2023年9月11日月曜日

約束破り重ね汚染水放出 国・東電は直ちに中止を 閉会中審査

 アルプス処理水の海洋放出をめぐる閉会中審査が8日、衆参両院の経産・農水委員会の連合審査会として行われました。日本共産党の高橋千鶴子衆院議員と岩渕友参院議員は、政府と東電が漁業者との約束を踏みにじり、海洋放出を強行したことに断固抗議。ただちに中止すべきだと迫りました。

 高橋議員はいまも1日あたり約90トンの汚染水が発生しているとして各紙が「処理水放出完了まで30年」などと報じているが「今から約30年後に汚染水の発生はゼロになるのか」と廃炉の見通しをただしました。東電の小早川智明社長は「汚染水の発生をゼロにすることを引き続き努力したい」と述べ、ゼロにはならないことを事実上認めました。
 経産省の湯本啓市原子力事故災害対処審議官は「適切な廃炉の方法、廃棄物の処分のあり方について検討を深めていく必要がある」と述べ、廃炉の最終的な姿は示せませんでした。
 高橋氏は、「燃料デブリの取り出しが開始されても処分先、処分方法などは何も決まっていない」と批判し、「廃炉の道のりが遠いことを国民や関係者に説明する必要がある」「トリチウムの分離技術も現在進行形であり、新しい道を探るべきだ」と述べ、海洋放出の中止を重ねて迫りました。

 岩渕議員は溶け落ちた核燃料デブリに触れた汚染水にはアルプス処理後もトリチウム以外の放射性物質が残り、いまあるタンクの約7割はそれらの濃度が排出基準を上回っていると指摘したうえで、いまも毎日約90トンの汚染水が生じているとして、今後放出する放射性物質の総量と放出期限をただしましたが、東電の小早川智明社長は「規制基準を満足した上で放出作業がなされる」などと述べるだけで、放射性物質の総量は答えませんでした。
 岩渕氏は、地下水が流れ込んでデブリに触れるのを防ぐ広域遮水壁の設置など汚染水を抜本的に減らす必要があると強調し、「汚染水を抜本的に減らす対策及び汚染水を固めて長期保管するなど海洋放出以外の方法を実現することにこそ、真剣に取り組むべきだ」と迫りました。
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約束破り重ね汚染水放出 国・東電は中止直ちに
                       しんぶん赤旗 2023年9月9日
衆参閉会中審査 高橋・岩渕議員が追及
 東京電力福島第1原発事故の汚染水(アルプス処理水)の海洋放出をめぐる閉会中審査が8日、衆参両院の経済産業・農林水産委員会の連合審査会として行われました。日本共産党の高橋千鶴子衆院議員と岩渕友参院議員は、政府と東電が漁業者との約束を踏みにじり、海洋放出を強行したことに断固抗議。ただちに中止すべきだと迫りました。

 高橋氏は、政府と東電が2015年に福島県漁連と交わした「(汚染水を)関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」との約束を反故(ほご)にしたと批判。岸田文雄首相が約束の当事者である福島県漁連と直接会うこともなしに放出に踏み切ったのはなぜかとただしました
 西村康稔経産相は「一定の理解を得られたと判断し、放出の日程を決めた」としてまともに答えませんでした。
 高橋氏は、そもそも同年に約束が出された背景には、東電が汚染地下水をくみ上げて浄化処理後に海に流す「サブドレン計画」の受け入れを漁業者に迫った経緯があると指摘。東電が汚染水漏れを把握しながら公表しないなど不祥事を重ねる中で、「何度も裏切られた」との思いを持ちながらも、漁業者が「苦渋の決断」で同計画を受け入れたときの約束だとして、「そのような約束を結果として今回また踏みにじった。その反省が全くない」と厳しく批判しました。

 岩渕氏は、約束した文書のなかで東電は「多核種除去設備(アルプス)で処理した水は発電所敷地内に貯留する」と記載していると指摘。「東電は今回の放出は『関係者の理解を得た』と判断したのか」と迫りました。
 東電の小早川智明社長が「政府の方針に沿って放出を開始した」と答弁したのに対し、岩渕氏は「約束も守らず、当事者でありながら判断も示さず政府任せにしている。あまりにも無責任だ」と批判しました。
 岩渕氏は、「福島県の沿岸漁業の水揚げ量は事故前の約2割、漁獲高は約4割で、震災前の5割以上の回復を目指し、試験操業を経てようやく本格操業へと向かおうとしている。こうした努力に水を差すのが海洋放出だ」と強調。「約束を守るということはちゃんと対策を取るということだ。海洋放出は今すぐ中止するべきだ」と求めました。


汚染水の海洋放出めぐる閉会中審査 安全な保管方法検討を
                        しんぶん赤旗 2023年9月9日
衆院連合審査 高橋氏が迫る
 日本共産党の高橋千鶴子議員は8日の衆院経済産業・農林水産両委員会の連合審査会で、東京電力福島第1原発の汚染水(アルプス処理水)の放出に断固抗議するとともに、「海洋放出を中止し、安全な保管方法を検討し、別の道を決めるべきだ」と主張しました。

 高橋氏は、各紙が「処理水放出開始 完了まで30年」(「読売」)などと報じ、多くの国民が30年たてばタンクがなくなると受け止めているかもしれないが、「今から約30年後に汚染水の発生はゼロになるのか」と追及。今年度の放出予定は3万1200立方メートルで、貯蔵量134万立方メートルの1%にすぎず、建屋に地下水が流れ込み、1日あたり約90トンの汚染水が発生しているとして、廃炉の見通しをただしました。東電の小早川智明社長は「汚染水の発生をゼロにすることを引き続き努力したい」と述べ、ゼロにはならないことを事実上認めました
 高橋氏は、政府は廃炉に向けた「ロードマップ」で30~40年後の廃炉とともに、汚染水の発生もなくなるとしているが、これまで資源エネルギー庁も東電も「廃炉の最終的な姿は描けない」と答えてきたと指摘。「これは変わらないのか」と迫りました。経産省の湯本啓市原子力事故災害対処審議官は「適切な廃炉の方法、廃棄物の処分のあり方について検討を深めていく必要がある」と述べ、廃炉の最終的な姿は示せませんでした
 高橋氏は、廃炉に向けた最大の問題点は、「燃料デブリ(溶け落ちた核燃料)を取り出す見通しが全く立っていないことだ」と強調し、「燃料デブリの取り出しが開始されても処分先、処分方法などは何も決まっていない」と批判。「廃炉の道のりが遠いことを国民や関係者に説明する必要がある。トリチウムの分離技術も現在進行形であり、新しい道を探るべきだ」と述べ、海洋放出の中止を重ねて迫りました。


汚染水の海洋放出めぐる閉会中審査 汚染水減らす対策こそ
                        しんぶん赤旗 2023年9月9日
参院連合審査 岩渕氏が主張
 日本共産党の岩渕友議員は8日の参院経済産業・農林水産両委員会の連合審査会で、東京電力福島第1原発の汚染水(アルプス処理水)海洋放出の即時中止を求め、汚染水を減らす対策にこそ取り組むべきだと主張しました。
 汚染水の海洋放出は漁業者との約束を反故(ほご)にしているうえに、いつまで放出が続くのか、放射性物質の総量がどのくらいになるのかもわかりません。岩渕氏は、溶け落ちた核燃料デブリに触れた汚染水にはアルプス処理後もトリチウム以外の放射性物質が残り、いまあるタンクの約7割はそれらの濃度が排出基準を上回っていると指摘。さらに、現時点で毎日約90トンの汚染水が生じているとして、今後放出する放射性物質の総量と放出期限をただしました
 東電の小早川智明社長は「規制基準を満足した上で放出作業がなされる」などと述べるだけで、放射性物質の総量は答えませんでした
 岩渕氏は、地下水が流れ込んでデブリに触れるのを防ぐ広域遮水壁の設置など、専門家や市民団体が提案する対策で汚染水を抜本的に減らす必要があると強調。また、汚染水を固めて長期保管するなど海洋放出以外の方法も提案されているとして、「汚染水を抜本的に減らす対策、海洋放出以外の方法を実現することにこそ、真剣に取り組むべきだ」と迫りました。
 西村康稔経産相は「いまも約束は果たし続けている」と答弁。岩渕氏は「約束を守るということは、ちゃんと対策をとるということだ」と主張し、海洋放出はいますぐ中止すべきだと訴えました。