2021年10月10日日曜日

原発事故で避難 古里への思い込め「博物館」が関西で巡回展

 福島県浪江町の旧津島小の地域学習成果展「10年間ふるさとなみえ博物館」が初の巡回展として大阪府で開幕、来年6月まで兵庫県や滋賀県を含め各地を巡ります。

 同博物展は昨年度で閉校した旧津島小を会場に、今年2月から3月末に開かれ町の名物や名所を描いた「なみえっこカルタ」、窯元に習って作った大堀相馬焼、二本松家具の技法を使った看板など約240点を紹介しました。
 これを観覧し感銘を受けたNPO大阪自然史センター職員の西沢真樹子さんが各地の博物館職員らに声を掛け、巡回展に結び付きました。
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原発事故で避難 古里への思い込め「博物館」 授業の成果まとめ関西で巡回展
                            福島民報 2021/10/09
 古里浪江を思う児童の心が関西地方へ伝わる。福島県浪江町の旧津島小の地域学習成果展「10年間ふるさとなみえ博物館」が初の巡回展として大阪府で開幕、来年6月まで兵庫県や滋賀県を含め各地を巡る。東日本大震災の津波や東京電力福島第一原発事故による避難の長期化に負けず、故郷の文化を見つめた成果に改めて光が当たる。関西地方で災害の風化が懸念される中、復興への歩みも伝える。
 「10年間ふるさとなみえ博物館」は、原発事故後に二本松市に移転し昨年度で閉校した旧津島小を会場に、今年2月から3月末に開かれた。原発事故後に始めた浪江町と二本松市の伝統文化を学ぶ授業「ふるさとなみえ科」について、「館長」となった同校最後の卒業生・須藤嘉人さん(13)=福島市=が取り組みをまとめた。町の名物や名所を描いた「なみえっこカルタ」、窯元に習って作った大堀相馬焼、二本松家具の技法を使った看板など約240点を紹介し、地域学習の集大成とした。
 観覧し感銘を受けた大阪市にあるNPO大阪自然史センター職員の西沢真樹子さん(45)=京都市=が各地の博物館職員らに声を掛け、巡回展に結び付いた。西沢さんは「関西では震災の記憶が薄れている。未曽有の災害と向き合いながら、故郷を深く見つめる姿を多くの人々に見てもらいたい」と願う。
 巡回展は大阪府高槻市立自然博物館で9月18日に始まり、10月17日まで開かれている。二本松市で展示された内約160点が並ぶ。
 同館によると、地元住民の他、震災後に福島県から避難した人も訪れたという。主任学芸員の高田みちよさん(48)は「福島の小学校に焦点を当てた展示はめったに無い。被災地の現状や地域について学ぶ大切さを知ることができる貴重な機会になるはずだ」と話し、巡回展の意義を強調した。今後の会場と日程は次の通り。
 ▽大津市・龍谷大瀬田学舎=25日~11月6日▽大阪府大東市・歴史民俗資料館=11月22日~12月5日▽滋賀県東近江市・平和祈念館=2022年1月12日~2月13日、3月10日~4月10日▽大阪府岸和田市・きしわだ自然資料館=3月1日~3月27日▽兵庫県・伊丹市昆虫館=5月25日~6月27日