2023年9月18日月曜日

原発巡る〝3つの検証”県の総括を批判 池内前委員長「総括になっていない」

 新潟県が公表した福島第一原発事故を巡る3つの検証の総括について、検証総括委員会の池内了前委員長が17日会見を開き「各検証委の報告書に書かれていることの簡略版を示すだけでは、これは総括書にはならない避難の困難さや被ばくの悪影響を軽く見せる意図が認められる」などと批判しました。そして前委員長の義務として自身が総括した検証の報告書を年内に公表する予定だと述べました。
 花角知事は昨年9月、避難や防護措置に関する99項目456点の論点を記載した避難委員会報告書を受け取るに当たり、「『課題』という言葉は問題・欠陥という意味に使われるが、議論したことが456項目あったという理解でよろしいですね(要旨)と念を押しました。
『課題』には、「議論した項目」と理解できるものもあるにしても「解決を要する問題点」と理解するのが普通で、花角氏の発言は最初から逃げ腰であることを示しています。5年以上かけて検証してきた結果をそんな風に扱うとはあまりにも不誠実です。
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原発巡る3つの検証”県の総括を批判 検証総括委・池内前委員長「総括になっていない」
                       NST新潟総合テレビ 2023/9/17
県が公表した東京電力福島第一原発事故を巡る3つの検証の総括について、検証総括委員会の池内了前委員長が17日会見を開き「総括になっていない」と批判しました。
原発を巡る県の3つの検証について、花角知事は今月県の総括を公表。「各委員会の報告書に矛盾がなかった」とし、今後柏崎刈羽原発の再稼働議論を進めると表明しました。
これを受け検証総括委員会の池内了前委員長は17日、会見を開き…
検証総括委 池内了前委員長】「(各検証委の報告書に)書かれていることの簡略版を示すだけでは、これは総括書にはならない」
池内前委員長は、県の総括は各委員会の報告書の内容を簡略化しただけと指摘した上で「避難の困難さや被ばくの悪影響を軽く見せる意図が認められる」などと批判しました。
検証総括を巡っては県と池内前委員長の間で意見が対立したまま委員の任期が切れ、県が事務的に取りまとめていました。


「おおざっぱ」新潟県独自の福島原発事故巡る報告書、前委員長が批判
                            毎日新聞 2023/9/18
 新潟県が13日に公表した、東京電力福島第1原発事故に関する県独自の「三つの検証」の総括報告書について、名古屋大名誉教授で検証総括委員会の池内了・前委員長が17日、十日町市内で記者会見と講演を行い、内容を「おおざっぱ」と改めて批判した。
 報告書の取りまとめは当初、有識者による検証総括委で行う予定だった。しかし、柏崎刈羽の安全性も議論すべきだとする池内氏と、そこには踏み込まないとする花角知事が対立。池内氏ら全委員が今年3月で任期満了を迎えたが、花角知事は委員を再任せず、県によって総括した。

 池内氏は会見で「報告書はおおざっぱで簡略化されている。事務的な作業で何が重要か区別がついていない。簡略版を示すのでは総括書にはならずチャットGPTでもできる内容だ」と語気を強めた。
 また、県の取りまとめでは「福島の原発事故の悲惨さを弱め、避難の困難さ、被ばくの悪影響を軽く見せるようなバイアスがかかっている」と批判した。
「三つの検証」を立ち上げた前知事で衆院議員の米山隆一氏も同席。「論点を列挙しているだけ。知事はこれをもとに再稼働の是非を議論すると言っているが、これでは三つの見せかけの検証で議論のしようがない」と指摘した。

 その後、池内氏は市民向けに講演し、検証総括委が解任された経緯や総括報告書の内容について説明。「検証総括で柏崎刈羽原発について言及しないのはあり得ない。事故を起こした場合には新潟県産米は売れなくなる」と市民への影響を訴えた。
 池内氏は「前委員長の義務」として自身が総括した検証の報告書を年内に公表する予定だという。【池田真由香】