2021年10月20日水曜日

合意形成や近隣諸国の理解を求める上で問題 処理水海洋放出を専門家が議論

 福島県生活協同組合連合会は19日、福島第1原発の放射性トリチウムを含む処理水を海洋放出する政府方針をテーマとした県生協大会を福島市で開きました。3人の専門家が登壇し、オンラインでも配信されました。

 関谷・東大准教授は「海洋放出の問題を科学の問題に矮小化し、合意形成や近隣諸国の理解など社会的なプロセスの問題に目を配ってこなかったことにつまずきがある」と問題提起しました。
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科学的事実伝える取り組みが重要 処理水海洋放出を専門家議論
                        福島民友 2021年10月20日
 県生活協同組合連合会は19日、東京電力福島第1原発の放射性トリチウムを含む処理水を海洋放出する政府方針をテーマとした県生協大会を福島市で開いた。3人の専門家が登壇し、トリチウムの特性など科学的な事実を広く伝えることの重要性や、政府のこれまでの取り組みの問題点について語った。
 大会の様子はオンラインでも配信された。政府が方針を決める判断基準の一つとなった政府の小委員会のメンバーを務めた小山良太福島大食農学類教授(農業経済学)と開沼博東大大学院情報学環准教授(社会学)、関谷直也東大大学院情報学環付属総合防災情報研究センター准教授(災害情報論)が議論を行った。
 小山教授は「汚染水と処理水、トリチウム水について、その違いを正確に理解している人がどれだけいるか。科学的事実を伝えていく必要がある」と述べた。開沼准教授は「斬新で画期的な風評対策はないが、科学的事実がどれくらい共有されているか常に確認しながら、情報発信方法を改善していく取り組みが必要だ」と語った。
 関谷准教授は「海洋放出の問題を科学の問題に矮小(わいしょう)化し、合意形成や近隣諸国の理解など社会的なプロセスの問題に目を配ってこなかったことにつまずきがある」と問題提起した。