新潟県知事選はいま全国から注目されています。このところ日刊ゲンダイは頻繁に取り上げていますし、しんぶん赤旗はほぼ連日取り上げています。
また、首都圏反原発連合(反原連)は9月30日付で、「鹿児島に続き、新潟県に脱原発派の新知事を」とする声明を発表しました。
日刊ゲンダイによると、自民党の支持率調査では先々週末は森氏が米山氏を7ポイントリードしていましたが、告示後の先週末には0・3ポイントまで差が詰まっていたということです。自民党本部がいま大慌てしているのも無理はありません。
自民党の選挙情勢調査はかなり正確なので反原発勢力にとっては大変朗報ですが、自民党の底力は決してあなどれません。4月の衆院北海道5区補選でも、野党共闘候補の池田真紀氏に追い上げられていることを把握した自民党は、その後党を挙げて全力投球した結果、僅かな差でかわしました。
しんぶん赤旗は、米山氏が泉田裕彦知事の路線を継承することを丁寧に説明して、新潟県知事選が全国の注目を集めていること、柏崎刈羽原発の地元100社を調査した結果では同原発が動かなくても地域経済は別に疲弊しないこと、そして同原発には特に立地地盤に深刻な問題があることなどを報じ、脱原発が重要で原発をこのまま止めても問題はないことを報じました。
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新潟県知事選 “脱原発”米山候補が猛烈な追い上げで大接戦
日刊ゲンダイ 2016年10月5日
泉田路線を受け継ぐ脱原発候補VS原子力ムラの戦いとなっている新潟県知事選(16日投開票)。共産、社民、生活と脱原発派の市民が支援する米山隆一氏(49)は告示ギリギリの出馬表明だったこともあり、自公が推薦する前長岡市長の森民夫氏(67)が優勢とみられてきた。しかし、ここへきて風雲急を告げている。米山氏が猛烈な追い上げを見せ、大接戦になってきたのだ。
「森陣営は『楽勝』ムードで緩みっぱなし。自民党の調査では、先々週末は森さんが7ポイントのリードでした。ところが、告示後の先週末はナント、0・3ポイントまで差が詰まってきているというのです」(地元関係者)
これに自民党本部は大慌て。地元に任せていてはマズいと、党本部が乗り出し、コメ農家対策など毎度の姑息な “アメ” の準備を始めているという。
なりふり構わぬ慌てっぷりは、野党共闘に砂をかけ、自公と一緒に森氏を支持した連合新潟も同様で、後方支援のはずが、会長自ら応援演説でマイクを握っている。
一方、米山陣営は森の背中が見えてきたと勢いづく。これで米山氏勝利なら、自主投票の蓮舫民進党が恥をかくことになる。
新潟知事選 米山候補に熱い期待
原発再稼働反対のうねり 自公推薦候補は争点隠し
しんぶん赤旗 2016年10月6日
新潟県知事選(16日投開票)は、東京電力柏崎刈羽原発(柏崎市、刈羽村)の再稼働が大きな争点となっています。米山隆一候補(49)=共産、生活、社民推薦=に、県民から「再稼働の流れを止めてほしい」と期待が集まっています。(唐沢俊治)
「福島原発事故の検証なしに、再稼働の議論はできない」。米山候補は5日、新潟市東区の露天市場を訪れた人たちを前に力を込めました。泉田裕彦知事の路線を継承するとして、
(1) 事故原因
(2) 健康と生活への影響
(3) 安全な避難方法
この三つが検証されない限り、原発再稼働の議論は始められないと訴えています。
全国的注目集める
一方で、前長岡市長の森民夫候補(67)=自民、公明推薦=は、原発には「県民の安全の確保を最優先課題として対応」と主張。しかし、推薦する自民党は2014年の県連大会で、原発の再稼働を求めることを決議しました。
1300人が参加した「なくそテ原発2016柏崎大集会」(9月3日開催)の実行委員長・植木史将さん(40)=つなげよう脱原発の輪 上越の会代表=は、「米山さんは、私たちの期待に応え、県民の安全を守るために国と電力会社にはっきりとものを言ってくれる人です。新しく知事になったら、原発を再稼働させず廃炉にしてほしい。自民党が推す知事では再稼働に進んでしまう」と言います。
市民団体が行った候補者への公開質問で、米山候補は「エネルギー政策上、原発は必要でない」「柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働に同意できない」と、原発問題に関する15項目すべてに回答。しかし、森候補は、再稼働への態度を明らかにせず、「県民の安全と安心の確保を最優先」と抽象的に返答するだけで、項目ごとの回答を避けました。森候補の姿勢に対し、「争点隠しだ」と県民から批判の声が上がっています。
森候補の足元の長岡市で、知事選と同時にたたかわれる市長選に立候補する前副市長の、いそだ達伸氏=日本共産党は自主的支援=は、原発をめぐり「市民の不安が解消されない限り、再稼働すべきではない」と表明し、森候補との政策の違いを明らかにしています。
全国からの注目も高く、首都圏反原発連合(反原連)は、「鹿児島に続き、新潟県に脱原発派の新知事を」と、米山候補を応援する声明を発表しました。
地域疲弊は「神話」
原発の推進派はこれまで、運転停止が地域経済に影響するとして再稼働を求めていましたが、その論拠が崩れ始めています。
地元紙の「新潟日報」(昨年12月13日付)は、柏崎刈羽原発の地元100社を調査し、3分の2の企業が売り上げの減少は「ない」と回答し、原発関連の仕事を定期的に受注したことがあるのは1割余りと報じました。同紙は、「長期停止で地域経済が疲弊している」という説について「具体的な根拠に基づかない“神話”」と指摘しています。
柏崎民主商工会の太刀川孝和会長(73)は、「原発による地域経済への影響は、一部に限られていました。原発事故の原因が解明されていない中での再稼働は、私たちの生活を危険にさらすだけで、絶対にやめるべきだ」と言います。
問題山積みの原発
柏崎市と刈羽村にまたがる柏崎刈羽原発は、事故を起こした福島第1原発と同じ「沸騰水型」。1~7号機の総出力は821万2000キロワット(各号機当たり)で、一つの原子力発電所としては世界最大です。6、7号機は出力135・6万キロワットで日本最大級。現在、原子力規制委員会で6、7号機の再稼働のため新規制基準の適合性審査がされていますが、審査の論点は絞られ、最終盤を迎えています。
次の知事が再稼働の判断をすることになり、その対応が各地の再稼働に影響する可能性があります。しかし、問題は山積みです。
柏崎刈羽原発は砂地に建設され、構内での地下水くみ上げ量が他の原発に比べて、格段に多いことが分かっています。
福島第1原発では現在も、1日当たり数百トンの放射能汚染水が発生し、事故の収束を阻んでいます。汚染水は、建屋に流入する地下水と、護岸の井戸からくみ上げた地下水に由来します。
隠蔽体質変わらず
しかし、構内に大量に流れ込む地下水量や、くみ上げるための井戸の耐震性などは、規制委の審査対象外だと問題点を指摘するのは、立石雅昭新潟大学名誉教授です。新潟県の「原子力発電所の安全管理に関する技術委員会」の委員を務めています。
立石氏は言います。「人の生命にかかわる重要な問題で、東電の隠蔽(いんぺい)体質が改まらないまま、再稼働の議論に入ることなどあり得ません。県民の半数は、柏崎刈羽原発の再稼働に反対しています。泉田路線を継承する米山さんに、私たち県民の思いをくみ取ってもらい、ぜひ当選してほしい」