2016年10月17日月曜日

17- 新潟県知事選 米山隆一氏が当選

 新潟県知事選挙は16日、投開票が行われ、公示の直前に立候補し共産党、自由党、社民党が推薦する医師の米山隆一氏が、自民党と公明党が推薦する前の長岡市長の森民夫氏らを6万票余り引き離して当選を果たしました。
 米山氏は、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に慎重な姿勢を示してきた、泉田裕彦知事の路線を継承するとし、またTPP協定から新潟の農業を守るなどと主張しました。
 
 投票結果は下記でした(上位二者のみ記述)。投票率は53%で前回を9・1ポイント上回りました。
▽米山隆一無所属・新)当選 52万8455票
▽森民夫  (無所属・新)    46万5044票
 この結果は自公政権の敗北であるとともに、民進党と連合の敗北でもあると言われています。
 強烈な反共主義者で知られる連合の神津会長も選挙応援で新潟入りしましたが、現実には民進党支持者の80%が米山氏に投票しています。
 
 NHK32か所の投票所で行った出口調査(回答者:2925人)によると、支持政党▽自民党が42%、▽民進党が15%で、▽支持政党を持たない、いわゆる無党派層は32%でした。
 米山氏は、民進党支持層の80%台、共産党支持層の90%台、無党派層の60%台から支持を得ました。
 それに対し森氏は、自民党支持層の70%余り、公明党支持層の70%台後半、無党派層の30%台前半の支持を得ました。
 また、柏崎刈羽原発の再稼働への賛否を聞いたところ、反対が73%、賛成が27%で、「反対」と答えた人のうち60%台が米山さん支持しています(以上16日版NHKニュースより)
 
 この結果化を受けて共産党の志位委員長は記者会見で、「新潟にとどまらず、日本全国で野党と市民の共闘の新たな発展を促し、日本の政治の前途に大きな希望をもたらす歴史的な勝利であり、日本の政治を大きく動かす勝利になるという強い予感がする。・・・ 野党と市民の共闘にとって、計り知れないプラスになる」と述べました。
 自由党の小沢代表は、「米山氏が勝利したことは、明らかに『原発反対』という民意の表れで、安倍政権と与党に対する地方の怒り、抗議が具体的な形になったものだ。・・・政権交代可能な野党共闘を積極的に進めるべく、引き続き全力で活動していきたい」とするコメントを出しました(同前)
 
 17日のNHK ニュースと田中龍作ジャーナル:「『再稼働許さない』 県民の意思が奇跡を起こした」を紹介します。
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新潟県知事選で初当選 米山氏「身が引き締まる思い」
NHK NEWS WEB 2016年10月17日 12時03分
東京電力が目指す柏崎刈羽原子力発電所の再稼働への対応などが争点になった、新潟県知事選挙で初当選した米山隆一氏は一夜明けた17日朝、自宅がある魚沼市で報道陣の取材に応じ、「重大な責任を負うことになり、身が引き締まる思いです」などと述べ、知事就任への決意を新たにしていました。
 
16日に投票が行われた新潟県知事選挙は、共産党、自由党、社民党が推薦する医師の米山隆一氏が52万8000票余りを獲得して、自民党と公明党が推薦する候補らを破って、初めての当選を果たしました。
 
当選から一夜明けた17日朝、米山氏は自宅がある魚沼市に戻り、報道陣の取材を受け愛犬のジローと散歩をしながら、「私の機嫌のよさがジローに伝わっているみたいです」と笑顔で話していました。
米山氏は「重大な責任を負うことになり、身が引き締まる思いです。原発の再稼働については、県民の命や暮らしが守れない現状において認められない。政府とは単なる対立にしてはならず、きちんとした合理的な議論が必要だと思っています」と述べ、知事就任への決意を新たにしていました。
 
経産相「新知事の考えよく伺いたい」
新潟県知事選挙で、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に慎重な姿勢を示している米山氏が当選したことについて、世耕経済産業大臣は17日、記者団に対し、災害時の避難計画の策定などに米山氏の意見も取り入れながら再稼働に理解を得たいという考えを示しました。
この中で世耕経済産業大臣は、新潟知事選の結果について、「新潟県民が選んだ結果であり、機会を見て新しい知事の考えを伺いながら、われわれの対応を考えていきたい」と述べました。
そのうえで、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働について、世耕大臣は「原子力規制委員会による新規制基準への対応や、避難計画をはじめとする災害が起こった時の対応については、泉田知事の意見を取り入れて進めている。また、東京電力の経営改革も重要で、新しい知事の考えもよく伺って進めたい」と述べ、災害時の避難計画の策定や東京電力の改革などに米山氏の意見も取り入れながら、原発の再稼働に理解を得ていきたいという考えを示しました。
 
首相「真摯に受け止めたい」
安倍総理大臣は、衆議院の特別委員会で、「与党が支援した候補が敗れたことは大変残念だ。しかし、選挙戦を通じて論戦を行い、選挙戦を展開した結果、新潟県民が米山候補を選択したことは、真摯(しんし)に受け止めたい」と述べました。
そのうえで、安倍総理大臣は「結果が示された以上、米山新知事、そして、新しい新潟県政に対して国として協力していくことは当然のことだ。協力をしながら新潟県のますますの発展に力を入れていきたい」と述べました。
 
官房長官「安全が最優先」
      (省  略)
 
泉田知事「県民の選択の結果」
新潟県知事選挙で原発の再稼働に慎重な姿勢を示してきた泉田知事の路線を継承すると訴えた米山氏が、初当選したことを受け、泉田知事は17日朝、報道陣の取材に対して「県民の皆様の選択の結果だと受け止めている。米山さんにはお祝いを申し上げるとともに、未来への責任を果たし、新潟の繁栄のために頑張ってもらいたい」と話していました。
また、どのような政策に期待するかについては、「情報を収集してから答えたい」と述べるにとどまりました。
 
経団連会長「冷静な判断を」
      (省  略)
 
 
【第2報~新潟県知事選】 「再稼働許さない」 県民の意思が奇跡を起こした
田中龍作ジャーナル 2016年10月16日   
(【写真説明】「マスコミの皆さんも驚いたでしょ。県民の民意は原発再稼働反対なんですよ」。森ゆうこ選対本部長はたっぷりと皮肉を込めてメディアに釘を刺した。=16日午後9時20分頃 米山選挙事務所・新潟市中央区 撮影:筆者=
 
 「まず候補が出たことが奇跡。市民の力が組織の力を超えて当選する事ができた、これも奇跡だと思います」。
 米山隆一候補に当選確実が出ると「新潟に新しいリーダーを誕生させる市民の会」の佐々木寛代表が喜びの弁を述べた。
 
 米山が立候補を決意したのが告示の6日前。民進党を離党に追い込まれたのが2日前だった。
 告示を翌日に控えた9月28日早朝。米山が民進党の支援を取り付けようと党本部を訪問するという情報が流れた。
 田中ほか「新潟日報」など2社が民進党本部前で来訪を待ち構えたが、午前9時を回っても米山の姿はなかった。「ツイッターで新潟5区公認内定取り消しの決定を知った」というのだ。
 米山は「(民進党本部に)伺うと恋々としているとの誤解を生みかねませんので予定を取り消させて頂きます」とツイッターに書き込んだ。
 米山は「一無所属候補として、支援してくださる仲間たちと全力で戦い抜く」と退路を断った。
 
(【写真説明】「民放が米山候補の当選確実を伝えると、支援者は総立ちとなって喜んだ。=16日午後9時02分頃 米山選挙事務所・新潟市中央区 撮影:筆者=
 
 これが効を奏した。民進カラーがなくなったことで、かえって再稼働反対の旗が立てやすくなったのだ。
 米山の選挙を支えた「市民の会」共同代表の磯貝潤子は、福島からの避難者だ。米山陣営のボランティアには原発避難者が少なからずいる。
 午後9時02分、米山に「当確」が出ると、選挙スタッフたちと抱き合って喜んだ。原発事故の悲惨さを知る彼女のような人物が選挙の中心にいたことで、切迫した危機感が新潟県民に伝わったのではないだろうか。
 原発避難者が新潟県に多いのは、泉田知事が「福島事故の検証無くして再稼働の議論はありえない」と強固な姿勢を貫いていたからだ。
 森民夫が勝っていたら原発避難者らは支援を断たれ、帰還を余儀なくされることになっていただろう。
 
 米山新知事の“生みの親”ともいうべき森ゆうこ選対本部長が力を込めた。
 「この戦いの意味、『原発再稼働をぜったい許さない』。その県民の意思が示されたと思います。まさに歴史に残る戦い。この新潟から原発に頼らない社会を作って行きましょう」。
~終わり~