2021年10月2日土曜日

いわき発着の被災地周遊バス 実証運行を開始

 福島県いわき市のいわき観光まちづくりビューローは2日、市内に宿泊する観光客が対象で、無料で市内や福島県双葉郡にある東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の伝承施設などを巡る周遊バス運行の実証事業を始めます。原発事故や新型コロナウイルス禍の影響で低迷する観光需要の回復の足掛かりにしたい考えです

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「つなぐ号」「めぐる号」で被災地周遊 いわき発着のバス運行
                         河北新報 2021年10月02日
 福島県いわき市のいわき観光まちづくりビューローは2日、市内や福島県双葉郡にある東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の伝承施設などを巡る周遊バス運行の実証事業を始める。原発事故や新型コロナウイルス禍の影響で低迷する観光需要の回復の足掛かりにしたい考えだ。
 周遊バスは市内に宿泊する観光客が対象で、無料。市内と双葉郡にある震災関連施設などをコースとする「みらいTSUNAGU(つなぐ)号」と、市内の観光名所を回る「いわきMEGURU(めぐる)号」を運行する。
 いずれも朝に市内を出発し、夕方に戻る。地元で活動する震災や原発事故の語り部や、街づくり団体の市民らが同乗し、案内する。立ち寄る施設では利用料金の割引などの特典が受けられる。
 10月はつなぐ号が毎週日曜、めぐる号が毎週土、日曜の運行を予定。11月以降は利用客へのアンケートを基に、行程の立ち寄り施設などを入れ替えながら、来年1月ごろまで運行を続け、モデルコースの確立を目指す。
 市によると、2020年の市内の観光客入り込み数は約429万人。新型コロナの影響で19年比では約43%減となった。震災と原発事故前の10年と比べると約60%減少し、観光業の低迷が長引いている。
 まちづくりビューローは周遊バスの運行を通して震災と原発事故の風化防止や風評の払拭(ふっしょく)と共に、観光客の域内滞在時間の長期化、新型コロナ収束後の観光産業を担う人材の発掘・育成も狙う。バス事業者と連携して本格運行を検討する。
 1日はバスを実際に走らせて関係者の事前研修が行われた。まちづくりビューローの担当者は「利用客の反応を見極めながらモデルコースを確立し、集客につなげたい」と話す。