2025年2月20日木曜日

川内原発の火山・地震対策どう判断…運転差し止め訴訟、21日に鹿児島地裁判決

 鹿児島、宮崎、熊本県の住民ら約3000人が九州電力と国に川内原発1、2号機の運転差し止めなどを求めた訴訟の判決が21日、鹿児島地裁で言い渡されます。
 主な争点は、火山や地震などの想定や安全対策が十分かどうかで、これまで規制委が定めた「火山条項」は一貫して有名無実状態で推移しています。また「危険性の立証責任は告訴人側にある」などいう前時代的(明治・大正時代の公害訴訟)な判決もありました。同地裁の判断が注目されます。
 火山灰の危険な性状を関係者が正確に認識しているかも重要です。
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九州電力川内原発の火山・地震対策どう判断…運転差し止め訴訟、鹿児島地裁で21日判決
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 鹿児島、宮崎、熊本県の住民ら約3000人が九州電力と国に九電川内原子力発電所1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の運転差し止めなどを求めた訴訟の判決が21日、鹿児島地裁(窪田俊秀裁判長)で言い渡される主な争点は、火山や地震などの想定や安全対策が十分かどうか。政府が原発について積極的な活用に政策を転換する中、同地裁の判断が注目される。(渡部優斗)
 同原発の半径160キロ圏内にあるカルデラ火山について、原告側は、現在の火山学では噴火の規模や時期は予測できず、「(原発の)立地は不適」と主張する。九電は、噴火の間隔やマグマだまりの状況を総合的に考慮し、「破局的噴火の可能性は極めて低い」と反論。国は「社会通念上、巨大噴火のリスクは容認されている」としている。

 地震に関しては、原告側は、原発の耐震設計の基本となる基準地震動(想定される最大規模の揺れ)について、「過小に評価されている」と訴える。一方、九電側は最新の知見に基づき、適切に策定しているとし、「十分な耐震安全性を確保している」と反論している。
 また、避難計画についても争っており、原告側は避難者数や移動距離が大規模となり、風向きの変化による放射性物質の影響に対応できないと主張。九電と国は、避難計画を含む緊急時の対応について「具体的、合理的に策定され、(政府の)原子力防災会議で了承されている」などとしている。
 住民らは東京電力福島第一原発の事故翌年の2012年5月に鹿児島地裁に提訴した。このうち一部は運転差し止めを求める仮処分も申し立て、今回の正式裁判と同様の争点で争われたが、同地裁と福岡高裁宮崎支部が15年4月と16年4月にそれぞれ、住民側の申し立てを退けている。