2021年3月1日月曜日

海外保管プルトニウム 所有権交換などで削減する案

 原発燃料とするため電力各社がフランスとイギリスに保管するプルトニウムについて、電気事業連合会は利用が可能な会社とそうでない会社の間で所有権を交換するなどして、25年度以降、削減を進める案を検討していることを明らかにしました。

 多少の前進にはなりますが、そもそも「プルサーマル発電」で消費されるプルトニウムの量は僅かなので、膨大な量のプルトニウム消費策にはなり得ないものです。
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海外保管プルトニウム 所有権交換などで削減する案検討 電事連
                     NHK NEWS WEB 2021年2月27日
原子力発電所の燃料とするため、電力各社がフランスとイギリスに保管するプルトニウムについて、電気事業連合会は利用が可能な会社とそうでない会社の間で所有権を交換するなどして、2025年度以降、削減を進める案を検討していることを明らかにしました。
電力各社は、原発で使い終わった核燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、再び原発で使う「プルサーマル発電」を進めていますが、日本の再処理工場は完成していないためこれまで各社は個別にフランスとイギリスに委託してプルトニウムを取り出し核燃料に加工していました。
しかし、原発事故のあと、国内の原発の多くが運転を停止するなどしておよそ36トンある海外のプルトニウム利用が進んでいないことから、電気事業連合会は電力各社間でプルトニウムを相互に融通するなどして2025年度以降、削減を進める案を検討していることを明らかにしました。
具体的には核燃料の加工がフランスでしか行えないため、プルサーマル発電が可能な会社は、そうでない会社がフランスに持っているプルトニウムの所有権を得て利用を進める代わりに、イギリスに持つプルトニウムの所有権を譲ることなどが考えられるということです。
プルトニウムは核兵器の原料にもなることから、国際的に削減が求められています。

電力各社のプルサーマル計画
【東京電力は「基数」示せず】
電気事業連合会は、26日電力各社が「プルサーマル発電」をどの原発で実施するか想定した新たな計画を11年ぶりに示しました。
このうち新潟県や青森県で原発の稼働を目指す東京電力は前回・2010年の計画の中で、事故が起きた福島第一原発3号機を含む「3基から4基」で実施するとしていましたが、今回は具体的な基数を削除し、「いずれかの原子炉で実施」と記載しています。
東京電力は、国内外に保有するプルトニウムが電力会社の中で最も多く、今年度末の時点で13.7トンにのぼるとみられます。
今回の計画について東京電力は「プルトニウムの消費に取り組む姿勢は変わらないが、現時点で具体的な計画が見通せず、基数を示すことはできない」としています。

【東電以外は前回計画どおり】
一方、東京電力以外の電力会社は前回の計画からの変更はありませんでした。
それによりますと、
▽北海道電力は、北海道泊村にある泊原発3号機の1基。
▽東北電力は、宮城県女川町と石巻市にある女川原発3号機の1基。
▽中部電力は、静岡県御前崎市にある浜岡原発4号機の1基。
▽北陸電力は、石川県志賀町にある志賀原発1号機の1基。
関西電力は、福井県高浜町にある高浜原発3号機と4号機と、福井県おおい町にある大飯原発の1基から2基の、合わせて3基から4基。
▽中国電力は、松江市にある島根原発2号機の1基。
▽四国電力は、愛媛県伊方町にある伊方原発3号機の1基。
▽九州電力は、佐賀県玄海町にある玄海原発3号機の1基。
▽日本原子力発電は、福井県敦賀市にある敦賀原発2号機と、茨城県東海村にある東海第二原発の合わせて2基。
そして
▽電源開発は、青森県大間町にある大間原発の1基です。

大間原発は、ほかの原発と異なってプルトニウムを含む特殊な核燃料のみを原子炉に入れることができます。
電源開発は、東京電力や中国電力などがフランスに保管するプルトニウムの一部を譲り受ける予定です。
原発事故後4基にとどまる
10年前の2011年に起きた福島第一原発の事故のあと、稼働する原発は限られ、プルサーマル発電は進んでおらず、これまでのところ、関西電力の高浜原発3号機と4号機、四国電力の伊方原発3号機、それに九州電力の玄海原発3号機の合わせて4基にとどまっています。

一方、電気事業連合会は、去年12月、プルサーマルの実施目標を11年ぶりに見直し、「2030年度までに少なくとも12基」としていますが、再稼働した4基以外に、プルサーマルを前提にした国の審査を受けているのは現在、4基だけです。

今後、青森県六ヶ所村にある再処理工場が本格操業をすれば、国内でも新たにプルトニウムが取り出されることになり、さらにプルトニウムの保有量が増えるおそれもあります。