福島原発3号機で19日から、水中を移動するロボットを使った格納容器内部の本格調査が始まりました。当面19日と21日にロボットによる調査を行う予定です。
3号機で本格的な調査が行われるのは初めてで、廃炉に向け、「燃料デブリ」を取り出す方針を決める手がかりを得られるか注目されます。
19日の調査結果(概要)も併せて紹介します。
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福島第一原発3号機 ロボットで本格調査開始
NHK NEWS WEB 2017年7月19日
東京電力福島第一原子力発電所3号機で19日から、水中を移動するロボットを使った格納容器内部の本格調査が始まります。原発事故で核燃料が溶け落ちた3つの原子炉のうち、3号機で本格的な調査が行われるのは初めてで、廃炉に向け、「燃料デブリ」を取り出す方針を決める手がかりを得られるか注目されます。
福島第一原発3号機では、原発事故で核燃料が原子炉を覆う格納容器の底に溶け落ちて構造物と混じり合った「燃料デブリ」となり、冷却のために注がれた水深6メートルの水中に沈んでいると見られています。
国と東京電力は新たに開発した全長30センチ、胴体の直径が13センチの魚のマンボウに見立てた「マンボウ型」ロボットを投入し、19日と21日、格納容器の内部を調べます。遠隔操作でスクリューを回して水中を移動し、据え付けられたカメラでデブリの状態を把握する仕組みですが、長さ数十メートルのケーブルが内部の構造物にひっかからないか慎重な操作が求められます。
原発事故で核燃料が溶け落ちた3つの原子炉のうち、3号機で本格的な調査が行われるのは初めてで、廃炉に向け、デブリを取り出す方針を決める手がかりを得られるか注目されます。福島第一原発ではすでに1号機と2号機でロボットによる格納容器内部の調査が行われましたが、デブリの位置や量などの具体的なデータは得られていません。
福島第一原発3号機 原子炉真下の足場なくなる
NHK NEWS WEB 2017年7月19日
東京電力福島第一原子力発電所3号機で19日、水中を移動するロボットを使った格納容器内部の調査が始まり、原子炉の真下にある作業用の金属製の足場がなくなっていることがわかりました。東京電力は溶け落ちた核燃料によって脱落したものと見て、さらに詳しく調査することにしています。
福島第一原発3号機では、原発事故で核燃料が原子炉を覆う格納容器の底に溶け落ちて構造物と混じり合った「燃料デブリ」となり、冷却のために注がれた水深6メートルの水中に沈んでいると見られています。
このため国と東京電力は19日、新たに開発した全長30センチ、胴体の直径が13センチの魚のマンボウに見立てた調査ロボットを格納容器に投入し、内部の状況を撮影しました。
映像では核燃料が入っていた原子炉の真下にあるはずのグレーチングと呼ばれる格子状の金属でできた作業用の足場が、調査した範囲ではなくなっていることがわかりました。事故で原子炉から溶け落ちてきた高温の核燃料によって脱落したと見られています。
一方、19日の調査では「燃料デブリ」は確認されませんでした。
東京電力の担当者は記者会見で「2号機よりも明らかに損傷が激しかったが、デブリがあると見られる格納容器の底の部分にロボットが進むルートがあることが確認できた」などと述べました。
3号機はこれまでの解析で、核燃料の大部分が格納容器の底まで溶け落ちていると推定されていましたが、実際に破損した内部の詳しい状況が明らかになるのは初めてです。
東京電力は21日、ロボットを格納容器の底の部分に進めてさらに詳しく調査することにしています。
これまでの格納容器内部調査
福島第一原発では1号機から3号機で溶け落ちた核燃料が原子炉の底を貫通し、その外側の格納容器の底で、構造物と混じり合った「燃料デブリ」と呼ばれる塊になっていると見られています。
ことしに入ってから2号機、1号機の順にロボットなどを投入し、本格的な調査が行われましたが、事故で破損した内部の映像を撮影したり、放射線量を計測したりと一定の成果はあったものの、デブリの状態は把握できていません。
1月に始まった2号機の調査では棒状の装置の先端に取り付けたカメラを格納容器の中心部、原子炉の真下に投入したところ、事故前には無かった堆積物や作業用の足場の一部が溶けたように脱落している様子を捉えました。また1時間当たり最大で数百シーベルトという極めて高い放射線量を計測しました。
しかし相次いで投入された2台の自走式のロボットは放射線の影響でカメラに不具合が生じたり、移動するルートの上で見つかった堆積物に行く手を阻まれたりして、原子炉の底には到達できず、デブリは確認されませんでした。
続いて3月に行われた1号機の調査ではロボットがカメラと線量計を備えた装置を釣り糸を垂らすように冷却水に沈め、底に広がっていると見られるデブリのデータを集める計画でした。このときは水中の10か所で格納容器の底からの高さを変えて放射線量を測定しました。しかし複雑に入り組んだ配管などの構造物が障害となり、装置を格納容器の底まで降ろすことができず、調査は限定的となりました。