2022年4月22日金曜日

22- 福島第一原発 既設ALPSが検査合格

 福島第一原発構内には「既設SLPSに加え、14年に稼働した改良版の「増設ALPS」と「高性能ALPS」の計3基があるということで、増設ALPS17年に合格済みですが、既設ALPSと高性能ALPS検査を受けながら試験運転として処理作業を続けてきました。
 このうち既設ALPS3月、原子力規制委の検査に合格しまし。福島民報が報じました。異例の運用です。
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論説【ALPS検査合格】精度と信頼性の向上を
                           福島民報 2022/4/21
 東京電力福島第一原発で発生した汚染水を浄化する多核種除去設備(ALPS)が三月、原子力規制委員会の検査に合格した。二〇一三(平成二十五)年に供用を始めたものの、トラブルが相次ぎ、丸九年かかった。燃料の冷却や原子炉建屋への地下水流入などで生じた汚染水から放射性物質を取り除く要の設備だ。不具合は許されず、さらなる管理体制の強化と処理能力の向上を求めたい。
 原発構内には今回合格した「既設ALPS」に加え、二〇一四年に稼働した改良版の「増設ALPS」と「高性能ALPS」の計三基がある。増設は二〇一七年に合格済みだが、既設と高性能は検査を受けながら試験運転として処理作業を続けてきた
 原子力規制庁によると、設備の材料、構造、性能を確認するための検査は本来、運転開始前に受けなくてはならない。ALPSは原発事故で増え続ける高濃度汚染水を減らす目的で緊急に造られたため、検査よりも稼働を優先し、試験運転として使用を認めてきた経緯がある。
 使い始めると放射性ヨウ素が残留したり、炭酸塩が混入して水が白く濁ったりするトラブルなどが続き、その都度、対策を講じてきた。東電の担当者は「多くの改良が必要になり、性能を評価するデータ集めに時間を要した」と検査が長引いた理由を説明する。検査を通過したことで、試験運転から本格運転に移行したが、運用方法はこれまでと変わらないという。
 懸念されるのは、検査に合格しない状態で浄化された処理水の安全性だ。東電によると、これまでに既設ALPSで約四十八万トンを処理した。二〇一八年には、保管しているタンクからトリチウム以外の放射性物質が基準値を超えて残留しているのが確認された。東電は今後、水質を調べ、必要に応じて再びALPSで処理するとしている。県民の理解や安心感を得ていくためにも安全管理に万全を期してもらいたい。

 政府が処理水を本県沖に海洋放出する方針を決めてから一年が過ぎた。原子力規制委は東電が来春にも実行する計画の安全性確認などの実質審議を終えた。科学的、技術的な意見の公募を経て、六月にも定例会合で認可について議論する見通しだ。

 海洋放出に対する県内外の反対の声は依然根強い。実施に向けては今後、県と福島第一原発が立地する大熊、双葉両町の同意が焦点になってくる。ALPSの精度と信頼性が前提となるのは言うまでもない。(角田守良)