2023年9月18日月曜日

柏崎刈羽原発再稼働の是非について県会議員にアンケート UX新潟TV

 UX新潟テレビが、この4月新たに選出された53人の新潟県議に対して柏崎刈羽原発の再稼働への賛否・それぞれのスタンス・知事の判断への考えなどをアンケート調査しました。
 アンケートは5月末にすべての県議に書面で配布し、53人中45人から回答を寄せられました。
「東京電力による柏崎刈羽原発6・7号機の再稼働を認めるか」に対しては、僅かに2人が「賛成」で、18人が「反対」、25人が「判断できない」と回答しました。
花角知事がどのような形で県民の信を問うべきか」については自民党「判断できない」という回答が目立ち未来にいがたやリベラル新潟では「県民投票」が最多でした。
東京電力信頼するか」については42人が「ない」と回答しました。
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【県議アンケート】
原発再稼働の是非は 議論の行方に注目 賛否 与野党のスタンスは
                       UX新潟テレビ21 2023/9/15
県が「福島原発事故に関する3つの検証」の総括報告書を公表したことで、今後、柏崎刈羽原発の再稼働の是非に関する議論が本格化します。カギを握るのが、4月の県議選で県内の各地域から選ばれた県議会議員です。再稼働への賛否・それぞれのスタンス・知事の判断への考えなどをアンケート調査しました。
【記者解説】原発再稼働の是非 議論のカギを握る県議 それぞれのスタンス

■アンケートは5月末にすべての県議に書面で配布し、53人中45人から回答を得られました。回答がなかったのはいずれも自民党の以下の8人です。楡井辰雄議長(上越市)・青柳正司副議長(新潟市北区)・高橋直揮県議(新潟市西区)・森田幸衛県議(胎内市)・大矢弘光県議(小千谷市)・栗原学県議(新潟市秋葉区)・深見太朗県議(長岡市三島郡)・沢野亮県議(五泉市東蒲原郡)
■原子力規制委員会による運転禁止命令が解除された場合、「東京電力による柏崎刈羽原発6・7号機の再稼働を認めるか」という設問に対して2人が「賛成」、18人が「反対」、25人が「判断できない」と回答しました。
■花角知事がどのような手法で県民の信を問うべきかという設問については自民党で選択肢以外の「判断できない」という回答が目立ちました。理由としては、「知事の発言なので知事自身が判断すべき」との回答が多数に。また未来にいがたやリベラル新潟では「県民投票」が最多でした。
■東京電力に信頼があるかどうかについては42人が「ない」と回答し、その多くが度重なるトラブルや不祥事を指摘しています。
■将来的に原発をゼロにすべきかどうかについては37人が「賛成」と回答しました。
【解 説】
自民党の多くが「判断できない」、県政野党に「反対」が多い傾向でした。反対の理由はさまざまですが、根底にテロ対策の不備や不祥事が相次ぐ東京電力への不信感があるようです。また、アンケートの補足として5人以上の会派の代表者にインタビューしました。

【インタビュー:自民党県連】
4月の統一地方選前、自民党県連の当時の県連幹事長、桜井甚一氏は「今の東電として柏崎刈羽原発を再稼働することは、県連としては受け入れがたい。東電じゃないところがやるなら再稼働を認めることを考える」と発言していました。
県連の方針として示された“東電以外の事業主体の関与が必要”とする発言。これに対し現在の幹事長・岩村県議の見解は。
■自民党県議団 岩村良一幹事長 
「統一地方選を控えて、原発の是非を問うワンイシュー選挙で何回も大変な目にあってきた新潟県で、桜井前幹事長がそういう強い表現を使ったのは当然のこと。党議でも了承されての発言なので方針は生きている」
しかし今回のアンケートで「東電以外の事業主体による再稼働に賛成」という選択肢を選んだ県議はいませんでした。岩村幹事長自身も「判断できない」を選択。理由については「3つの検証や県の技術委員会の議論を確認したうえで県の判断を参考にする」ことなどをあげています。
■自民党県議団 岩村良一幹事長 
「本当に東電に代わりうる事業者がいるかというと現実的ではないと聞いていたのでこういう判断になった/まったく現実的ではないことを答えとして返していいのかという問題もあるのでこういう回答になった」
【解 説】
岩村幹事長は東電以外の事業主体の関与が必要という県連の方針は生きていると発言しましたが、一方で「現実的ではない」とも答えていて矛盾しているように受け止めました。県議選を終えたことで後退したと受け止められても仕方ない発言だと考えます。自民党県議の傾向としては再稼働について、岩村幹事長と同じように「判断できない」と回答し、3つの検証や県の技術委員会を経たうえで「県の判断を参考にする」との理由が目立ちました。実はまったく同じ文章の回答がいくつかあり、岩村幹事長によると、アンケートにあたって県議団としての見解を県議に示したということで、県連の見解に沿った回答をした県議もある程度いたと思われます。
一方、こうした中で再稼働に「賛成」と回答した県議もいます。原発の地元、柏崎市刈羽郡選出の与口善之県議と上越市の斎京四郎県議です。理由について、与口県議は「運転禁止解除がなされるということは、適格性についても一定の評価がなされた」などと答えました。斎京県議は「カーボンニュートラルを主張するのであれば現状では稼働は必然的」と説明しています。
また、花角知事が述べている「県民に信を問う」手法について与口県議は「県議会に是非を問うなど他の手段が考えられる」
斎京県議は「エネルギー政策は国策なので国が判断すべき」との考えを示しました。
また、未来にいがたとリベラル新潟にもそれぞれ改めて考えを聞きました。

【インタビュー:未来にいがた】
未来にいがたの代表、大渕健県議(新潟市西区)は東京電力による柏崎刈羽原発の再稼働について、「反対」と回答しました。
■未来にいがた 大渕健代表 
「事業者の適格性にかかる保安規定を含むセキュリティーの問題も答えが出ていない。大雪による避難経路がふさがれてしまうのではないかという問題について議論している最中。課題が多く、再稼働の話になるかというと簡単にはそういう状況にならない」
知事が県民に信を問う手法については選択肢から選ばず、「知事の判断によること」と答えました。
■未来にいがた 大渕健代表 
「県民投票の実施もありだと思うが制度的にはおのずと県知事選挙に収斂されていくのではないかと思っている。原発が立地する地元としてはもう少し厳しい声をしっかりと国にあげて、安全確保、安全第一をしっかりリードしてほしい」

【インタビュー:リベラル新潟】
リベラル新潟の重川隆広代表(新潟市西蒲区)も再稼働について「反対」と回答しました。
■リベラル新潟 重川隆広代表 
「福島第一原発事故の惨状や原発の廃炉処理が進まない現状を見ると再稼働は認められない」
知事が県民に信を問う手法については「県民投票」を選択。
■リベラル新潟 重川隆広代表 
「花角知事の再稼働の判断に対し、信を問うわけなので判断に絞って県民投票を行うことが分かりやすい」
知事選や県議会への提案については否定的です。
■リベラル新潟 重川隆広代表 
「知事選は知事が行う県政全般に対して信を問うので妥当ではない。県議は全員が選挙において原発に対する考え方を示して
戦ったわけではないので県議会に諮るということは的を得ない」
【解 説】
リベラル新潟の県議は全員が柏崎刈羽原発の再稼働に反対し、使用済み核燃料の処分や避難計画の実効性の問題を理由にあげています。また、未来にいがたの上杉知之県議(新潟市中央区)は、知事の「信を問う」手法について「県民投票」を選択したうえで、県民の意思を先に確認した後に知事が判断するべきと答えています。花角知事は自身の判断について県民に信を問うと話しているので上杉県議は逆のプロセスを主張しています。
また、選択肢以外からの回答としては
東北電力の労組出身で、真政にいがたの渡辺和光代表(新潟市東区)は「住民説明会を実施し、柏崎市・刈羽村の議会、および県議会での判断と県内30市町村長からの意見聴取を踏まえて総合的に知事が判断する」と答えています。
柏崎刈羽原発をめぐっては現在規制委員会により「適格性」の再評価が行われ、現地調査に入るなど動きが出てきています。
これからの動きや状況によって県議の回答が変わることも考えられます。各地域の住民の代表である県議がどのような考えをもって、議会でどんな議論をしていくのか引き続き注目です。