2021年11月22日月曜日

22- 仏などの原発回帰 地球温暖化対策にはならない

 原発推進派の読売新聞が、地球温暖化対策として原発が有用とする記事を出しました。
 原発が「脱炭素」であるのは発電の行程でのことで、核燃料の採掘から精製迄の工程及び使用済み核燃料の処置(数万年を要する)においては、莫大なエネルギーを消費するのでそれに見合った炭酸ガスを発生させます。
 また、原発は火力発電に比べて熱効率が1/2~1/1・5と劣るのでその分余計に冷却水や大気中に放熱するので地球の大気や海水を余計に暖めます。
 従って原発を「脱炭素」乃至は地球温暖化対策の切り札と考えるのは間違っています。
 そもそもウラン燃料が商業ベースに乗るのは10年ほどのスパンで、いずれ枯渇すると考えられている「刹那的」なエネルギーです。
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仏の原発回帰 脱炭素が後押しした政策転換
                         読売新聞 2021年11月22日
 電力の安定供給を維持しながら地球温暖化対策を進めるうえで、原子力発電は有用だ、という認識が広がっていることの表れだと言えよう。
 フランスのマクロン大統領が脱炭素の切り札として、原発新設を再開する方針を表明した。「欧州加圧水型炉」と呼ばれる原発を新たに複数建設するという。
 フランスは発電量の7割を原発が占めているが、新規着工は2007年を最後に途絶えていた。東京電力福島第一原発事故の後は、依存度の高さへの批判もあったが、将来も原発に軸足を置くフランスの立場を明確にした形だ。
 背景には、温暖化による異常気象への不安や、ガス・電気料金の上昇への不満から、仏国民の間で原発を肯定的にとらえる見方が強まっていることがある。
 原発は、天候に左右されやすい再生可能エネルギーの弱点を補完できる安定電源であり、二酸化炭素(CO2)を排出しない
 来年の大統領選で再選を目指すマクロン氏は、現実的な環境・エネルギー政策を打ち出すことで支持拡大を図っているのだろう。
 フランスの方針が欧州連合(EU)に影響を与えるのは必至だ。EUは近く、「持続可能な経済活動」のリストを策定する。脱炭素に資する産業への投資を促進するのが狙いで、指定された業界は公的補助を受けやすくなる。
 フランスやポーランドなどは、原発をリストに含めることを求めている。指定されれば、EUが脱炭素の世界的潮流を先導する中で原発の役割を重視する立場を示す象徴的な決定となる。
 注目すべきは、22年末までに全ての原発を停止する方針を打ち出しているドイツの動向だ。9月の連邦議会選を受けた連立交渉では、「反原発」の環境政党「緑の党」が新政権に加わることが有力になっている。
 欧州では今夏、風が弱かったために風力発電の電力供給が減り、電気代が高騰するなど、再生エネの脆もろさが露呈したばかりだ。
 パイプラインを建設し、ロシアの天然ガスの供給増を図るドイツの計画には、エネルギー安全保障の観点からの批判も根強い。
 ドイツの新政権は、「脱原発」を維持したまま、脱炭素と電力の安定供給をどう両立していくのかを問われるのではないか。
 欧州のような国境を越えた電力網がない日本は、状況はさらに厳しい。フランスの動きを参考に、原発の再稼働はもとより、新設・増設も積極的に検討すべきだ。