福島県内の除染で出た土壌の仮置き場から中間貯蔵施設への輸送は31日、搬入完了の期限を迎えました。一部市町村では仮置き場での保管が続いていますが、環境省は「計画通り進んでいるのは間違いない」との見解を示しました。
問題は県外最終処分に向けた検討のさらなる加速で、これは政府はリーダーシップを取って進めるありません。どうなるのでしょうか。
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環境省、「計画通り」と見解 福島県除染土の中間貯蔵施設搬入
福島民友 2022/4/1
県内の除染で出た土壌の仮置き場から中間貯蔵施設(大熊町、双葉町)への輸送を巡り、31日、環境省が「2021年度末までのおおむねの搬入完了を目指す」とした期限を迎えた。一部市町村では仮置き場での保管が続いているが、同省は「計画通り進んでいるのは間違いない」との見解を示した。本県の環境回復は一つの節目を迎え、専門家は県外最終処分に向けた検討のさらなる加速の必要性を指摘する。
【グラフ】中間貯蔵施設への搬入量の推移
約1400万立方メートル(帰還困難区域を除く)ある除去土壌の中間貯蔵施設への搬入は2015年3月13日に大熊町から始まった。単年度ごとの移送量を見ると、19年度の約405万9000立方メートルがピークで21年度は3月24日現在で231万1000立方メートルを搬入した。同日現在の累計搬入量は約1286万3000立方メートル。
環境省は31日現在の搬入量を示していないものの、搬入量は約1400万立方メートルに届かない見通しだ。同省は「おおむねに定義はない。受け手の感覚にはなるが、順調に進んでいる」とし「おおむね搬入完了」とした目標は達成できるとの姿勢を堅持した。
仮置き場からの搬出作業は新年度も続く。同省は帰還困難区域の特定復興再生拠点区域(復興拠点)の整備で発生した土壌の搬入を中心に8市町村から81万2000立方メートルの運び出しを想定しており、うち西郷村では5万7000立方メートルの搬出が予定されている。
中間貯蔵施設を巡っては、搬入開始から30年以内の県外での最終処分が法律に明記されている。同省は土壌を公共事業に再利用し、最終処分の量を減らす取り組みを進めている。
土壌の再生利用、広く問題共有を
東大大学院の開沼博准教授(いわき市出身)は「計画では中間貯蔵施設への搬入がおおむね完了する記念すべき日だ。被災の象徴でもあったフレコンバッグ(大型土のう袋)が積み上げられた風景が各地から消えていく」と除染事業の進展に一定の評価を示した。
一方、いまだに具体的な姿が見えない県外での最終処分や、地元の反発も根強い除染で出た土の再生利用計画について「福島だけの問題にしてはならない。広く問題を共有して解決していけるよう政府はリーダーシップを取ってほしい」と指摘した。