2023年9月27日水曜日

課題は「処理途上水」 貯留タンクの7割が基準満たさず

 アルプス処理水の海洋放出について政府は「安全だ」と繰り返し説明していますが、西日本新聞は、貯留タンク千基分(133万トン)の水のうち7割は、安全基準を満たしていないことを明らかにしました。
 東電は安全性が確認されるまで2次処理(吸着処理?)を続けると説明していますが、その具体策はこれからということです吸着で取れない放射性物質はトリチウムだけではないので、どうするのかを対外的にも明らかにする必要があります。
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処理水放出から1カ月、課題は「処理途上水」 貯留タンクの7割が基準満たさず…浄化の流れを再確認
                            西日本新聞 2023/9/25
 東京電力福島第1原発の処理水放出が始まって24日で1カ月がたちました。この間、本紙「あなたの特命取材班」には「放射性物質の含まれる量など安全性を調べてほしい」といった投稿が相次ぎました。東電への取材や政府資料から、汚染水を浄化する流れをひもときます。(水山真人)

 あなとくちゃん:政府は「安全だ」と繰り返し説明しているね。
 記者第1原発では事故によって地下水などが原子炉建屋に流れ込み、溶け落ちた核燃料(デブリ)に触れて汚染水となって増え続けているんだ。この水を活性炭や吸着材を詰めた塔で何度もろ過し、放射性物質を取り除いたものが処理水。その工程は浄水器のようなイメージで、ALPS(多核種除去設備)処理と呼ばれるよ。
 東電の担当者は処理水について「成人の1日の水分摂取量を2・6リットルとして1年間飲み続けても健康に問題ないレベル(年間計1ミリシーベルト未満)」と言うよ。トリチウムという取り除けない放射性物質があるため、さらに海水で100倍以上に薄めて放出するんだ。

 Q:科学的根拠に基づくんだね。
 A:心配なこともあるよ。貯留タンク千基分(133万トン)の水のうち7割は、安全基準を満たしていないんだ。ALPSは2013年に導入したものの、不具合が続き、放射性物質の除去が不完全な「処理途上水」が生まれたんだ。
 Q:それは知らなかった。どうするの。
 A:安全性が確認されるまで2次処理を続ける想定だそう。担当者は取材に「ALPSの使用を検討しているが、開始時期など詳細は未定」と答えたよ。具体策はこれからなんだ。
 Q:大丈夫かな。
 A:本年度は安全基準を満たす3万1200トンを放出する。これは政府がトリチウムの関係で限度とする放出量の4分の1に当たるよ。
 Q:放出はいつ終わるの。
 A:建屋解体など廃炉を完了させる目標の51年までの見込み。汚染水は1日90トン(昨年度の平均値、25メートルプールの4分の1分)ずつ増えている。着実に計画を進めてほしいね。
 Q:安全性のチェック体制は。
 A:東電は放出前後に3回、放射性物質濃度などを計測してウェブ上で公表している。国際原子力機関(IAEA)や政府も監視を続けているよ。