2021年10月31日日曜日

原発事故避難者、埼玉・加須で聞いた「一票」への思い

 原発事故福島県内から避難し加須市で避難生活を送る住民は約400人、有権者は約320人ということです。福島県外で唯一開設された埼玉県内の期日前投票所で避難者はどんな思いで一票を投じるのか河北新報がきました
 農業を営む男性(84)は「10年たって古里への思いは切れてしまったよ」と胸の内を明かし「一緒に暮らす子どもや孫が安心して暮らせる社会になってほしい」との思いを口にしました。無職の男性(75は、「不満ばかり言ってられない「今の状況がいいとは思わない。何かを変えてくれそうな人に一票を入れた」と語りました
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原発事故避難者、埼玉・加須で聞いた「一票」への思い
                         河北新報 2021年10月27日
 東京電力福島第1原発事故に伴い福島県内から県外に避難している人は2万7964人(9月9日現在)いる。原発事故から約10年半後の衆院選。県外避難者はどんな思いで一票を投じるのか。福島県外で唯一開設された埼玉県内の期日前投票所で聞いた。

思いは「切れた」
 埼玉県加須市にある市騎西総合支所。公示後、初めての週末となった23日、3階の会議室に福島県双葉町選管の期日前投票所が開設された。設置は25日までの3日間だった。
 双葉町は原発事故後の2年3カ月の間、加須市の旧騎西高に役場機能を置いた。町役場がいわき市に移った後も、総合支所2階に職員が常駐する埼玉支所がある。市内で避難生活を送る住民は約400人、有権者は約320人という。
 23日午前9時に投票が始まると間もなく、1組の夫婦が投票に訪れた。農業を営む男性(84)は「10年たって古里への思いは切れてしまったよ」と胸の内を明かした。「一緒に暮らす子どもや孫が安心して暮らせる社会になってほしい」との思いを込めた。
 程なくして、無職の男性(75)が階段を上ってきた。「不満ばかり言ってられない。自分の意思は示さないとな」。古里の家は解体したが、土地が残る。「どうしたらいいのか。税金だけ納めてんだ」と漏らし、「今の状況がいいとは思わない。何かを変えてくれそうな人」に一票を入れた

復興論戦少なく
 選挙戦で被災地の復興が論じられる場面は少ない。選挙直前に誕生した新内閣は復興相を初めて兼務にした。書道教室を営む男性(78)は「とんでもないことだ。10年たって一区切りということなのか」と国政での風化を嘆いた。
 町内の帰還困難区域のうち、特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示解除は来年6月以降になる見通し。復興拠点から外れた帰還困難区域については、政府が8月末、「希望者の2020年代の帰還」の方針を示したばかりだ。
 「双葉の復興を進めてほしい」と語ったのは自営業の男性(73)だ。息子は自分の仕事を継ぎ、町内で商いを始めた。「浪江や大熊と比べても遅れている」。住民が戻り、若い世代に託せる古里の将来を願った。
 複雑でさまざまな思いが交差した投票所。23日に票を投じたのは34人だった。