2016年10月27日木曜日

27- 東電の原子力部門の子会社化を 経産省が提案

 東電の原発事業(除く 福島原発)を子会社化し、ゆくゆくは他電力でもお荷物になっている原発部門とさらに国まで加えて合弁会社化する構想があるということです。
 分社化などと言われてもピンときませんが、「院長の独り言」氏が分かりやすく解説してくれました。といっても十分に納得するためにはやはり自分なりに勉強する必要がありますが・・・
 
 いずれ各電力の原子力部門一つの組織にまとめられ半官半民の組織になれば、電力コストその他は白日の下にさらされるので原発を稼働し続けてることなど早晩できなくなるのは明らかであると「院長」は診立てています。
 一刻も早くそうなって欲しいものです。
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東電の原子力部門の子会社化 ― 廃炉を担う人材がいなくなる
院長の独り言 2016年10月25日
・青天井でふくれあがる原発廃炉費用で東電原子力がつぶれるのを防ぐために、経産省が東電の現職事業切り離しを提案した。
・福島第一の廃炉には年間数千億がかかると試算されているが、そもそも廃炉にする技術からしてこの世に存在していないのであるから、いくらカネをかけてもできないというのが正直なところ(チェルノブイリを見れば、明らか)
・東電の原発部門を子会社化し、他電力の原発部門と、さらに国まで加えて合弁会社化するしかないだろうが、それは原発の死であり、廃炉作業の空中分解につながる。
 
福島第1の廃炉費用、年数千億円増も 経産相「年内めどに提示」
ロイター 2016年 10月 25日 14:23 JST
 10月25日、経済産業省は、東京電力福島第1原発の廃炉費用について、燃料デブリ取り出し作業により増加する見込みで、年間数千億円程度の資金確保が必要になる可能性があるとの見方を示した。写真は1号機・2号号原子炉前で2月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)
 
[東京 25日 ロイター] - 経済産業省は25日、東京電力福島第1原発の廃炉費用について、燃料デブリ取り出し作業により増加する見込みで、年間数千億円程度の資金確保が必要になる可能性があるとの見方を示した。同日朝に開催された「東京電力改革・1F問題委員会」(東電委員会)の資料で明らかにした。
 
 毎年数千億のカネをかければ、廃炉できるのなら、それはむしろ素晴らしいことだろう。ところが、フクシマの廃炉は地球上で経験のないものであり、そもそも技術自体がこの世に現時点で存在していない。放射性廃棄物は、結局のところ放置するしかないというのが、米国を元とする核先進国が全員たどり着いた結論である。米国がマンハッタン計画、およびその後冷戦の時代に莫大な資金を投じながら、結局なんの技術開発もできなかったのに、なぜ日本の民間企業が開発できるというのか、そのあまりのお花畑ぶりに(5年以上たつのに)正直驚きを禁じ得ない。
 そして、この数千億という費用は今後も永遠に費やすしかない費用であることから、さすがの東京電力でも持ちこたえられないため、ついに原子力部門の分社化まで踏み込んだ。
東電原発事業の子会社化を提案 経産省、福島関連を除き
 朝日新聞2016年10月25日12時00分 
 図 省略
 経済産業省は25日、東京電力ホールディングス(HD)の原子力事業のうち、事故を起こした福島第一原発関連以外を分社し、子会社化することを学者や経営者による有識者会議に提案した。新潟県の柏崎刈羽原発などの原発事業を切り離すことで、ほかの大手電力などと連携しやすくする狙いがある。
 この日、東電の経営改革の方向性を議論する「東京電力改革・1F(福島第一原発)問題委員会」の第2回会合で提案した。首都圏の顧客をかかえる送配電などの優良事業も含め、他社との協業や事業再編を通じ、東電の経営改善につなげたい考えだ。
 
 簡単に言うと、原子力部門を電力から切り離すと言うことである。そもそも東京電力の現在の形態
東京電力HD  廃炉、新潟原発、水力
火力子会社
小売り会社
配電
を見ればわかるように、原子力だけを実質的には切り離した形である。優秀な人材は、すでに火力、配電に配置して、原子力部門とは交流を断っているわけである。これは、近い将来の原発部門の切り離しを視野に入れているであろうことは、既に指摘している(というよりも、だれにでもわかる)。それで、東電の原子力部門(新潟)を分離して、他電力でもお荷物になっている原子力部門を一つにまとめてしまえという議論に当然のごとくなっているわけだ。
 
 当然受け皿がなければならず、おそらくそれは「原電」と各電力が出資金をだし、さらに30%~50%は国が資金を出すことが想像される。つまり、原子力が名実ともに役人体制に組み込まれるわけで(おそらく、このポストを経産省が虎視眈々と狙っていると思われる)、電力、役所にとっては大変都合のいいのである。電力は、自分の中に鬼っ子(コストは高く、危険で、庶民の反対がつよい)を抱えているよりは、持参金付きでさっさと誰かに押しつけたいのは、もはや誰が見ても明らかである。半官半民とはいえ、まがりなりにも、稼働させようと頑張ってきた電力が手を引いてしまえば、あとは役所仕事。原発を稼働し続けてることなど、早晩できなくなるのは明らかである。原発が一堂に会してしまえば、電力コストその他は白日の下にさらされ、いよいよ塗り固めたウソがバレてしまう。さらには、電力が総括原価方式の元、湯水のごとく注ぎ込んできた広告費も消失してしまうのだから、それこそ「すっぴん」で、その攻撃に耐えねばならなくなる。
 
 そうはいっても、まだ原子力発電部門に残れた人物はいい。あわれなのは、廃炉担当者となってしまった職員である。東京電力持ち株会社とは言っても、実質的には廃炉のみを担当する職務しか残っておらず、他部門に移動することなど不可能になってしまうのである。このような状況で、職員の士気が上がるだろうか。まともな新入社員が入ってくるだろうか。考えるまでもないことである。
 
 あの東京電力(世界最大の民間電力会社)がたった一度の原発事故で、なすすべもなくここまで追い込まれるのを見て、背筋を凍らせない原子力会社はいないだろう。明日は、我が身である。
 原発即時ゼロ。
 最悪の事態で、最良の方法といえば、これしかない。