2014年2月14日深夜、米西部ニューメキシコ州カールスバッド郊外にある放射性廃棄物の地層処分の試験施設で、爆発事故が起きました。現場は地下約660mにある貯蔵エリアで、放射性物質を入れたドラム缶が爆発したのでした。
同施設は核兵器の製造過程で出た放射性廃棄物を地下施設で試験的に管理するもので、1999年に操業を開始し、作業員は800人超でしたが、幸いに深夜であったため、立坑などを含め地下は無人の状態でした。
この度それに関する記事に接することができました。
それによると、事故によって地下エリアの35%が放射能で汚染され、換気設備の交換には2021年までを要します。事故処理には総額で20億ドル以上がかかり、この施設は閉鎖後1万年に亘って、隔離・管理される必要があるということです。
また現状で稼動し続けるには、年間約2億ドルの費用がかかるということです。内容は被曝防止対策が主な項目と思われますが、詳細は不明です。
(関係記事)
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核廃棄物施設、爆発事故の後始末には「2,000億円と1万年」が必要
(米ニューメキシコ州)
ワイアード 2016年10月12日
主に核兵器計画から生じた核廃棄物を地下660mで保存する米ニューメキシコ州の施設で、2014年に爆発事故が起きた。事故処理には総額20億ドル以上の費用がかかる可能性があり、施設は閉鎖後も1万年にわたって隔離・管理されるという。
『Los Angeles Times』(LA Times)紙の推定によると、ニューメキシコ州にある「核廃棄物隔離試験施設(WIPP)」で2014年に発生した爆発事故の処理関連費用は20億ドルを超える可能性があるという。
WIPPの建設は1980年代に、ニューメキシコ州カールズバッドの砂漠で始まった。その目的は、米国の核兵器計画から生じる超ウラン元素含有廃棄物を処理するためだった。
2014年にWIPPで起きた爆発事故は、プルトニウムとアメリシウムを含んだ放射性廃棄物のドラム缶を地下約660mで保存する施設の地下隔離区域で起きた。事故報告書によると、「それまで液体廃棄物の吸着と清掃に使っていた無機物のネコ砂の代わりに、有機物を原料とするネコ砂をドラム缶に保管した」せいで、保管してから数十日後に爆発が起こったと見られている。
「この有機物の砂が、ドラム缶の蓋を吹き飛ばす複合化学反応を引き起こし、放射性の白い泡を大量に空気中に吹き上げて、地下エリアの35パーセントを汚染した」と、『LA Times』は報じている。
幸い、爆発発生時、処分場のシャフト内に作業員はいなかった。換気システム内のHEPAフィルターのおかげで、地上にいた作業員たちは低線量の放射線に被ばくしただけだった。
連邦政府は当初、この爆発事故を軽視し、米エネルギー省(DoE)も除染は速やかに進行中であるという旨の声明を出していた。
連邦政府は、除染のための6億4,000万ドルという多額の追加料金を支払うことで、WIPPを運営するNuclear Waste Partnershipとの契約を更新した。だが現在、この数字はさらに大きくなる可能性がある。連邦当局はWIPPの汚染された換気システムには交換の必要があると述べているからだ。
換気システムの交換は2021年まで完了しない見込みだ。その間もWIPPは稼動を継続しなければならないが、予定されていた数での放射性廃棄物の新規受け入れは不可能と見られる(WIPPは、さらにドラム缶27万7,000本分の放射性廃棄物を全米各地から受け入れることになっていた)。
報道によると、WIPPが現状で稼動し続けるには、年間約2億ドルの費用がかかるという。その一方で連邦政府は、現在、ワシントン州やアイダホ州など全米各地の施設に保管されている、WIPPに送られるはずだった放射性廃棄物の貯蔵にかかる費用も負担しなければならない。
WIPPに輸送されることになっていた全米各地の放射性廃棄物の貯蔵にかかる不定の費用を含むWIPPの除染関連費用は、1979年にペンシルヴェニア州で起きたスリーマイル島原発事故のそれにも比肩する、米国の歴史で最も費用のかかる放射性廃棄物除染の取り組みに数えられることになる可能性がある。スリーマイル島原発事故後の除染には、約10億ドルの費用がかかっている。