電事連は、福島原発事故の損害賠償・除染費用について、東電を含む大手電力各社の負担額が当初計画を約8兆円上回ると試算したため、経産省は、東京電力への支援のあり方などについての議論を始めました。
2013年の段階で、賠償費用は5・4兆円、除染費用は2・5兆円と想定し、政府は東京電力に「9兆円を上限に貸し付ける」という枠組みを設けていますが、今後さらに8兆円が加算されるうえに、廃炉の費用について東電は「見通せない」としているので、将来はその負担増分も加算されることになります。
仮に全額を東電に出させるとしても東電はその分を電気料金に乗せるだけの話なので、今の段階で部分的にその額が明らかにされただけでもマシだと考えるしかありません。
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原発事故費用さらに8兆円以上、経産省 東電支援の議論開始
産経新聞 2016年10月5日
東京電力・福島第一原発事故による賠償や廃炉の費用が、当初の計画より、少なくとも8兆円以上上回るとみられることなどから、経済産業省は、東京電力への支援のあり方などについての議論を始めました。
福島第一原発事故の賠償や廃炉などの費用について、現在、政府は東京電力に「9兆円を上限に貸し付ける」という枠組みを設けています。しかし、電力会社でつくる業界団体は賠償と除染の費用だけで、さらに8兆円の負担が増えると試算しているほか、廃炉の費用について、東京電力は「見通せない」としていて国に新たな支援を求めています。
これを受け、経産省では経済界の代表らを集めた有識者会議を開き、東電の経営改革とともに国としての支援のあり方について議論を始めました。廃炉の費用がどこまで膨らむのか全く示されないなかで、制度上は電力会社が負担するはずの事故処理の費用を、国民に押しつける形になりかねないため今後、批判が強まりそうです。
原発事故の国負担 官房長官「 徹底的に検討」
NHK NEWS WEB 2016年10月5日
菅官房長官は午前の記者会見で、東京電力福島第一原子力発電所の事故の賠償や廃炉に関する国の費用負担について、受益者間の公平性などの観点も含めて経済産業省の審議会などで今後、徹底的な検討を行う考えを示しました。
この中で菅官房長官は、福島第一原子力発電所の事故の賠償や廃炉に関する国の費用負担について、「電力の自由化が始まり、競争が確実に進展していく。廃炉の費用も含めて、さまざまな課題への対応が必要になってくるのは事実だ」と述べました。
そのうえで、菅官房長官は「こうした課題に対応するために、経済産業省の審議会などにおいて賠償や廃炉費用の負担に限らず、事故の収束、廃炉の円滑化、受益者間の公平性などのさまざまな観点から徹底的に検討が行われる」と述べました。