2021年11月5日金曜日

株主訴訟で元会長ら3人 報告ない・知らない連発(控訴審続報)

 時事通信が、福島第1原発事故で強制起訴された勝俣恒久元会長ら3人は、今年7月に行われた東京地裁の尋問では対策の必要性をめぐり、3人は「報告がなかった」「知らなかった」と繰り返したと報じました。

 また、控訴審第1回公判が開かれた2日、刑事告訴した市民団代が行った東京都内での記者会見で、海渡雄一弁護士は「同原発の敷地は高台を掘り下げており、津波に弱いのが分かる」と語り、河合弘之弁護士は、一審が現場検証をせずに元幹部3人を無罪としたことについて、「日本の歴史上最大の人災で現場を見ないのは非常識。軽蔑すべき判決だ」と批判したことを伝えました。「続報」として紹介します。
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「報告ない」「知らない」連発 株主訴訟で元会長ら3人―福島原発
                        時事通信 2021年11月03日
 東京電力福島第1原発事故で強制起訴された勝俣恒久元会長(81)ら3人は、東電の株主からも津波対策を怠り巨額の損失を発生させたとして、東京地裁に訴訟を起こされた。今年7月に行われた尋問では対策の必要性をめぐり、3人は「報告がなかった」「知らなかった」と繰り返した
 訴訟で大きな争点となった日本海溝沿いでマグニチュード8クラスの大地震が起きる可能性を指摘した政府機関の「長期評価」について、原子力部門で長年勤務した武藤栄元副社長(71)は「よく分からないので、専門家に聞くしかなかった」と主張。事故前に電力会社の関係者が過半を占める土木学会の部会に検討を依頼していたとして、津波対策をしなかった正当性を訴えた。太平洋側に原発を持つ他の事業者の対策は「知らなかった」と強調した。
 原子力担当だった武黒一郎元副社長(75)も、津波対策は「部下から進言はなかった」と釈明。「(事故に至る)全電源喪失は可能性が非常に低かった。(備えは)許されるレベルだと思っていた」と振り返った。
 「安全最優先の方針だった」と語ったのは勝俣元会長。だが、津波の想定見直しは「説明を受けていない」、長期評価を伝える新聞報道は「記事を見たことない」などと述べるにとどまった。「津波によって大事故になるという認識はなかった。情報を上げろとは言わなかった」とも話し、関心の乏しさがあらわになった。訴訟は今月中に結審する。


「津波に弱いのが分かる」 現場検証に期待―東電元幹部控訴審・告訴の市民団体
                         時事通信 2021年11月02日
 東京電力福島第1原発事故で強制起訴された同社元幹部らの控訴審第1回公判が開かれたことを受け、元幹部らを刑事告訴した市民団体が2日、東京都内で記者会見した。メンバーの海渡雄一弁護士は検察官役の指定弁護士が求めた現場検証に期待感を示し、「(同原発の)敷地は高台を掘り下げており、津波に弱いのが分かる」と語った。
 河合弘之弁護士は、一審東京地裁が現場検証をせずに元幹部3人を無罪としたことについて、「日本の歴史上最大の人災で現場を見ないのは非常識。軽蔑すべき判決だ」と批判した。
 事故で避難した福島県の武藤類子さん(68)は「どきどきして法廷に入った。現場検証や(指定弁護士が求めた)証人調べが実現してほしい」と話した。