨下さんを提訴。2024年10月7日の東京地裁の判決は「損害金の全額支払い」「訴訟費用は被告が負担」「仮執行を認める」という都の担当者の請求通りの内容だった。
避難者いじめ以外の何物でもない判決を不服として、鴨下さんは控訴した。この日101号法廷では、彼の意見陳述のみが行なわれた。昨年がんに罹患し、10回の入退院をくり返した鴨下さんだが、声は力強かった。10分の予定が5分に削られた陳述の中で、避難を続けなければならず、明け渡しに応じることが出来なかった理由を刻銘に語った。陳述が終わると、傍聴席から大きな拍手が起き、裁判長は意外にもそれを咎めることはなかった。
しかしその後、原告側(関東財務局、都の担当者ら)の主張を聞きたいという要求について、裁判長は「却下」の一言を告げたのだ。そして控訴審は結審。「理由を!」という声があったものの、裁判長は無視。判決日だけを言い渡し閉廷した。
住宅提供打ち切り以来、福島県は避難住宅からの退去を迫り、応じない避難者への損害賠償請求裁判を続けてきた。被害者であるはずの避難者を被告席に立たせるという暴挙である。そんな一連の裁判の中でも、今回はさらに奇妙であることがわかった。
鴨下さんは意見陳述の中でこう言った。「私は今も疑問に思い続けている。なぜ私は東京都と争わなければならないのでしょうか」
国家公務員住宅は国の所有物なのだから、明け渡しを請求するのは国であるべきだ。しかし、鴨下さんを訴えているのは東京都なのである。
一体なぜなのか。そして、原告である東京都はどんな損害を被ったのか。
裁判後の報告会でわかったのは、次のことだ。
鴨下さんが交渉していた東京都の担当者は、住宅提供打ち切り後も「独自に無償提供します」と言ってくれていた。先が見えない避難生活を慮ってか、紳士的な対応だったという。しかし2022年に入り「国から損害金を請求されたために、裁判を起こさざるをえなくなった」と説明されたという。訴訟など起こされてはたまらないと、鴨下さんはやむなく公務員住宅を出たが、それでも事態は収まらなかった。
更にはその後、都は1円も国に支払っていないこともわかった。国から一度も請求が来ていないからだ。実際には「明け渡しが進まないうちは国に対して損害金を支払う」という確認書が交わされただけである。
発生していない損害を請求する。そんな訴訟が成立してしまっているのだ。
鴨下さんは意見陳述の中で訴えた。「国は、避難住宅の居住者の避難元が汚染されたままなのにも関わらず、それを無視して私たちを避難住宅から追い出すことを都に強要したように受け取れました。この裁判に至る経緯の中で、避難当事者である私たちを無視して、国と東京都の間でどのような取り決めがなされたのか。この裁判で明らかにしていただきたい」
鴨下さんの訴えを黙殺して、裁判は結審した。落胆、失望は否めない。
この裁判が示すものは明らかだ。国は自らの手を汚さず、敵でなかった人を敵にさせてしまう。どこまで避難者を蹂躙すれば気がすむのだろう。
判決は5月8日11時20分から、東京高裁101号法廷で言い渡される。
柏崎刈羽原発7号機 テロ対策工事の完成が大幅に遅れる見通し
東電はこれまで柏崎刈羽原発の次期再稼働対象機を7号機として進めてきましたが、『特重施設』(テロ対策用)と呼ばれる重要施設の完成が当初予定の2025年3月はおろか、再稼働に必要なリミットとされる25年10月を大幅に超えて「29年半ば」になるということです。大幅に遅れる理由は明らかにされていません。東電は今後6号機の再稼働を目指すと見られます。
特重施設は福島原発事故後に新に設けられた基準で、その完成期限は、再稼働に向けた工事計画の認可から5年以内とされていて、その期限は7号機は25年10月、6号機は29年9月です。特例としてそれ以前でも再稼働は認められますが、期限が来ても特重施設が完成していなければ原発は停止させられます。
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【柏崎刈羽原発7号機】テロ対策工事の完成が大幅に遅れる見通し、再稼働時期に影響
UX新潟テレビ21 2025/2/26
原発の重要施設の完成が大幅に遅れる見通しです。柏崎刈羽原発7号機で進められているテロ対策工事が、原子力規制委員会に届け出ていた2025年3月までに完了しない見通しであることが分かりました。
テロ対策工事は、東日本大震災のあとに義務付けられた新たな規制基準に基づくもので、東電は『特重施設』と呼ばれる施設の工事を進めています。関係者によりますと、東電は当初工事の期限を“2025年3月”として原子力規制員会に届け出ていましたが、工事の遅れにより間に合わないことが判明。
期限を〝2029年半ば″に延長することを、27日規制委に届け出る方向で調整に入りました。
東電はUXの取材に対し、「工事の工程を精査している段階。見通しが立ち次第、お知らせする」とコメントしています。東電は今後、6号機の再稼働を目指すと見られます。
柏崎刈羽原発7号機テロ対策施設の完成遅れ、新潟県知事の再稼働判断に影響必至 東京電力の“本命”は6号機か
新潟日報 2025/2/27
新潟県に立地する東京電力柏崎刈羽原発7号機で工事が進められている「特定重大事故等対処施設」(特重施設)の完成が大幅に遅れ、設置期限である2025年10月の完成には間に合わない見通しとなった。それまでに花角英世知事が再稼働の是非に関する判断を下すのは難しいとの見方もあり、特重施設の設置期限に余裕がある6号機の再稼働が本命視される可能性が高い。県や県議会内では特重施設の完成遅れは既定路線とみる向きがあるが、再稼働論議は常に7号機が先行してきており、「簡単に6号機にシフトできるのか」との声もある。
・柏崎刈羽原発7号機テロ対策施設の完成が大幅延期に 東京電力、再稼働は「6号機先行」も
特重施設はテロ対策の要として、...
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除染土再利用「まず県内で」 双葉町長が見解 全国的な議論喚起狙う
福島第1原発事故の除染で出た土壌は一旦福島県内の中間貯蔵施設に保管されます。その期間は30年とされ、その後は県外の最終処分施設に移すことになっていますが、何処が引き受けるかのあては全くありません。
双葉町の伊沢史朗町長は24日、個人的見解とした上で「首都圏での理解を進めるには、まずは県内で再利用に取り組む必要がある」と述べ同日、浅尾慶一郎環境相と内堀雅雄知事と面談し自身の考えを伝えました。
内堀知事は協議会後の記者会見で「最終処分が本当に実現できるのかという強い危機感を直接伺った。思いを共有し、国に45年3月までの県外最終処分の約束を守ってほしいと訴え続ける」と述べました。
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東日本大震災 震災関連
除染土再利用「まず県内で」 双葉町長が見解 全国的な議論喚起狙う
福島民友 2025/02/25
東京電力福島第1原発事故の除染で出た土壌の県外最終処分や再生利用を巡り、双葉町の伊沢史朗町長は24日、個人的見解とした上で「首都圏での理解を進めるには、まずは県内で再利用に取り組む必要がある」と述べた。除染土壌を保管する中間貯蔵施設の立地町として、県内外で最終処分への理解醸成が進んでいない現状に危機感を示した上で、まずは県内の理解を広げ、首都圏を中心とした全国的な議論を喚起したいとの考えを示した。
福島市で開かれた福島復興再生協議会後、報道陣に語った。町内での再利用については、現時点で何も検討していないことも明らかにした。除染土壌の県外最終処分を巡っては、国が処分方法や再利用に関する基準などの検討を進めている。ただ処分地の選定や土壌の再利用に向けた国民的な理解醸成が課題となっており、中間貯蔵施設の立地首長の発言は、今後の議論に一石を投じる可能性がある。
伊沢町長は「中間貯蔵施設の受け入れには重い判断をしてきた。受け入れた責任がある以上に、県外最終処分に対しても責任がある立場だと認識している」とし「いろいろと発信しなければ理解醸成にはつながらない」と語った。一方で「再利用は住民理解が大前提。県内自治体でも住民の理解がなければ達成は難しい」とし、まずは議論の端緒にしたいとの考えを示した。町内での再利用は「将来の造成工事など事業展開によっては可能性はあるだろう」とした。
伊沢町長は同日、浅尾慶一郎環境相と内堀雅雄知事と面談し、自身の考えを伝えた。協議会終了後、福島民友新聞の取材に応じた浅尾環境相は「立地自治体として最終処分が進まないということで心配された。国としてもしっかり対応していく」と語った。
内堀知事は協議会後の記者会見で「最終処分が本当に実現できるのかという強い危機感を直接伺った。思いを共有し、国に(2045年3月までの県外最終処分の)約束を守ってほしいと訴え続ける」と述べた。
27- 規制委、検査手数料1640万円を徴収ミス 追加支払い要求へ
原子力規制委は26日の定例会で、2事業者3カ所の原子力施設に対し検査手数料を誤って計1640万円少なく徴収していたと明らかにし、事業者に追加の支払いを求めると述べました。すべて規制委側の初歩的ミスによるものです。
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原子力規制委、検査手数料1640万円を徴収ミス 追加支払い要求へ
毎日新聞 2025/2/26
原子力規制委員会は26日の定例会で、2事業者3カ所の原子力施設に対し、検査手数料を誤って計1640万円少なく徴収していたと明らかにした。事業者に追加の支払いを求める。
この検査は、全国の原子力施設を対象に運転や管理が安全かを監視する「原子力規制検査」。施設の種類や状況ごとに規則で手数料が定められている。
ところが、廃炉中の中部電力浜岡原発1、2号機(静岡県)では、使用済み核燃料を4、5号機の燃料プールに移しただけなのに「核燃料が存在しない事業所」と誤認し、2020~24年度に1580万円を少なく徴収。使用済み核燃料中間貯蔵施設(青森県)では、24年11月に操業を始めたにもかかわらず「使用済み核燃料の取り扱いを開始しない施設」と誤り、24年度に60万円を少なく徴収していた。山中伸介委員長は「非常にちゅうちょするが追徴する。私たちのミスなので丁寧に事業者に説明する」と述べた。
毎日新聞の取材に対し、中部電は「事実確認中」、中間貯蔵施設を運営するリサイクル燃料貯蔵は、請求があれば支払いに応じる意向を示した。【木許はるみ】
2025年2月24日月曜日
川内原発「危険」認めず 鹿児島地裁原告「屈しない」(しんぶん赤旗)
地震や火山噴火、避難計画の実効性が主な焦点で注目された川内原発1・2号機)の運転差し止めを求めた「原発なくそう!九州川内訴訟」で21日、鹿児島地裁は原告の請求を退ける判決を出しました。
原発の安全性については、原子力規制委が基準に適合すると判断したものには安全性が備わっていると「一応推認するのが相当である」として、そこで思考を停止すれば良いと諭しています(これでは運転差し止めの訴訟そのものが成り立たなくなります)。
また火山などについては、「具体的危険性は認められない」としていますが、火山噴火が予知できないものであることは既に常識であり、具体的な予知を要求する方が無理です。判決は近傍の火山の過去の噴火が原発の敷地にどう影響し、それは「火山条項」の規制と関わるのか否かを判断するべきです。
「避難計画等の実効性の有無にかかわらず、原告らの人格権が侵害される具体的危険性があるとはいえない」というのも理解不能の表現で、複合災害の時は逃げ場がないという避難計画の不備を判決は回避しています。
注「人格権」とは、人の生命や身体、自由、名誉、貞操、信用など人格と切り離すことのできない利益を守る権利となっています。
原告側が、「判決は原告が危険だということを立証しない限り安全だとしている。断じて許容できない」と控訴するのは当然です。
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川内原発「危険」認めず 鹿児島地裁原告「屈しない」
しんぶん赤旗 2025年2月23日
国と九州電力を相手に地元住民などが川内原発1・2号機(鹿児島県薩摩川内市)の運転差し止めを求める「原発なくそう!九州川内訴訟」で、鹿児島地裁(窪田俊秀裁判長)は21日、原告の請求を退ける判決を出しました。判決後、原告、弁護団、支後者は地蔵前で 「不当判決」「私達は屈しない」の幕を掲げました。
地震や火山噴火、避難計画の実効性などが主な争点。判決は原発の安全性について「社会通念を基準として判断すべきもの」と指摘。原子力規制委員会が基準に適合すると判断した原発は安全性が備わっていると「一応推認するのが相当である」としています。地震、火山などについて「具体的危険性は認められない」「避難計画等の実効性の有無にかかわらず、原告らの人格権が侵害される具体的危険性があるとはいえない」としました。
判決後の報告集会で、原告団長の森永明子さん=薩摩川内市=は「大変なことが起きる前に止める決断を国でも司法でもしないといけない。福島の原発事故の現実から目をそらさないでほしい」と語りました。
弁護団の森雅美共同代表は「判決は原告が危険だということを立証しない限り安全だとしている。断じて許容できない」と控訴する方針を示しました。
川内原発1号機は昨年7月、運転開始から40年を迎え、運転延長期間に入りました。2号機も今年H月に40年になります。
九州電力川内原発の運転差し止め認めず「具体的な危険性があるとは認められない」…鹿児島地裁判決
読売新聞 2025/2/22
九州電力川内原子力発電所1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)について、鹿児島、宮崎、熊本県の住民ら約3000人が運転差し止めなどを九電と国に求めた訴訟で、鹿児島地裁は21日、原告側の訴えを退ける判決を言い渡した。窪田俊秀裁判長は同原発について「地震や火山に対する安全性を欠いているとはいえず、具体的な危険性があるとは認められない」と述べた。原告側は控訴する方針。
住民らは東京電力福島第一原発の事故翌年の2012年5月に提訴。火山や地震の想定や安全対策が十分かどうかなどを主な争点に12年以上にわたって審理された。
判決はまず、原発の安全性について「社会がどの程度の危険を容認するかという社会通念を基準として判断すべきもの」との考えを示し、その上で各争点を検討した。川内原発周辺のカルデラ火山に関し、「破局的噴火の可能性が十分に小さい」とした九電側の評価について、判決は「相応の科学的根拠に基づくもので、(原子力規制委員会が安全審査に用いる)火山ガイドとも整合する」と指摘。この九電の評価を妥当とした規制委の判断にも不合理な点は認められないとした。
また原告側は、九電が定めた基準地震動(想定される最大規模の揺れ)について、「過小に評価されている」と主張していたが、判決は「不確かさを考慮して適切に策定されている」と判断した。原告側が実効性の欠如を訴えた避難計画についても、具体的な危険性が認められないとして退けた。国に対して求めていた九電への運転差し止めについては、一般の民事訴訟ではなく、行政事件訴訟法に基づく訴訟の対象で、「訴えが不適法」として却下した。
政府が原発について積極的な活用に政策を転換する中、鹿児島地裁の判断が注目されていた。
原告側憤り「許容できない」
判決後、原告側が鹿児島市内で開いた報告会で、弁護団長の森雅美弁護士は判決について「原告側が危険(性)を具体的に立証しない限り安全と言い切る判決であり、許容することはできない」と憤った。
九州電力も同市内で記者会見し、金田薫司・原子力訴訟担当部長は「非常に長期間の裁判で多くの争点が提起されたが、丁寧に証拠を示してきた。裁判所にご理解いただけた」と述べた。原子力規制委員会は「新規制基準への適合性審査を厳格に進め、適切な規制を行っていく」としている。
判決は国の判断任せ、憤る住民「司法は逃げた」 川内原発運転差し止め訴訟は〝門前払い〟 避難計画の実効性に踏み込まず
南日本新聞 2025/02/23
「避難計画の実効性の欠如にかかわらず、原告らに具体的危険性があるとはいえない」。九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の運転差し止めを認めなかった21日の鹿児島地裁判決。住民側が求めていた実効性の検証はゼロ回答だった。原子力災害はパニックや複合災害も想定されるため、避難計画が現実的かは裁判にかかわらず疑問視され続けてきた。数ある争点の中で、地域住民が抱える不安との温度差が最も激しい判断を下したといえる。
地震や火山噴火など自然災害によって、放射性物質の放出を伴う重大事故が起きる「具体的危険の存在」を先に否定。避難計画に踏み込まない根拠にもした。住民側で避難計画を争点化した後藤好成弁護士は「ひきょうだ。裁判で示した課題から逃げた」と憤る。
判決の理屈だと、重大事故は起きないのだから避難計画を点検する原子力防災訓練などは行うまでもないと論じるのと変わらない。
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判決の1週間ほど前、薩摩川内市など30キロ圏の9市町を中心に国の原子力総合防災訓練が開かれた。放射線被ばく者が出る重大事故を想定。孤立地区が発生した能登半島地震も踏まえ、ヘリやゴムボートによる避難、インフラ対策などの手順を確認した。複合災害が念頭にある。
県をはじめ参加機関は、訓練で課題を洗い出す計画。参加した住民からは「現実に起きたらパニックになる」「風向きによっては被ばくは避けられない」と不安が聞かれた。避難道路の整備を求める声もあった。
そもそも能登半島地震では、運転停止中だった北陸電力志賀原発(石川県志賀町)の周辺で放射線防護施設が相次ぎ損壊。かつて原発建設計画があった同県珠洲市の海岸は隆起に見舞われた。重大事故を紙一重で免れた可能性は否定できない。
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今回の判決は、住民側が訴えた避難計画や複合災害対応に見解を示さなかった。「踏み込んで検討すると、成り立たないことが明確になるから」。志賀原発訴訟の北野進原告団長(65)は、国が緊急時の対応に関わっているので大丈夫という安全神話が底流にあると推測する。
原発の安全性の要求水準に、判決が「社会通念」を持ち出したことにも異論を唱える。「複合災害が起きたら逃げられないことこそが、社会通念ではないか。当てはめる先が違う」
NPO法人「原子力資料情報室」の松久保肇事務局長(46)は原発訴訟の判決について、行政の基準や判断に立ち入らない福島第1原発事故以前に戻る傾向があると指摘。「三権分立は相互がけん制するから機能するのに、司法は放棄している。原発にとどまらない、ゆゆしき問題だ」と嘆いた。
(連載「門前払いの衝撃~川内原発停止認めず」㊥より)
川内原発差し止め訴訟判決は、火山リスクで科学的検討深めず国の主張に“お墨付き” 住民側は「反論山ほど。このままでは終われない」
南日本新聞 2025/02/24
阿蘇、加久藤・小林、姶良、阿多、鬼界-。
九州電力川内原発(薩摩川内市)への影響が懸念されている五つのカルデラである。活動に変化がないか、監視の対象になっている。桜島の大噴火に伴う降灰なども加え、火山のリスク評価は運転差し止め訴訟の注目の争点だった。
差し止めを認めなかった判決は、住民側の「マグマだまりを把握するのは困難で、カルデラ噴火に周期性はなく予知できず危険だ」といった訴えを退けた。国・九電側の「運用期間中に破局的噴火が起きる可能性は極めて低い」とする主張に“お墨付き”を与えた形になった。
判決は火山をはじめ争点に対し、積極的に科学的・専門技術的検討を深めるというよりも、国の基準などの合理性を全体的に認めた延長線で判断を下した。「不合理とはいえない」。これが提訴から13年近くを経ての着地点。住民側で火山を担当した大毛裕貴弁護士は「結論ありき。火山学を踏まえていない最低の判決だ」と言い切る。
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川内原発を巡っては、火山リスクに特化して住民らが国に設置許可取り消しを求めた行政訴訟が福岡高裁で係争中だ。国側は両訴訟をにらんでか、今回の判決に向けては火山を「本訴訟における主要な争点」とあえて位置付けていた。
一方、住民側。行政訴訟の原告でもある薩摩川内市の鳥原良子さん(76)は判決に落胆しつつ、国の不合理さを追及できたとして「行訴はいい感じにいくと思う」と期待をつなぐ。もちろん、「ほかの原発裁判に影響が出るのでは」との心配は尽きない。
判決に駆け付けた玄海原発訴訟の住民側弁護団・東島浩幸弁護士も「九電側は今回の判決を玄海訴訟に使うだろう」と懸念する。「複合災害の時は逃げ場がないといった避難計画の不備を今後も訴えていく」と気を取り直した。
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住民側は判決を不服として控訴する方針だ。2月、国は原発回帰が鮮明なエネルギー基本計画を閣議決定するなど、脱原発を取り巻く環境は厳しさを増している。それでも、弁護団の森雅美共同代表は全国で原発訴訟が続いていることを念頭に「壁を突き破るために続ける」と、腹をくくる。
原告3036人が47都道府県に広がる意味も大きいとする。報告集会に参加した宮崎市の原告男性(72)は「ひとたび事故が起きれば、鹿児島だけでなく日本全体に影響しかねない。控訴審を注視したい」と語る。
「3000人の原告たちが納得できる結果ではない。このままでは終われないという気持ちにさせられた」。白鳥努弁護士は続ける。「反論したいところは山ほどある。控訴の理由書は膨大な量になるだろう」
24- 「福島第一原発事故」発生直後、東京電力本店で起きた混乱の一部始終
22日付の現代ビジネスに掲題の記事が載りました。
それは22年に「科学ジャーナリスト大賞」を受賞するなど、各種メディアで高く評価された単行本『福島第一原発事故の「真実」』の内容を一部抜粋して紹介したものです。
あまりに短すぎて参考になりませんが、そういう本が出ていたことを知るという意味はあります、
今回は他に記事が殆どないので紹介します。
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「福島第一原発事故」発生直後、東京電力本店で起きた混乱の一部始終
現代ビジネス 2025/2/22
東日本壊滅はなぜ免れたのか? 取材期間13年、のべ1500人以上の関係者取材で浮かび上がった衝撃的な事故の真相。他の追随を許さない圧倒的な情報量と貴重な写真資料を収録した、単行本『福島第一原発事故の「真実」』は、2022年「科学ジャーナリスト大賞」受賞するなど、各種メディアで高く評価された。文庫版『福島第一原発事故の「真実」ドキュメント編』より、その収録内容を一部抜粋して紹介する。
震災から1時間余り、東京電力本店は福島第一原発からの緊急報告に直面した。外部電源が失われ、事態は急速に深刻化していく。緊急対策室の小森常務は、電源車の手配を急ぐが、続々と寄せられる報告に冷静を保つのは困難を極めた。原子炉の冷却状況を確認できないまま、福島第一原発で新たな危機が進行していた。
地震発生直後の東京電力本店
福島第一原発から南に230キロ。東京・内幸町の東京電力本店も激しい揺れに襲われていた。
午後2時46分、原子力部門ナンバー2の常務の小森明生(58歳)は、会議室で打ち合わせをしていた。波を打つような激しい上下動に見舞われた。震度5強だった。小森は、揺れが収まるのを待って、会議室を飛び出した。東京電力は、電力を供給している地域に震度6弱以上の地震があったとき、2階の緊急時対策室に対策本部を設置することにしている。フロアのエレベーターは、揺れを感知してすべて止まっていた。
小森は急いで階段で2階まで駆け下りた。緊急時対策室は、200人を収容できるスペースに、原発や火力発電所のほか各支店の対策本部を結ぶテレビ会議システムを備えていた。小森が対策室に入ったときには、すでにテレビ会議は立ち上がり、大型のディスプレイ画面に各地の対策本部の様子が映し出されていた。
金曜日の午後とあって、本店の緊急要員に指定されている社員が続々と集まってきた。しかし、対策本部長を務めるはずの社長の清水正孝(66歳)はこの日、不在だった。電気事業連合会の会長として、夫人を伴って奈良県の平城宮跡を視察していたのだ。会長の勝俣恒久(70歳)も副社長の一人と中国の北京に出張中だった。
原子力部門トップの副社長の武藤栄(60歳)がほどなく駆け込んできた。武藤は東京大学で原子力工学を学び、入社後にカリフォルニア大学にも留学した原子炉と安全解析の専門家で、原発の補修・建設畑が長かった小森にとっては、緊急時に頼りになる存在だった。
小森と武藤は、原発の状況を確認し合った。
「福島第一と第二はどうなっている?」
「福島第一、スクラム(⇒緊急停止)成功」
「福島第二もスクラムしています」
震源に近い福島第一原発は震度6強だった。福島第一原発と第二原発はスクラムに成功していた。冷却装置も始動していることが確認された。
「柏崎刈羽は?」
100万キロワットを超える大型の原子炉7基が並ぶ新潟県の柏崎刈羽原発は、震度5弱で、稼働していた4基の原子炉は運転を続けていた。小森も武藤も対策室のメンバーもほっとしていた。地震で原子炉がスクラムし、停止するのはみな何度か経験している。あとは原子炉を手順どおり冷やしていけばいい。
午後3時を過ぎた頃だっただろうか。
「外部電源を失っています」
ひやりとさせる報告がきた。福島第一原発からだった。外から供給を受けていた電気が途絶えたという連絡だった。対策室がざわついた。しかし、小森は慌てていなかった。その福島第一原発の所長を小森は2年にわたって務めていた。外部電源の喪失は事故対応マニュアルに記してある。外からの電気が絶たれても、発電所には軽油で動く非常用発電機とバッテリーも8時間もつ機器が備えられている。
テレビ会議の画面では、8ヵ月前に引き継ぎをした後任の吉田が、そうしたバックアップの電源が所定どおり動き始めていることを報告していた。対策室の空気が和らいできた。
テレビ会議を通して、福島第一原発だけでなく、福島第二原発や柏崎刈羽原発から現状や対処の方法について、報告や指示を求める連絡が次から次に飛び込んできた。対策室はごった返していた。
停止した原子炉内の温度を100℃以下に冷やす「冷温停止」に向けて、みな、担当の仕事をあわただしくこなしていた。
途絶えることのない報告を受けていた小森のもとに、武藤が対策本部から離れるという連絡が入ってきた。東京電力は、中越沖地震の原発火災の際、地元への説明が不十分だったと厳しい批判を受けて、大きな地震発生時は、原子力・立地本部長自らが原発に赴き、地元支援にあたることにしていた。
武藤は、福島第一原発から南西に5キロ離れた大熊町役場近くに建てられたオフサイトセンターと呼ばれる国や福島県など関係機関が集まって避難対策を協議する拠点に行くことになった。
武藤が小森に近寄り「よろしく頼みます」と短く声をかけ、部下3人と一緒にあわただしく対策室を後にしていった。午後3時半、武藤は本店を出発し、新木場のヘリポートに向かった。
頼りになるはずの武藤がいなくなり、会長も社長も不在の対策室のリーダーは、名実ともに小森となった。責任が小森の肩に重くのしかかってきた。その10分後の午後3時42分のことだった。
「10条の発令をお願いします」
吉田の声だった。本店対策室の緊張が一気に高まった。福島第一原発の免震棟を映し出すディスプレイ画面から円卓を行き交う「SBO!」という言葉が何度も漏れ聞こえた。非常用発電機が動かなくなった。電源が失われた。信じられない異常事態だった。その原因もわからないという。どうすればいいのか。テレビ画面を通して、230キロ離れた東京本店と福島第一原発との間で、もどかしいやりとりが続いていた。
しばらくすると、テレビ画面の吉田が、電源車を用意してほしいと要望してきた。小森は、すぐに本店の配電部門に電源車を福島に送るよう指示を飛ばした。とにかく電源確保だ。そのためには電源車だった。午後4時10分、本店の配電部門から東京電力全店の配電担当者に、電源車を確保するよう一斉に指示が出た。東京電力は各支店に、6900ボルト用の高圧電源車と、100ボルト用の低圧電源車を多数所有していた。20分もすると、配電担当者のもとに、高圧電源車48台、低圧電源車79台が準備できると報告があがった。電源車は、用途によってボルト数や仕様が様々だった。しかし、今は、何より早く到着できるかが問題だった。配電担当者は、どの電源車もすぐに出発するよう指示を出した。福島に近い東北電力にも電源車の救援を依頼した。全国各地から手当たり次第に電源車が福島第一原発に向かい始めた。
ちょうどこの頃だった。午後4時45分、本店対策室の緊迫度をさらに高める状況になった。
吉田がテレビ会議で原災法15条を通報したのだ。福島第一原発1号機と2号機の中央制御室では、原子炉の冷却が行われているかどうか確認できないというのだ。
送られてきた15条通報のファックスを手に、小森は言葉を失った。「これはえらいことになるかもしれない」と思った。
一方、新木場に向かっていた武藤は、車の中で電源喪失の連絡を受けた。とにかく一刻も早く福島に行かねばならない。焦る気持ちと裏腹に、普段は20分で行く道が大渋滞となり、車はまったく前に進まなくなった。ついに武藤らは、ヘリポートまで数キロというところで、車を降りて歩いて行こうとした。ところが、歩き始めたら液状化のため、膝まで泥に浸かり、二進も三進もいかなくなってしまった。困り果てた武藤は60歳にして生まれて初めてヒッチハイクを試みた。緊急時においても親切な人はいるもので、武藤らはヒッチハイクを2回重ねて、泥だらけになって新木場にたどり着いた。待ちかねていたヘリコプターに乗り込んで福島へと飛び立ち、午後6時過ぎ福島第二原発のヘリポートに降り立った。あたりはすっかり薄暗くなっていた。
こうして中央制御室も免震棟も東京本店も、電源を奪われた原発がどうなっていくか、実感もなく想像もつかないまま、日本はおろか世界中を震撼させる未曾有の危機に飲み込まれていったのである。
NHKメルトダウン取材班
2025年2月20日木曜日
原発「最大限活用」閣議決定 エネ基本計画 温室ガス削減低い目標(しんぶん赤旗)
政府は18日、中長期のエネルギー政策である「エネルギー基本計画」を閣議決定しました。財界や大手電力会社のかねての要求を丸のみし、従来の原発への「依存度低減」の表現を削り「最大限活用」を打ち出しました。さらに原発の新規建設について、岸田政権が22年12月に決めた「GX基本方針」で、廃炉を決めた敷地内に限定していた条件を緩め、電力会社が同じなら敷地外でも可能にする方針に変えました。
新規の原発も「開発・設置に取り組む」としました。
福島第一原発事故を機に原発の運転や新規の建設を抑制しようとした姿勢はなくなり、事故以前のフリーハンド状態に変わりました。「のど元過ぎれば熱さを忘れ」の状態です。
詳しい内容は、下記を参照ください。詳しい内容は、下記を参照ください。
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(2月17日)第7次エネルギー基本計画案の問題点+
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原発「最大限活用」閣議決定 エネ基本計画 温室ガス削減低い目標
しんぶん赤旗 2025年2月19日
政府は18日、中長期のエネルギー政策の方向性を示す「エネルギー基本計画」を閣議決定しました。原発について従来の「依存度低減」の表現を削り「最大限活用」を打ち出しました。同時に閣議決定した「地球温暖化対策計画」は、2035年度の温室効果ガス排出量を13年比で60%削減という低い目標を盛り込み、日本の削減目標として国連に提出しました。
改定したエネルギー基本計画(エネ基)は、東京電力福島第1原発事故以降、政府自身が従来掲げてきた「可能な限り原発依存度を低減する」の文言を削除。代わりに原発を再生可能エネルギーと合わせ「最大限活用する」と打ち出しました。財界や大手電力会社のかねての要求を丸のみしたものです。事故の教訓を投げ捨て、原発回帰をいっそう鮮明にしました。
さらに原発の新規建設について、岸田文雄政権が22年12月に決めた「GX(グリーントランスフォーメーション)基本方針」で廃炉を決めた敷地内に限定していた条件を緩め、電力会社が同じなら敷地外でも可能にする方針にしました。新規の原発も「開発・設置に取り組む」としました。
40年度の電源構成では、原発の割合を「2割程度」。稼働基数で30基程度となり、現在、再稼働している14基の2倍以上です。太陽光など再生可能エネルギーの割合は「4~5割程度」に、LNG(液化天然ガス)や石炭などの火力発電を「3~4割程度」と維持・温存する方針です。G7(主要7カ国)で唯一、廃止期限を表明していない石炭火力は「安定供給性や経済性に優れた重要なエネルギー源」などとしています。昨年末から実施された意見公募は4万件を超えました。
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一方、地球温暖化対策計画は35年度の温室効果ガス排出量を13年比で60%削減にとどまる目標を盛り込みました。
気候変動対策の国際的枠組み「パリ協定」は、気温上昇が産業革命前と比べ1・5度以内に抑える努力目標を掲げました。世界的な組織「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第6次評価報告書では、1・5度以内に抑えるなら35年には13年比で66%の削減が必要としています。政府目標はこの値にも及びません。
「13年比60%」案が審議会で明らかにされてから、若者やNGO、企業グループなどから引き上げを求める声が相次ぎ、日本共産党も排出大国の責任にふさわしい「13年比75~80%削減」を求めて政府に要請。一方、経団連は政府と同じ目標を掲げました。意見公募は3千件を超えました。