19日、経産省が有識者会合の作業部会を開き、規制変更によって廃炉が決まった原発の廃炉費用を電気料金に上乗せする方針を固めました。
東電福島原発の事故処理、廃炉、最終処分場建設、核燃サイクルに国民は既に電気料金や税金で14兆円を負担していますが、今後さらに16兆円以上の負担を迫られる可能性があるということです。
核のごみの最終処分場は場所がまったく決まっていませんが、その建設費は4兆円近くと見られているので具体化すれば国民の負担はさらに増えることになります。
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原発費用、総額30兆円に 国民負担増、議論本格化
中日新聞 2016年10月20日
原発政策を進めるには原発建設費、地元補助金を除き、関連処理費用として東京電力福島第一原発の事故処理、廃炉、最終処分場建設、核燃サイクルに最低でも約三十兆円かかることが本紙の調べで分かった。十九日には経済産業省が有識者会合の作業部会を開き、規制変更によって廃炉が決まった原発の廃炉費用を電気料金に上乗せする方針を固めた。高速増殖原型炉「もんじゅ」の行き詰まりなど原発政策の矛盾が拡大する中、政府が国民負担を増やそうとする論議が本格化する。すでに国民は電気料金や税金で十四兆円を負担しており、今後、さらに十六兆円以上の負担を迫られる可能性がある。
東京電力福島第一原発の処理に必要なお金は、二〇一三年時点の見積もりを超過。二兆五千億円を見込んでいた除染費が来年度予算の概算要求では三兆三千億円、被災者への賠償金がすでに六兆三千億円にのぼっている。廃炉費用の見込み額も二兆円となっており、総額で十二兆円以上かかりそう。東電は自力で払うのは困難とみて政府に支援を求めた。
東電を除く原発の廃炉費用問題では福島第一原発の事故後、原発の規制基準が変わったため関西電力美浜原発1号機など六基が廃炉を決定。予定より早い廃炉決定などで計三百二十八億円の積み立て不足(一三年三月末時点)が生じている。経産省は原発による電力を販売していない新電力の契約者も含めてすべての利用者の電気料金に上乗せすることで回収する意向だ。
使用済み核燃料をリサイクルする計画の柱だった高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃炉方針に伴い、経産省は代わりの高速炉を開発する。政府はすでに核燃サイクルでは十一兆円(最終処分場を除く)を費やし、電気代や税金で国民が負担している。
核のごみの最終処分場は場所がまったく決まっていないが、政府の試算では最低でも三兆七千億円がかかる。このうち積み立てられているのは国民が支払った電気代をもとにした一兆円だけ。政府は年末にかけ候補地選定作業を急ぐ予定で具体化すればさらに国民負担が増える可能性がある。